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今こそプレイすべき傑作「サマーレッスン:アリソン・スノウ」について語る


対人接触を疑似体験できるVR
「金髪美女が好き」だけじゃないおすすめの理由がそこにある


コロナとゲーム業界

6月に入り、気温も上がってきましたね。日によってはもう完全に夏の陽気を感じることが出来ます。
一方、世界的にコロナウイルスの影響で、外出自粛の日々が続いています。先日緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ以前の状況に戻るのは時間がかかりそうです。


この自粛期間、ゲーム業界も大きい影響を受けているようです。
自宅で過ごす人が増え、ゲームの需要が増え、国内でもswitchの在庫不足が記憶に新しいです。中国での製造ということも理由にあるのでしょうが、何より今も抽選販売を行っているようですので、まだしばらくは需要が供給を上回り続けるのではないでしょうか。


一方で、在宅勤務におけるゲーム開発の遅延も、今後影響してくる可能性があると思われます。

コロナウイルス流行とゲーム業界の関係は?特需に見える業界の現実 - GAME CREATORS


国内で気になったニュースと言えば、やはりレーティング機構であるCEROの業務がストップしたことでした。既に業務は再開されていますが、1か月の臨時休業がどの程度業界に影響があったのか気になるところです。

そして、海外のレーティング機構が昨今の事態でも、特に遅滞なく業務を続けられていることから、今後の国内のレーティング機構も頑張って欲しいな、と個人的には思うところです。

パブリッシャー、デベロッパー、レーティング機構、そしてもちろんユーザーも多大な影響と生活様式の変化を必要としている今だからこそ、お勧めしたいゲーム。それが、サマーレッスンです。



サマーレッスンについて

サマーレッスンは、2016年にPSVR用ソフトとしてバンダイナムコエンターテインメントより発売されたゲームです。基本パックは定価2,980円、追加DLCは複数種あり各DLCパックは1,000円から1,500円程。DLCはパックで買うと特典もついて5,000円です。これが一人のキャラクターなので、一人のコンテンツを全て楽しもうとするとおよそ8,000円から9,000円です。

VRを通して女の子キャラクターの家庭教師を行うゲームで、「彼女は、本当にそこにいる」というキャッチコピーの通り、現実に、本当にキャラクターがそこにいるような体験が出来る素晴らしいゲームです。

特にこの中でも、2番目に発売された「サマーレッスン:アリソン・スノウ」が好きで、PSVRで遊べるゲームの中でのトップクラスに好きなゲームです。(PSVRで遊べるゲームだと、他にはテトリス・エフェクトとエースコンバット7も好き)


なぜ今、サマーレッスンなのか

昨今、コロナウイルスの影響で人と会えない、会いにくい時期が続いていると思います。
私は普段から家に籠ってばかりで、土日のうち24時間くらいゲームに費やすと「充実したな…」と感じるような社会性の無いタイプなんですが、それでもやはりなんとも言えない閉塞感は感じます。
普通の方は、きっと人と会いにくい、または会っても以前に比べて気を使わないといけない昨今のストレスは多大なものかと思います。

私がこのnoteで言いたいことを端的に言えば、サマーレッスンで(VR)人に会う疑似体験をしてストレスを解消しましょうっていう話です。

「こいつヤバいこと言い出したな」とお思いなのは重々承知なのですが、これ、私自身が感じたんですよね。
久しぶりにサマーレッスンをプレイし、VR内のキャラクターがパーソナルスペースを侵害してきたとき、「あっこの人と接触してる感覚久しぶり…」という気持ちになったんですよね。そして全然嫌な印象じゃなくて、むしろほっとする感じ。
対人接触が難しい今こそ、この感覚は大事だと思いますし、これは私自身の主観的な感覚というだけではなく、以下の2つの根拠に基づいたものとなっています。



ひとつは、外出自粛における、人と会えないストレスです。

対人接触の機会が減ることで、孤立感、倦怠感、抑うつ感を感じる。

LINEや電話、SNSでの繋がりを持つことが推奨されていますが、それでは人肌を感じることが出来ません。無意識に、対人接触の機会減がメンタルにじわじわと悪影響を及ぼしていたようです。


