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事件を日常にするために、ハエの会社・ムスカに転職しました

32歳のおっさんが、暫しのモラトリアム期間を経て、ハエの会社・ムスカに転職しました。

ハエの会社??

45年1100代選別交配を繰り返したサラブレッドのハエを活用して、畜産糞尿などの有機廃棄物を飼料と肥料に変える技術で、事業化を目指す会社です。
某ジブリ映画の某大佐は「見ろ!人がゴミのようだ」と言いましたが、ムスカの事業は「見ろ! ゴミが宝のようだ!」です

得意技に安住していた自分への嫌悪感

なぜ転職したの?という質問に、一言で答えるのであれば「得意技に安住していた自分への嫌悪感」です。
企画の相談を頂いた際に、自分の得意技として伝えていたのが、どこかに所属していた際もフリーランスの際も、「大義名分のある事件をおこすこと」で、相談する側も当初からそれを期待してのご相談でした。
たとえば、私の過去の施策では、ランナーがインナーとして愛用するコンプレッションウエアを「PCスーツ」と名付けて、IT企業の福利厚生として提案したり

集中力が金魚以下の現代人の働き方改革として、「コワーキングサウナ」をプロデュースしたり

企画とは人を動かすことであり、事件によって人や報道が動くことは多々あります。
誤解をおそれずに言えば、「事件をおこす仕事」が得意だと自覚し、それに慣れた状態で、快適に過ごしていました。

W杯ポーランド戦終盤のパス回しを、FIFAは推奨しないが、容認していた

そんな現状に甘んじていた自分を自覚したのは、W杯ポーランド戦での終盤の消極的パス回しに対して、賛否両論が繰り広げられていたときでした。

あの終盤の消極的パス回しには様々な意見がありますが、もし批判するのであれば、日本代表の戦術ではなく、FIFAのルールというのが私の意見です。あのパス回しを、FIFAは推奨してないが、容認するルールを書き換えてこなったのですから。
同時に、事件をおこす企画に安住し、事件を日常にする(ルールを書き換える)ことまでやってこなかった自分を認識したのも、この時でした。

事件を期待されていない環境を探していた

そんな時に出会ったのが、この言葉でした。

「子供たちが80歳になったとき、多くの人に役立てる事業かどうかを指針にしてきました」

この言葉は、CEOの流郷が仕事を選ぶ基準です。
「子供たちが80歳になったとき、多くの人に役立てる」とは、次世代の当たり前・インフラになっているということであり、事件が日常に昇華しているということです。
事件をおこすことに安住していた自分への嫌悪感と、同じPRをバックボーンにしながらも、事件のその先を見据えていた流郷への少しばかりの嫉妬が渦巻いたことを、今でも覚えています。

そして、これは私の解釈ですが、2018年のムスカであれば、事件をおこすことを期待されたのかもしれませんが、そこに安住することが許されないフェーズに事業環境が突入したのが2019年です。
2018年、ムスカ飛躍のきっかけになった要因の1つは、TechCrunchなどのピッチバトルでの優勝です。
(私がムスカを知ったきっかけも、ピッチバトルでの優勝でした)

仮に2018年でジョインしていれば、事件を生み出すことが、ある程度求められていたのかもしれません。
なぜなら、このようなピッチバトルへの参加は、ほぼ100%IT系スタートアップが占める中で、ハエの会社が出場すること自体が「事件」だからです。

しかし、2019年はその手法に安住してる暇はありません。
既に発表されているとおり、総合商社とのパートナーシップ締結など、本格的な「産業化」のフェーズに突入しています。

事件をおこして、期待を「創る」のが2018年、その期待に「応える」ために、産業化(事件を日常化させること)を目指すのが2019年。
もはや事件は必要とされていなし、そこに安住している暇はないのが、ムスカの現在地です。
現に取材の中でも、2019年を「昆虫産業元年」と明言しています

あとから振り返ったときに(2019年が)「昆虫産業元年」と言われるようにダイナミックな動きをしていきたいです。

そのフェーズに突入していることに魅力を感じるまでに、それほど時間はかかりませんでした。

自分で自分をクビにする組織

最終的に私が新天地を決断する理由になったのは、先日発表された新経営体制でした。

代表取締役会長だった串間が、ファウンダー/取締役会長になる決断をくだしたのですが、串間にとっては、電気代も払えぬ不遇の時代を経ながらも1100代ハエを守り抜き、ようやく当時の苦労にスポットライトが当たり始めたタイミングです。

普通の感性を持ち合わせていれば、代表から降りる決断は容易ではありません。
しかし、当の本人は「産業化にむけて、経営のプロではない自分が経営の執行から降りるのは、自然な選択」とあっけらかんと私に話してくれました。
(そこに至るまでには、壮絶な葛藤はあったと想像します)

今後HRにも関わる予定なので、無用にハードルを上げたくはありませんが、創業者ですら、自分が必要ないフェーズでは、自分をクビにする決断をくだすのが、ムスカという組織です。
この組織の辞書には安住という文字は存在しない、と悟りました。

強く、しなやかに。
そんなDNAが刻まれた組織で、事件を日常化させていくことにチャレンジしていきたいと思います。

ルールを書き換えるための強力なキャッシュフロー

余談ですが、ルールを書き換えるには、強力なキャッシュポイントが必要です。その点で、ムスカは飼料、肥料、廃棄物処理という強力なキャッシュポイントを有しています。
恵方巻きなど食料が余っている日本では想像しづらいかもしれませんが、グローバルでは、2025~2030年にはタンパク質の需要と供給が逆転すると予想されていたりなど、飼料/肥料の価格は高騰しているのが現状です。ルールを書き換える・ゲームチェンジャーの登場が待たれる産業でもあります。
つまり、金曜ロードショーで某大佐とコラボできるくらい、大きな産業に成長させねばならない産業でもありますので、汐留方面の皆様、どうぞよろしくお願い致しますm(__)m

PS
そんなムスカでは、現在採用を絶賛強化中です。特にビジデブ。
ルールを書き換えることは、決してムスカ単体では不可能です。前述の総合商社をはじめ、さまざまなパートナーの協力なしに、タンパク質の需要と供給が逆転すると予想されている「2025年」に先手を打つことは不可能です。
そういった事業提携交渉をリードしてくれる方と、ご一緒できることを楽しみにしています


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