見出し画像

留学生を食い物にした留学エージェントの事例について考察してみた

ちょっと前にCBC(だったかな?)で報道され話題になった700人にも及ぶインドからの留学生がある留学エージェントが偽装されたLetter of Acceptance(学校からの入学許可証。スタディーパーミット申請時に必要になる)を利用してスタディーパーミットを申請したため、退国命令を受けていることが話題になりました。そのうちの1件の事例について書こうかなーと思います。
Twitterでもいいんだけど、相当長くなってしまうし(いつもそんなこと気にせずやっているのだけども。。。笑)、誰もが興味があるというわけではないのかなーとも思うし、なによりこのケース自体が移民コンサルタントして働く上で重要な意味をなすと思うので、自分自身の記録として残しておきたいなーと思います。実際はNoteである必要はないんだけども、Noteから情報を得る人もいるのかなーと思うので。あと、単純にブログという形をとるための準備をするが面倒。。。じゃなくて、時間かかるし、会社のウェブサイトとは独立させて一個人として移民関連以外にも何か書くことが今後あるのかなーという可能性を考えてNoteという形をとっています。


事件の概要

事の一端はニュースの内容は移民コンサルタント資格を持たない留学エージェントがインドの留学生に何も教えずに偽装されたLetter of Acceptance: 入学許可証を利用してスタディーパーミットの申請をしていて、その事実が発覚したのが他の学校を卒業して、就労経験を得て、永住権申請をしている際に発覚したという報道から。その留学生の数なんと700人!このニュースは大々的に報道され、何も知らずに騙されてしまった留学生がもう少しでカナダで永住権を取得できるというタイミングで、永住権どころか退国の危機に瀕していることから移民大臣に対しても対応が問われていました。報道で資格を持たない留学エージェントを利用していることも同時に触れられていて、この留学エージェントには前歴があることを報道している記事もありました。

どうして退国の危機に瀕していたのか?

ちょっと細かいことになるけど、どうして偽装されて書類を利用してスタディーパーミットを申請したことが退国へ繋がるのかというのはMisrepresentation(不正申告)というのが大きく関わってきます。今回のケースで言うと、Misrepresentationは2つの側面を持ちます。まず一つが提出書類。当たり前だけど、偽装されている入学許可証は実際には入学していない学校への入学を誤魔化して、入学許可を得たように見せかけています。(古いけど、Acceptedという映画でやってたことと変わらないですね)これはあまり深くしなくてもご理解いただけると思います。(うろ覚えだけど、文書偽装はCrimal Codeにも引っかかったはず。弁護士ではないので気になる人は自分で調べてね)

映画”Accepted”懐かしい。。。文章とは一切関係ありません笑

そして、二つ目はスタディーパーミットの申請書。これはIRCCのフォームですね。インドから申請しているので、厳密に言えばIMM1294内に通学予定の学校の情報を入力しなければいけないのですが、結果的にフォームを通して”この学校から入学許可を得ましたよー”という嘘をついているということになります。”え、でも、最終的に学校卒業してるし、どこか違う学校から入学許可を得えてるなら、それくらい大したことじゃないんじゃない?”って思う人もいるかもしれないですが、大間違いカナダの移民法上、嘘をつくこと=Misrepresentationになるため大問題になる。(実際にはMisrepresentationになるには色々な要因もあるのですが、それはまた別の機会に)しかも、このMisrepresentationは過去の申請まで遡るので、”昔のことだから大丈夫でしょ!”という考えは通じないのですMisrepresentationとみなされた場合は即刻退国名令対象。なんだったら、カナダに5年間入国することができなくなる。ちょっとの嘘が多いなる。”ちょっと出来心で嘘ついちゃった”じゃ済まされない。。。

実際の状況は?