もうひとつは、クロスモーダル現象です。

単純に言うと、VRの情報を現実の情報だと脳が錯覚する現象です。上記記事にもありますが、サマーレッスンをプレイしたホストの方が「吐息を感じた」という感想を話されています。
これが本当なんです。脳が錯覚するので、「このくらいの距離で話したら吐息を感じるはず」と認識したということです。

この、脳の錯覚は「クロスモーダル現象」と呼ばれています。



そして私は、サマーレッスンをプレイした際、本当にそこに生身の人間がいるわけではないのに、体温を感じました。

冗談じゃなく真面目に体温を感じたんですよ、バンダイナムコスタジオさんの技術が凄くて脳が錯覚したのであって決して私がやばい奴じゃないんですよ、本当ですよ。


とにかく、VRがただの映像ではなく脳が錯覚するくらいの体験を得られるものであると科学的に証明されているわけです。これが、現実の接触コミュニケーションの代替とはならずとも、オンラインでのビデオチャット以上の接触感を補っているのではないでしょうか。



特に一人暮らしの人へ勧めたい

在宅勤務になったり、学校が休みだったり。
人と会えない、そして一人暮らしの人にこそ体験してもらいたいです。
サマーレッスンをプレイしたときの感覚のひとつとして、「部屋が増えた」という感覚がありました。
私は狭い1Rに一人で住んでいるのですが、サマーレッスンを通してみた世界は、自宅が広くなったような、部屋か増えたような感覚でした。プレイヤーが喫茶店にいるシーンで、ゲームを進めずぼーっとしたこともしばしばありました。安らぐんですよね。VRは可能性がとても広いですが、そこに何を求めるか。その求めるものの中に、安心や安らぎ、癒しの体験を求めているのであればぜひおすすめしたいです。

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「スマホの画面に反射した喫茶店の明かり」のリアルさ、
本当に外出しているように感じます


ゲームとしての「サマーレッスン」

ここまでは対人接触の減少に関連してサマーレッスンを紹介してきましたが、それではゲームとしてどうなのか、というところです。

こちらはIGN JAPANのサマーレッスンのレビューです。
10点満点中5点というのは、正直低い方です。あんまり見ません。大体のゲームが7点から9点です。
そして、この記事に書かれていることは、概ね間違っていないと思います。
それでも私は、サマーレッスンが好きです。

おそらくゲーム性というところにフォーカスを当てると、2980円という価格設定も割高に感じると思います。

ゲームの中で、7日間対象の女の子の家庭教師を担うのですが、プレイヤーが行うことはレッスンの選択、指導方法の選択(3択)、休憩のときの会話です。ほかにもLINEに似たコミュニケーションツールがありますが、これもセリフを選択するのみで、直接ゲーム本編に関係があるものではないのでゲーム性としては薄めです。

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レッスンは繰り返すことでその効果が上がるため、リプレイ性を喚起させるひとつの要因となっています。しかし、効果は上がりますが演出は変わらないので、明確にやり続ける意思をもたないと継続は難しいかもしれません。

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レッスンにより女の子のステータスを上げることで、最終日の試験結果が変わり、その結果次第でエンディング(女の子からの反応)が変わります。これでゲーム終了です。試験結果と言っても、実際にペーパーテスト等があるわけではなく、電話での結果発表です。
プレイ時間としては1周が30分程度。
2周目以降も、レッスンの効果上昇が引き継がれるため、何周もするほどステータスの上昇が容易くなり、良いエンディングへとたどり着きやすくなるというシステムです。

ただ、先ほど書いた通りレッスン方法に対する演出が一つのため、レッスンを繰り返すということは何度も全く同じ演出を見ないといけないこともあります。
ときメモやパワプロ、モンスターファームなどのトレーニングの演出がVRになったと感じてもらってもいいかもしれません。バリエーションの少なさは、作業感を感じます。

ではなぜそのようなゲーム性でも、何周も何周もプレイし、数ヶ月に1度はガチャガチャして配線も多いPSVRをセッティングしてプレイしたくなるのか。
それは、サマーレッスンからはゲーム性よりも「体験」に魅力を感じたからです。


