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PRという名の十字架。

「何を言うか」よりも「誰が言うか」

日経新聞をはじめビジネス誌を見ると、今日も数多くの経営者が登場します。
メディア側も数多くの経営者へ取材依頼をしますし、それを仕掛ける側の企業のPR関係者も、まずは経営者を取材にねじ込もうとします。その理由は単純です。

世の中「何を言うか」よりも「誰が言うか」が重要で、企業の中でもっとも「誰が」に当てはまるのが、経営者だからです。
平社員と社長では、同じ言葉でも言葉の重みが違いますが、メディアはその「重み」を欲しているからこそ、経営者への取材依頼が圧倒的に多くなります。

メディアに経営者が登場するということは、「奇跡のV字回復を果たした」といったキラキラした枕詞にふさわしい「誰が」に選ばれ、その言葉の「重み」を信用されたということでもあります。

イチロー選手も引退にあたり、Numberの取材で、こんな言葉を残しています。

「同じ言葉でも、誰が言っているかによって意味が変わってきます。だから、まず言葉が相手に響くような自分を作らなければならないと考えています。今は言葉を発することが先になってしまっている時代のように見えますが、言葉を発する前に、まず自分を作れよって思います

PRは十字架でもある

同時に、それは十字架でもあると思ってます。
仮に「奇跡のV字回復を果たした」後に、業績が急降下したら、どうでしょうか?
「奇跡のV字回復を果たした」からこそ、メディアはその言葉の「重み」を信用し、「誰が」をフィルタリングしたにもかかわらずです。
それは、メディアと、そのメディアに推しメンとして紹介された読者・視聴者への裏切りだと、私は捉えています。

だからなのか、取材されたモノが実際にお披露目されても、素直に喜べない自分がいます。分かりやすい仕事の成果であるにもかかわらず。
寧ろプレッシャーにすら感じます。掲載されてよかったのかと。
そうやって掲載を重ねる度に、十字架を背負い続けるのがPRという仕事の側面でもあると思ってます。

PRとは「誰が」という十字架を背負う経営者を支えるための、ぜんぶ。

ところで、現在所属しているムスカでは、2019年を「昆虫産業元年」と明言し、それが取材記事にもなっていますが、明言した張本人の代表の流郷は、もともとは広報責任者としてジョインした人間です。
明言することの効果もリスクも、誰よりも分かっているはずです。

あとから振り返ったときに(2019年が)「昆虫産業元年」と言われるようにダイナミックな動きをしていきたいです。


それを承知の上で、言葉がより「重い」CEOという立場を選択し、明言しています。
「何を言うか」よりも「誰が言うか」の世界を理解し、「誰が」の十字架の重みを承知で、経営者の世界に飛び込んだ彼女が、「誰が」であり続けられるために、職種という野暮な概念は捨てました。
だから「PRってどんな仕事ですか?」と聞かれたら、最近はこう応えるようにしています。

ぜんぶ。「誰が」という十字架を背負う経営者を支えるための、ぜんぶ。

彼女自身は経営者になったのは偶然と謙遜しますが、職種という概念が野暮だと思わせた、天才的な人たらし力を持っていたという点では、持って生まれた経営者としての才能なのかもしれません。
その天才的な人たらし力にハマった、おじさん達の図も貼っておきます(笑)
ハマっても悪い気がしないから不思議です(←【業務連絡】褒めてますよ)

そんなことを考えながら、今日も取材対応しています。
その十字架の重さに、彼女とムスカという組織は、耐えられる器があると信じているし、そういう器を自らつくる覚悟なので。

PS
盛大な無茶ぶりの前兆として、公開で褒められたので、公開で褒め返してみみました
お褒めの言葉には、お褒めの言葉を。無茶ぶりには無茶ぶりを。


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