報道された時点でのニュースの記事ではあまり詳しい状況は触れられておらず、無資格留学エージェントを利用した700人が偽装された書類を利用されてたことを知らなかったんじゃないか?といった感じでした。少し時間が経って、そのうちの何人かの人がポロポロと記事になってて、みんな”自分は被害者だ!”という感じだったので余計にみんな何も知らない留学生が被害にあってしまったような印象が強まったような気がします。実際の状況は現在調査中。本当に偽装された書類について知らなかったどうかは当事者しか知らないとは思いますが、700人以上いると言われているうちの1人が自身は被害者であるのでカナダは間違った判断をしたとしてカナダ(厳密にはCitizenship and Immigration)を訴えたので、その事例から実際に起きたことをまとめてました。
以下、Singh v. Canada(Citizenship and Immigration) 2023 FC 747より

  1. 申請者であるSingh氏(以下”申請者S”)は過去に2度(1回目:2019年3月、2回目:2019年6月)にスタディーパーミット(以下”SP”)の申請をしていて、2回とも不承認になっているが申請者Sはそのことは知らなかった

  2. その2回の申請は無資格留学エージェント(そろそろ打つのが面倒になってきたので、以下”無資格A”)が用意したもので、今回Misrepresentationが疑われているの申請が3回目で申請をしたのは2019年8月24日

  3. 3回目のSP申請時は無資格が偽装したのはNewfoundland and Labrador州のCollege of the North Atlantic(CNA: Post-Graduation Work Permit参加資格のある公立校)のLetter of Acceptance(以下”LOA”)で実際は入学許可が降りていない

  4. 学費を払った際になかなか学校から連絡が来なかったので、申請者Sの父親が学校へ電話するよう申請者Sに言ったので、一度だけ電話はしたが繋がらずCNAへの連絡はしていない(この時点で学費の送金が遅れていることに関して、申請者Sと申請者の父親が無資格Aに対して懸念を抱いていたことが触れられている)

  5. 申請者Sは申請書類の準備および確認を申請時にしておらず、全て無資格に丸投げだった

  6. 3回目のSP申請時には過去の2回の不承認については触れられていない(過去に2回SP申請をしていたこと、過去2回の申請が不承認だったこと、3回目の申請時に過去の不承認を隠していたことを申請者Sは知らなかった)

  7. 2019年9月に偽装されたLetter of Acceptanceを利用してスタディーパーミットが承認

  8. 2019年11月に偽装されたLetter of Acceptanceを利用してモントリオールからカナダへ入国(その際にすでにカナダに留学している双子の兄?弟?がいるバンクーバーへ。どうでもいいけど、自分も双子なので、双子と聞くすぐに親近感を抱いてしまう。。。)

  9. 入国時にはCNAへ行かないことを入国審査官には伝えていない(ケースにはこの時点でCNAへ行く意思があったかは言及されていないので、入国時点でCNAへ行く意思があったかどうかは不明)

  10. College of North Atlanticへ行かずに、バンクーバーにあるCanadian College(Post-Graduation Work Permit資格のない私立校)へ入学し、2021年6月に卒業(入学した時期は言及されていないので不明)

  11. 2021年6月にCanada Border Service Agencyの入国審査官がCNAへ申請者Sが利用したLOAについて問い合わせを行い、LOAの偽装が発覚。

  12. 申請者Sは3回目のSP申請時に利用されたLOAが偽装だったことを知らなかった

  13. なんだったら、LOAだけではなく学費のレシートも無資格Aによって偽装されていた(これも申請者Sは知らなかった)

  14. 2021年9月に入国審査官が申請者Sと面接を行いMisrepresentationのレポートが提出される

  15. 提出されたレポートは偽装された書類とフォーム内での不正な情報について

  16. 調査と面接の結果、申請者SはSP申請時に偽装した書類と不正確な情報を申請時に利用したとしてMisrepresentation通告になる

  17. その結果、Immigration Division(Immigration Division以下”ID”)で審議が行われ、Misrepresentationが原因で退国名令を受ける

  18. IDの判断に対して申請者Sは”IDは純粋な間違いである(Innocent mistake)による例外や申請者が負わなければいけない証明責任について法的な間違いをしているため理不尽”であり、”IDは証拠内に含まれる事実的制限を考慮せず純粋な間違いによる例外を誤って事実に適応している”という主張のもとIDを訴え、連邦裁判所(Federal Court)の法廷へ

ケースの概要はこんな感じ。このケースはIDの判断が正当なものだったかどうかについての審議であるため、実際にIDでどのようなことが話されたのかや議論となっているSP申請時の詳しい情報、申請者Sのカナダの滞在についての情報、無資格Aと申請者Sとのやりとりや関係性等は含まれていません。わかっていないこともあったりはしますが、色々とこのケースから学べることもあるのかなーと思います。

裁判の判断は?