自分のステータスを上げて女の子に好かれるギャルゲーは多数ありました。しかし、どのゲームもVRではなかったですし、多くのゲームがアニメ寄りのキャラクターだったのです。
リアル寄りのキャラクターが、VRで。しかも、2Dでは感じられない「近づいてくる感覚」を体験できるのが、サマーレッスンなんです。

彼女は、本当にそこにいる」、まさにこれなんです。本当にそこにいるんです。視線を感じ、体温を感じるんです。
VRでなければ、体温や吐息をゲームから感じる(錯覚を感じる)ことはできません。それが出来るんです。これはもう、魔法の類です。

この衝撃が頭から離れないからこそ、忘れたころにまた体験したくなる。そしてまた驚き、やっぱりすごいゲームだなと思ってしまう。それがサマーレッスンなんです。

だから、ゲーム性は確かに薄いかもしれないけど、サマーレッスンがつまらないとは口が裂けても言えないし、買って良かったと心から思っているし、DLCパックも買ってしまうわけなんです。ゲーム、そしてVRだからこそできる体験が、とんでもない魅力に溢れているんです。


モーションとサウンド

ゲームをゲームと感じないモーション
サマーレッスンは、CVを担当された声優さんがモーションアクターも担当されています。つまり、声優さんがキャラクターの動きも担当されているのです。だからこそ、声と動きに違和感が無いんですよね。
ちなみに、モーションキャプチャーで演技指導を行われた芝井美香さんは、FF7Rでもモーションアクターをされている方です。

動き、しぐさは本当に、「凄い」というよりも、違和感が無いため印象に残りにくいというのが正直なところでした。人間の動きです。むしろ、自然すぎて咄嗟の行動にドキッとします。プレイヤー側として、「あ、これゲームだな~」としぐさで思わされるところが無かったのが、没入できとても幸せでした。



VRにおけるサウンドという要素について
そもそもサマーレッスンはVRでかつリアル寄りな作品です。
現実世界、散歩でも通勤通学でも、部屋での寝起きのときでもいいんですが、そこに音楽って流れてますか? 流れていないんですよね。
現実では、「自分で能動的に音楽を聞かないと、環境音しか存在しない」という状態がほとんどだと思います。
だから、究極的にリアリティを求めるとしたら、VRの部屋の中で必要な音楽って、エアコンや冷蔵庫の駆動音とか、時計の秒針の音だけ、になっちゃうんですよね。FPSのゲームなんかでも、敵の足音をかき消すようなBGMが流れていたら、それはゲームの中では邪魔な存在になってしまいます。

では、サマーレッスンではどのようなBGMや効果音の演出となっているか。
サマーレッスンのサウンドトラックである「ドラマ&ミュージックアルバム サマーレッスン 〜未来はいま〜」のブックレット内、特別対談でもそのことが一つのテーマとなっていますが、プロデューサー/ディレクターの玉置絢さんが

現実世界では鳴っていない、本当の意味でのBGMはレッスン中とかリザルト画面とか、ここはこういう画面ですよと知らせるためのものとして使用していますね。

とお話しされています。
ユーザーとしても、派手な曲は無く、写真のスライドショーのBGMに流れていそうだったり、アニメやドラマ、映画の日常パートのBGMっぽかったりする印象でした。

また、いちプレイヤーとして意識に引っかかったのは、タイトル画面で音楽が流れないことなんですよね。BGM無し。タイトル画面の色味も白が基調となっていて、ある意味シンプルの極致なんです。

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今思えば、これは音と色から先入観を持たないことが目的でもあったのかなと思います。音も色も含め、サマーレッスンでは意図的に、プレイヤーの主観的な体験を邪魔しないようなものとしてデザインされているのかなと。
ゲーム中の気持ちの盛り上がりも、またその逆も、一般のゲームの様にBGMが援護するのではなく、あくまでプレイヤーの体験へと集中させるようなゲーム音楽の役割がより強くなっているように感じました。



