【短編小説】雨の日の授業
プロローグ
舞台はとある地方の公立中学校。季節は夏。雨の日の授業中、担任の中島先生の何気ない一言から、物語が始まる。雨の音、いつもの風景、非日常。
本編
1章:雨の日
「今日の雨はすごいなぁ」
小雨から土砂降りへと変わってきた教室の窓の外を見ながら、授業中に担任の中島先生はそう呟いた。
「なぁ、皆の中で、雨が降ったらワクワクする人はおる?」
中島先生はクラス内を見渡しながら、唐突に声を掛けた。それを受けて、教室内が少し騒がしくなる。
「どうやろ?おったらちょっと手を挙げてみてや」
僕自身はどうだろうか?と少し考えてみたところ、どちらかと言うとワクワクするかもと思い、そっと手を挙げてみる。教室内を見回すと、僕も含めて数人が手を挙げている。あれ?思ったよりも少数派なのか。
「なんや、思ったよりも少ないなー」
中島先生は意外そうな表情をしながら続けて話す。
「ちなみに先生は、雨が降ったらワクワクするんやけどな。非日常って感じで。あと、水溜まりを飛ぶって、なんかアトラクションみたいやん?」
中島先生は軽くジャンプする身振りをしながら、そう話した。非日常感は少し分かる気がすると僕は思っていると、ふと、隣の席に座る女生徒の金本も手を挙げていたことに気がついた。
2章:心の声
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