結論から言うと、申請者Sの主張は取り下げられ、IDは適切な判断をしたという判決でした。この判断に至る要因としては、本人の知らないところで無資格Aが偽装した書類を申請時に利用していてもInnocent Mistake(今回のケースではInnocent Misrepresentation。Innocent Misrepresentationは別の機会に書こうかな)として認められなかったこと。前述している通り、Misrepresentationは移民法においてはかなり厳しい処罰対象になるのですが、Misrepresentationを疑われてしまった場合は、申請者Sが無実証明責任があるので、今回も例に漏れず申請者SがInnocent Misrepresentationとして認められる条件を満たしていることを法廷で証明しなければいけない。Innocent Misrepresentationかどうかの判断基準は過去の事例から細かく決まっているのですが、ざっくり挙げると1. 主観的に見て故意に行われているか(当人が本当に自分がMisrepresentationをしていないと信じているか) 2. 客観的にみても故意に行われているか 3. 防ぐことができたかどうか という観点から議論されます。

1についてはMisrepresentationの原因となった書類偽装と申請書内での事実とは異なったCNA入学の情報を申請者は一切認知していなかったとの主張は法廷では議論されていないので、申請者は何も知らず偽装された入学許可証を含め、何の偽りもなくSP申請をしていたという主張が認められていることになります。
2についても法廷が申請者の状況に同情的であることが読み取れるので、客観的に見ても申請者SがMisrepresentationについては認知していないということになります。ただ、3については法廷はMisrepresentationを防ぐために申請者は取るべき行動をとっていなかったという判断になります。では、取るべき行動とはなんだったのか?今回のケースでは申請者Sが怠ったとされる行動が2つありました。

申請者Sが取るべきだった行動 1: 学校へ直接連絡する

実際の状況の4で触れていますが、申請者Sと申請者Sの父親が学費の支払いが遅れていることに関して学校へ直接連絡を取ろうとしたことは事実ですが、実際は学校と直接連絡を取っていません。

First, during the application process, there were delays. Second, the applicant and his father were concerned about the transfer of money to the CNA. His father had given tuition money to the immigration agent, who was to send it to CNA in Canada. The applicant had attempted to contact the CNA only once, which the ID concluded was insufficient in light of the red flags. 

Singh v. Canada(Citizenship and Immigration) 2023 FC 747 para 20

インドとカナダで時差があるため、学校へ直接連絡することは簡単ではないにしろ不可能ではないので、法廷では無資格Aの行動に関して不審な点があったことを認知しながら、自身の責任を放棄しているとの判断が下されています。学費は無資格へ送金し、無資格Aが学校へ支払いをするということになっていたようですが、申請者Sは学校へ電話をしようと試みたのは一回だけで、”何回も電話したり、無資格Aにもっと質問をしたり、学校へ直接メールを送ることで入学の確認くらいはできたでしょ?”という法廷の判断は、申請者がカナダの移民法に関して何も知らないことを考慮してもそれくらいの行動くらいはして当然ということが伺えます。

The ID found that the applicant should have placed more phone calls, asked more questions to the immigration agent, and sent emails to the college to find out what was going on. The ID found the required knowledge was within his control: “figuring out whether or not you had been accepted to the college was definitely something that was without your control

Singh v. Canada(Citizenship and Immigration) 2023 FC 747 para 54

In effect, the ID concluded that if the applicant had followed up with CNA with reasonable diligence, he would have been advised that he had not actually been accepted into CNA as his study permit application represented. Knowledge of the misrepresentation caused by the filing of fraudulent documents by the immigration agent was within his control if he had acted reasonably.

Singh v. Canada(Citizenship and Immigration_ 2023 FC 747 para 55

申請者Sが取るべきだった行動 2: 申請書類の確認する

無資格に対して、疑念を抱いていたにもかかわらず、申請者Sは自身の申請に関して一切関与しておらず、申請書の確認を行っていないことに関して法廷は自身の責任を放棄しているとの考えを示しています。

The applicant did not prepare or check his own application for the study permit prior to its filing, and the “red flag” concerns about delay and the transfer of funds were in part concerns about the immigration agent.