VRにおける音楽の必要性、活かされ方
ではVRのゲームの中に音楽は全く不要なのかというと、そんなことはありません。VRの中でも喫茶店で音楽が流れているのは普通ですし、その他シーンでもゲームの雰囲気作りや意識的に注意を向かせるシーン、視覚だけでなく音楽を用いて差別化したい場面などには欠かせないものだと思います。
そして、サマーレッスンの中で特に音楽にフォーカスが当てられた部分があります。
アリソン・スノウというキャラクターが歌う「Here I am」という曲にまつわるシーンです。


サマーレッスンは、当時バンダイナムコスタジオで勤務されており、アイドルマスター等の楽曲で有名なTaku Inoueさんがミュージックディレクタ―を担当されています。「Here I am」も、作詞・作曲・編曲をTaku Inoueさんが担当されています。

先ほど引用させていただいたサマーレッスンサウンドトラックの中でも、この曲「Here I am」が用いられた2015年のPVがネットで評判になったこと、Youtubeの再生数も多く、またユーザーからの曲に対する問い合わせも多くあったことが記載されています。

曲というもの自体をBGMではなく、キャラクターが歌っているという形で登場させることで、それはVRならではの臨場感とリアルさを感じられます。
特に良いのは、VRならキャラクターが歌を歌う前後のモーション、会話があることで、歌単体で終わるのではなく、キャラクターの歌い終わった感情なんかも読み取れてしまうことです。
それは表情であり仕草であるんですが、それも含めてのライブ感と、言い方がおかしいかもしれませんが、既製品の楽曲を聞いているのではなく、生で歌っている歌を聞いているような感覚に陥ります。

この曲に関しては、アリソンが自分に向けて歌ってくれるシーンがあります。それはやはり、一人の人が自分に向けて歌ってくれている、という場面が視覚、聴覚、そしてVRの肌感覚とでも言うのでしょうか、圧倒的なリアル感から伝わってくるので、「良い曲」という印象、感想だけでなく、「歌ってくれた嬉しさ」など他の感情も喚起されます。

歌い終わった後に2秒ほど見つめられるんですが、その表情から、
「自分の曲はどうだったか?」と聞かれているような印象を受けます




VRでの宇多田ヒカルライブ配信のような音楽の形態も存在する今です。
サマーレッスンのようなリアル寄りのVRゲームにおける音楽の価値は、BGMという意味ではシンプルな必要があるかもしれませんが、体験として歌を聞くというシーンや、その結果としての楽曲への思い入れと言う点であれば、他のゲームよりも圧倒的な強みがあり、そして実現していると思います。
人が歌を歌ってくれるというのは、特別な体験なのであるということを改めて認識しました。


シンプルなところはシンプルに。目立つところはVRの技術を活かして全面に。このメリハリで、サマーレッスンはサウンド面から彩られていると思います。



なぜ「アリソン・スノウ」なのか

それでは、3人のキャラクターがいるサマーレッスンの中で、なぜ「アリソン・スノウ」というキャラクターなのか、というところです。

もちろん個人の好みによって違いがある、ということを前提に置かせてください。私が金髪美女が好きというところも前提に置かせてください。顔が好きというところもあります。

でもそこだけじゃなくて。3人全員分プレイして、一番違和感を感じなかったのがアリソンだったんですよね。

サマーレッスンは、以下の3人のキャラクターを体験することが出来ます。

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明るく元気な女子校生、宮本ひかり
学校の成績が悪くなり、両親から家庭教師(プレイヤー)をつけられることになり、1週間後の試験に向けて勉強することに。


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アメリカのシンガーソングライター、アリソン・スノウ
日本文化を知るために、忙しいスケジュールからこっそり抜け出して、以前から興味のあった日本に来ています。プレイヤーは7日間、日本文化を教えることになります。


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世間知らずなお嬢様、新城ちさと
「サマーレッスン:新城ちさと」では、7日間で彼女に一般常識や年相応の娯楽を教えることとなります。

これも個人の感覚になってしまうのですが…もちろんひかりちゃん(サマーレッスン:宮本ひかり)、ちさとちゃん(サマーレッスン:新城ちさと)もアリソンとは違った、グッとくるポイントはありました。
ゲームの中で女子高生にストレッチさせられると思わなかったし、(これ、ひかりちゃんに頼まれたらアスリート並みの筋トレもこなしちゃうかもな…)と思いましたし。

