Bリーグの数字の話④Bクラブの経営指標

もうすぐBリーグも新シーズンがはじまります。
非常に難しい状況が続きますが、本当に楽しみです。

併せて多くのクラブが決算数字をまとめている最中だと思います。
例年どおりなら11月に各クラブの決算数字が開示されます。
こちらも大変興味深いですね。

決算数字が開示される前に、現在私が用いている経営指標(評価軸)をまとめておこうと思います。

前提条件

Bリーグで開示されている財務情報は2018-19シーズンのものになりますが、次回開示される決算項目も同様と想定しています。
下記は独自に入場者数等の開示情報をプラスし、さらに視認性を向上させるため、数値上位3クラブを青セルに、下位3クラブを赤セルにしたものです。

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まずパッと見て注目したいのは『営業収入(売上高)』『営業利益』『当期純利益』『資本(純資産)の部 合計』になります。

【営業収入(売上高)】
営業収入はそのクラブがどれだか稼いだか?の指標です。2018-19シーズンの段階ではB1平均9億円となっていますが、トップは千葉ジェッツふなばしの17億円です。そして将来的にB1ライセンスを取得するためには12億円が必要ですので、そこが一つの目標になるかと思います。
https://www.bleague.jp/files/user/B.LEAGUE%20BEYOND%202020.pdf

【営業利益】
営業利益は営業収入(売上高/稼いだ金額)と 営業費用(原価・販管費/使った金額)の差分になりますので、主たる事業でうまく儲けることができたのか?の指標になります。営業利益がプラスなら単年では経営が成功した、と判断できるかと思います。

【当期純利益】
当期純利益は営業利益の他、営業外の収支、特別利益/損失、法人税等調整額を含めて最終的に利益がでたのかどうか?の指標になります。難しい中身は置いておいて、3年連続 当期純利益がマイナス(赤字)になるとB1ライセンスは取得できません。(本決算期においては新型コロナウイルスの影響を鑑みて、ライセンス項目から除外されました。)

【資本(純資産)の部 合計】
利益がでたり増資をするとプラスになり、逆に赤字になるとマイナスになる項目です。また前年度から繰り越しますので、毎年黒字ならどんどん増えて、逆に赤字ならどんどん目減りします。
この項目がマイナスになることを『債務超過』と言います。債務超過になるとB1ライセンスが取得できません。(本決算期においては新型コロナウイルスの影響を鑑みて、ライセンス項目から除外されました。)
この項目からしばらく安泰なクラブとちょっと危ないクラブを判断することができます。

以降、経営指標を記載していきますが、特に重要な項目に★を付けておきます。

マーケティング

【総入場者数】
シーズン中のホームゲーム入場者数の合計です。プロスポーツクラブの利益の源泉です。

★【総入場者数1試合平均】
総入場者数のホームゲーム数(30試合)平均です。
直近(2019-20シーズン)のデータは既に開示されていますが、平均で3200人で4000人超が3クラブになりますので、3000人で平均、4000人超だと『相当集客しているな』と判断できます。

【客単価】
入場料収入 ÷ 総入場者数 です。客単価が高いほど1席の価値が高いことになります。宇都宮ブレックス、琉球ゴールデンキングスは3600円超で頭一つ抜けていますが、満員のアリーナ→プラチナチケット化 の好事例だと思います。

経営効率

【シーズン順位】
シーズンの順位です。

【勝利数(60試合)】
シーズン中に何勝したか、です。

【1勝あたりチーム人件費】
チーム人件費÷勝利数 です。1勝するためにいくらチーム人件費を投資したか?の指標です。チームのコストパフォーマンスを知ることができます。

【チーム人件費100万円あたり売上高】
売上高÷チーム人件費÷100万円 です。売上高に対するチーム(選手)の貢献度を測る指標として使っています。

【チーム人件費100万円あたり入場料収入】
入場料収入÷チーム人件費÷100万円 です。入場料収入に対するチーム(選手)の貢献度を測る指標として使っています。

【試合関連経費100万円あたり入場料収入】
入場料収入÷試合関連経費÷100万円 です。
入場料収入に対するゲーム運営・演出の貢献度を測る指標として使っています。

プロスポーツクラブの大きな投資先がチーム(選手・チームスタッフ)とホームゲームになりますので、投資がどれだけ効果的だったか、を判断する指標となります。

経営戦略

★【売上高に占める入場料収入の割合】
クラブの収入のうち、どれくらいの割合を入場料収入で稼いだか?の指標です。以前の記事に書きましたが、この指標が30%超だと、かなり入場料収入で稼いでいるな、と判断できるかと思います。

【売上高に占めるスポンサー収入の割合】
クラブの収入のうち、どれくらいの割合をスポンサー収入で稼いだか?の指標です。

★【売上高・チーム人件費率(チーム人件費÷売上高 %)】
クラブの収入のうち、どれくらいの割合をチーム人件費に割いたのか?の指標です。こちらも以前の記事に書いたとおり、現在は35~40%程度に設定するのが適正と考えていますが、昨シーズンの決算数値でどう変化するか大変興味深いです。

【物販単価(物販収入 ÷ 総入場者数(単位:千円))】
入場者一人あたり、どのぐらい物販(グッズ)を購入していただいているか?の指標です。

【SNSファン数】
Twitter、Facebook、Instagramのフォロワー数の合計値となります。
たしか入場者数とSNSファン数の相関はBリーグが検証していたと思いますが(ソースが見つからないですが)、SNSのフォロワー数を伸ばすことが集客の一助となる感覚があります。

財務

【前年度売上高】
前年度の売上高です。

★【売上高成長率】
営業収入(売上高) ÷ 前年度売上高 です。基本的にはそのクラブの経営的な成長度合いを測る指標となります。

【自己資本比率】
資産の部 合計 ÷ 資本(純資産)の部 合計 です。各クラブの生い立ちによるところはありますが、20%超だと安定したクラブ10%未満は成長過程、と判断できるかなと思います。

最後に

昨シーズンについては新型コロナウイルスの影響をどの程度受けているのか、クラブ事情でかなり差が出るのでは、と思っていますが、Bクラブのトレンドをはやく掴みたいですね。。。


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