Singh v. Canada(Citizenship and Immigration) 2023 FC 747 para 58

申請者Sが無資格Aに対してどれくらいのお金を払っていたかは触れられていないですが、一部では$16,000のお金を払っていたという話があります。(この記事によると1,400,000 INR=CA$22,000くらい?を支払ったという留学生のことが書かれており、大体1,200,000 INR~1,400,000 INR (CA$19,000~CA$25,000くらいかな?を払ったとのこと)それだけのお金を払っていたら、”書類くらいはちゃんと用意してくれるでしょ”って思う気持ちもよくわかるのですが、結局のところカナダに行くのは自分だし、カナダで勉強するためにスタディーパーミットが必要なのも自分なんです。なので、何か間違っていたら影響を受けるのも自分。この認識はお金を払って誰かに頼んでいても忘れてはいけない。実際、移民法においては代理人を使っていても使っていなくても、申請に関する全責任を負うのは申請者です。

A person who makes an application must answer truthfully all questions put to them for the purpose of the examination and must produce a visa and all relevant evidence and documents that the officer reasonably requires

Immigration and Refugee Protection Act s 16(1)

Twitterとかで何回か申請者の法的責任のことについては言及したと思うけど、この法律を知っていても知らなくても、申請者が責任を負うという事実は変わらないのです。

申請者Sが取るべきだった行動 3: 無資格Aを疑う事
申請者Sと同じようにカナダへこれから来る人はカナダの法律については知らない人が殆どだと思うし、正直なところ全ての人に”カナダの法律に対して知識を持て!”というのはちょっと難しいかもしれない。でも、今回のケースのように”疑念を持っているなら申請前に申請書の情報確認くらいはしたくなるでしょ?”っていう裁判官の考えは個人的には同意できます。今回のケースでは申請者Sの年齢やカナダの移民法に対する理解が乏事などを考慮しても、申請者は無資格Aを信用するべきではなかったとキッパリと断言しています。

The ID expressly considered the applicant’s youth and relative lack of sophistication concerning Canadian immigration applications, and that he was following his father’s lead. It accepted that he was genuinely unaware of the misrepresentation and the fraudulent nature of the acceptance letter and receipt. The ID was aware of the complete reliance by the applicant (and his father) on the immigration agent, but concluded that the applicant should not have done so.

Singh v. Canada(Citzenship and Immigration) 2023 FC 747 para 66

これは今回のケースに限らず、怪しいな?って思ったら、自分で行動をしてみたり、お金はかかるかもしれないけど、他の移民コンサルタントや弁護士に相談することも大切だと思う。前述の通り、申請に何かあったら影響を受けるのは他でもない申請者。残念ながら、カナダに移住したい気持ちを逆手に取ってあることないこと吹き込んでくる人は沢山いるし、資格を持っている人がみんな有識者というわけでもない。さらに言うと、資格を持っている人の中でも知識の差と言うのは存在するので、知らずに間違ったことをしているケースも沢山ある。)”やってもらえれば誰でもいいや”っていう考えの人もいるとは思うけど、合う合わないはあると思うし、個人的にはちゃんと信頼関係を築くことができる人がいいのではないかと思います。

以上の3点により、申請者Sの主張は認められず、申請者SはMisrepresentatinoをしてしまったということになります。移民法を知っている人が事例を読めばわかると思いますが、裁判官はこういう判決を下さるを得なかったというのがわかります。この訴えを認めてしまえば、将来的に似たようなケースが増え、無資格Aのように書類を偽装し、留学生を騙してカナダへあの手この手で送り込もうとしている人を増やすことになる。当然、被害も比例的に増え、今以上にカナダの留学業界は無法状態になります。そういった意味でも、この訴えを退ける以外の選択肢は無かったのではないかと思います。

今回の事件の現状

このケースはニュースが発端となって明るみになった留学・移民の産業化が招いた事件ですが、記事では700人という留学生が同様の被害に遭っているとのことなので、このケースは700分の1です。興味がある人はこちらを観ていただきたいのですが、移民大臣は700人という数がどこからきたのかは現段階でもわからないとのこと。(でも、調査の結果、2000にも及ぶ申請が疑われ、最終的に入学許可証の偽装が原因で入国を拒否された留学生が1000人近くいたってことは、被害者は700人以上。。。?杜撰すぎない。。。?)2023年6月14日時点で、今回のケースと同様に無資格Aがに入学許可証を偽装し、SPを申請してMisrepresentationを疑われIDへ呼び出された留学生は82人で、25人はまだ審議待ち。57人は審議の結果、退国名令を受けたとのこと。その中でも最低でも10人が自らカナダを出国し、インドへ帰国したらし。そして、実際にMisrepresentationによって退国させらたのが8人。この数字は審議された2023年6月14日時点での数字なので、現段階では数字が前後する可能性もありますが、すでに多くの留学生がMisrepresentationのせいだと疑われ、影響を受けていることがわかると思います。現時点で実際の被害はわからないものの、無資格Aの被害者である留学生は今回は例外的に移民大臣によってTemporary Resident Permitという形で一時的に滞在が許可される書類が発行されることが発表されています。退国された8人は自動的にTemporary Resident Permitが発行されるわけではなく、さらに調査が行われるみたいですが、まだ審査が完了していない場合は調査が完全に終わるまではカナダ滞在をすることができるようにIRCCが動いているので、カナダの滞在はできそう。(ケースによって状況は異なるとは思うけど、ワークパーミットやスタディーパーミットも発行され、就労や就学も継続的にできるようにするとのこと)今回の法廷では訴えを認められることはありませんでしたが、申請者SはTemporary Resident Permitを得ることができ、カナダ滞在はすることができると思います。ただ、国を訴えて法廷で戦うと言うことはお金を払って弁護士を雇っていると思うのでその費用やMisrepresentationだとCBSAの審査官から質問をされてからの精神的なストレスと疲労、そして時間は申請者Sが支払った大きな代償です。(どこかの記事でインド政府か留学生補助団体かが保証するという記事も読んだような気がしますが、事実は定かではないです。)どれくらいの期間のTemporary Resident Permitが発行されるのかはわかりませんが、永住権申請をしようとしていたとしたら大きな時間的なロスになっていることは間違いないし、金銭的な補助が出るかも現段階ではわからないので、経済的に大打撃を受けた可能性があります。不正を働いた無資格Aはカナダで逮捕され、今後カナダの法で裁かれる予定です。

The CBSA announced today that charges have been laid against Brijesh Mishra, a citizen of India, for immigration-related offences.
Following information provided to the CBSA concerning Mr. Mishra’s status in Canada, as well his alleged involvement in activities related to counseling misrepresentation, the Agency launched an investigation.

CBSA investigation leads to criminal charges for immigration offences including fraudulent letters for Canadian post-secondary institutions to Indian students
無資格AことBrijesh Mishra氏。The Tribute Indiaより抜粋。Hindusan Timesによるとカナダに入国しようとした時に捕まったとか。。。こんだけ話題になってるのになんでカナダに入国できると思ったの?

自分の専門はあくまで移民法なので実際にはどうなるかどうかはわかりませんが、今後無資格Aを利用した留学生が集団、または個人で訴える可能性もあるかもしれません。(カナダで訴えられなくても、インドでも法の裁きが待っているようなので、どちらにせよかなり長いこと続きそう。。。)無資格Aの被害者がどれくらいいるかは定かではありませんが、個人的には無資格Aは氷山の一角で、無資格Aを逮捕したところで、同様のことをしている人はたくさんいます。

無資格Aが罪に問われている罪状。CBSA investigation leads to criminal charges for immigration offences including fraudulent letters for Canadian post-secondary institutions to Indian students


事実、書類の偽装こそしていないにしろ、日本の留学エージェントでも無資格Aが訴えられている1つ目と2つ目を行っている人はネットで調べればたくさんいます。(移民コンサルタントとして言わせてもらえば、資格を持たない人から間違った情報を得ている人があまりにも多いです)動画内で触れられていますが、世界中で同じことが行われていることは移民大臣をはじめ、IRCCはしっかりと認識しています。(細かいですが、無資格Aによって申請されたSP申請をIRCCは976ケース不承認していて、無資格Sの存在を認知しいていた模様。しかも、IRCCがこのことを把握したのは2018年で、それでも今回の件が公に出るまで放置いしていたって一体IRCCはどんな仕事してんの?。。。)また、以前から学校が留学生を対象としたかなりアグレッシブなマーケティングが行われていて、それ自体はあまり議論されていません。(学校はもとより、留学エージェントに議論の矛先を向けずにトンチンカンな議論を繰り広げても何も変わらないと思うけど。。。本当に問題の原因わかってるのかな?それとも留学生のこと気にしてるの上辺だけ。。。?)

今後起きそうなこと

現在は、学校と政府(ここでいう政府は移民局であるIRCCことImmigration, Refugee and Citizenship Canada)は生徒に関する情報を共有していないとのことで、Letter of Acceptance、パスポート、Temporary Resident Visaそれぞれが違う誕生日を示しているにも関わらず入国が許可されているケースがあるらしく(一部にしろ、全ての書類で誕生日が一致してないのに入国許可するケースもあるとか。。。流石に仕事してなさすぎ。。。)、今後学校とIRCCの状況の共有が行われ、各学校ごとに発行された入学許可証の数と実際にSP申請時に利用された入学許可証の数を照らし合わせると言う案が出ていたので、なんらかの形で学校と政府が連携をとって学生の現状を定期的に調べると思います。(ってか、なんで今の段階でしてないんだよ。。。定期的と言うか常にしないと防げないよ?苦笑)現段階では入学許可証の確認にAIなどのシステムの導入はされていないようですが、AIを利用する可能性もあると思います。(これもなんで今の段階でAIつかってないんだよ。。。これこそAIでできることだし、AIの使い方間違ってるでしょ。。。)また、今回は偽装された入学許可証がかなり精巧な作りだったみたいですが、全てのケースで入学許可証の確認が行われていなかった模様。(確認しないなら、SP申請の条件にいれるなよ。。。)なので、申請時に入学許可証の確認も行われる可能性が高いです。(ってか、元々してるべきなんだけど。。。)

このケースから学べること

ここからがとても重要です。今回のケースのように留学生が被害者(実際は本当に被害者かはわかりませんが、今回のケースでは被害者として扱われています)である場合にも、自身の申請に対して責任を負わなければいけないと言うこと。前述している2つの行動はSP申請に限らず、カナダの移民に関するどの申請においても”誰かが代わりに申請をしていても申請者がこういうことをすることは申請者自身の責任だよ!”というある種の申請者の責任の基準となるので、本当に重要です。Twitterでは何度も触れているのですが、留学はカナダにとって一大産業です。

留学生がカナダの経済にもたらす影響はなんと$20B以上!2018年時点で$20Bなので、今はもっと多いはず。
Source: Economic impact of international education in Canada - 2020 update

留学生を学校へ斡旋すること自体はカナダでは資格が必要ではなく、誰でもできることなのですが、カナダ留学時に必要となってくるスタディーパーミットの申請などに関するアドバイスは弁護士や移民コンサルタントなど資格を持っている人しかできません。カナダ国内にいてもそのことを知らな人は多くいるので、カナダ国外となるとその認識は一層弱いかもしれません。今回の事件が議論されている中で、留学エージェントの規制や学校の積極的な留学生の勧誘に関して政府が介入すると言うことはなさそうです(提携している留学エージェントを通さないと申し込みをできないという理不尽なことをしている学校もあるそうなので、そういう場合は調査し、相応の対応をするとのことです。)結果的には、今回の法廷での判決によって”全て自己責任”というのがより強調されたのではないかと思います。また、今回のケースのように過去の申請まで遡ってMisrepresentationになるケースはあるので、申請する書類には十分に注意することが大切です。今回は規模が規模だけに特別な待遇を受けられることになりますが、今後同じような待遇を受けられるとも限らないので、誰に頼んでいても自分のことという意識を強く持ってください。

これからするべきこと

これから留学する人も沢山いると思うけど、このケースから以下のことはして欲しいです
1. 利用している移民コンサルタントが資格を持っているか確認する: Twitterとかでは何回も触れていますが、資格がないと代理申請はおろかスタディーパーミットに関するアドバイスはできません。アドバイスをしている人・代理申請を担当している人が資格を持っているかどうかを確認してください。

https://college-ic.ca/protecting-the-public/find-an-immigration-consultant

資格を持っている移民コンサルタントが所属しなければいけないCollege of Immigration and Citizenship Consultantsのウェブサイト

上記サイトから名前、会社名、Rから始まる会員番号で検索することができます。

自分自身を検索した結果がこんな感じ。名前と現在のステータス、移民コンサルタントの会員番号が表示され、”Contact”をクリックすると所在地、会社名、Eメールアドレスを見ることができます。このサイトで名前を見つけられない人は移民コンサルタントではないから、信用しない。利用しない。

2. 申請前には必ず書類内容を確認する: 面倒なのも、英語だから確認するのも嫌な気持ちはわかりますが、必ず申請書に入力されている情報を確認してください。名前のスペルミスとか多少の間違いはなんとかなるけど、今回のように入学を偽装しているというのは今後に大きく影響します。サインする書類も絶対に内容確認をしてから!何度も繰り返しますが、最終的に責任を負うのはあなたです。
3. 申請に関して質問する: 移民コンサルタントでもわからないことは沢山あるし、答えてはいけないこともある。特に承認が得られるかどうかだったり、どれくらい時間がかかるかなどは移民コンサルタントがどうこうできることではないから、明確に答えることはできません。

Code of Professional Conduct for College of Immigration and Citizenship Consultants Licensees s 44 (2)
逆に言えばこういう約束をする人は信用しない方がいいと言うこと。

でも、申請に関してや書類に関しては積極的に聞いた方がいいと思います。そのためにお金を払っていのだから。審査が長くなってしまうこともあるけど、代理人としてカナダに連絡することができる(答えてもらえるかはまた別の話だけど。。。IRCCが仕事してなかったら何も得られないこともある。。。)ので、不安なことや心配なことがあったら相談するべき。あくまで個人的な意見ですが、これは移民コンサルタントを利用するメリットだと思う。自分で申請したらわからない申請の流れや他の事例ではこうだったというのがあれば聞くことができるし、それを聞いて不安な気持ちが少しでも和らぐことはあると思う。(常にではないけど。。。)今回のケースのように書類が偽装されることは稀だと思うけど、学校の連絡先を聞いておくのも重要だと思う。学校とのやりとりも転送してもらって、自分自身で情報を把握することで、自分の身を守ることができると思う。(ここで学校の連絡先ややりとり転送に否定的だったら疑った方がいいかも)
4. 申請時に利用した書類をもらう: これは結構していない人が多いと思いますが、絶対したほうがいい。必ず申請書類は貰う。(移民コンサルタントは規定により、クライアントから申請書類をの共有をリクエストされた場合は、申請書類を共有しなけばいけません。)

A licensee must, at the request of the client, deliver to the client any documents or information in the licensee’s possession that pertain to the client’s application or expression of interest or to a proceeding in which the client is a party.

Code of Professional Conduct for College of Immigration and Citizenship Consultants Licensees s 14 (2)

今回のケースでもそうですが、過去の申請の情報や書類がMisrepresentationの原因になることもあります。つまり、過去の申請の情報との不一致がMisrepresentationに繋がることがあるということ。手元に過去の申請書類があれば、SPの更新や永住権申請をするときに、その情報を元に書類も用意することができるので、Misrepresentationを防ぐだけではなく時間の節約にもなります。

まとめ

だらだらと書いてしまったけど、カナダへ来たい気持ちを利用する人もいるから、誰に頼んでいても自分を守ると言う意味でも最低限誰に頼むのか、どういう書類を提出しているのか、どういう状況なのかは積極的に聞いてください!何か起きてからでは遅いです。はぁ、思ったより長くなってしまった。。。こんな細かいの自分でも読み直すんかな。。。?
Cover Photo by Tingey Injury Law Firm on Unsplash

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?