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ではなぜその中でアリソンなのか。
これは比較した結果ということになるのですが…。

やっぱり、ひかりちゃんやちさとちゃんみたいな女の子って、現実にはいないよな…ってどこか思っちゃうんですよね。
以前どこかのゲームメディアのレビューで読んで同意したんですが、さすがにやっぱり、知らない人が自分の部屋にいて、それを見かけた女子高生が「一旦開けたドアを閉めて、またこっそり開ける」なんていうリアクションはしないんじゃないかなと、つい思ってしまったんですよね。
これが2Dイラストのギャルゲー、ビジュアルノベル、アニメなんかだったら違和感はないんですよね。もう現実ではないこと前提で見ているので。

もし現実だったら、「え、ちょっと、誰ですか、なんで勝手に部屋に入ってるんですか」くらいの反応で、鬼クレームを家庭教師紹介センターに入れるくらいの方がリアリティがあるような気がして。警察を呼ばれてもおかしくないと思います。もちろんそれではゲームとして成り立ちませんが。

上記のようなアニメ的、ギャルゲー的な行動をVRで見てしまうと、「あ、これはゲームなんだな」って一瞬現実を感じてしまったところがあって、没入感がちょっと抜けちゃったところがありました。

ちさとちゃんもそうで、このご時世になんの問題も無い子を学校に行かせないというのは、ヤバい家庭なんじゃないか? と気になってしまいました。どうしても、ビジュアルもモーションもリアルだからこそ、シチュエーションにもリアルという整合性を求めてしまうところがありました。

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じゃあどうしてアリソンなのか。というところなんですが、個人の経験が関係してくるところが大きいものの、アリソンが外国人というところが大きな理由のひとつです。

金髪でシンガーソングライターで20代くらいの美人な外国人、正直自分の知識と経験の中で「きっとこんな人でこのくらい話せてコミュニケーションはこんな感じなんだろうな像」が全くないんですよね。
会ったことも話したことも無い。もしかしたらクラブ等で知らない外国人の方と話したことはあるかもしれませんが、それでも記憶にはほとんどありません。外国人とのコミュニケーション経験が乏しいからこそ、一般的な外国人像が想像しにくいのです。

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一般的な女子高生がなんとなくわかるからこそ、ひかりちゃんを見て「こんな女子高生いないんじゃないかな~」とは思うかもしれないものの、アリソンの場合は「日本に来た外国人はこのくらいの片言でこのくらいのコミュニケーションが普通なのかも…ややリアクションがオーバーに思えるけど、これが『アメリカ』なんだろうな…」って無意識に納得しちゃったんですよね。

もちろんこれはどうやら間違いで、先ほどリンクで紹介したIGN JAPANのレビューによると、あの片言も英語の発音もネイティブではないようです。しかしそんなに腰を据えて外国の方と話した経験が無いので、現実的かそうでないかの判断が出来ませんでした。英語力もありません。そうなると、違和感の見つけようが無いんですよね。無知だったんです。

違和感というものは正しいものがあってこその違和、だと思うので、正しい(正しいというよりは、一般的な)外国人像が確定していない自分からすると、アリソンの行動はほとんどが正なんです。少なくとも、他の2人のキャラクターと比較すると。付け加えると、フィクションの中での外国人像というのは、片言で話すとか、割とキャラクターとして一貫しているところがあるような気がします。

だから、没入感が強かったんですよね。
例えば海外に住んでいたり留学したりという経験のある方は私のような感想は抱かないかもしれません。でもきっと、そうでない方は私と同じように感じる部分があるかと思います。


サマーレッスンをゲームとして捉えるか、それとも現実に似せたシミュレータ寄りで捉えるかによっても評価は分かれるところだと思いますが、もちろんゲームではありつつ。その映像から私は無意識に比較的後者側で捉えていたのだと思います。

そうなると没入感を重視、リアル感を重視するようになり、その結果一番「こういう人がいるかも」という観点からアリソンが一番好きになりました。もちろん見た目で惹かれたのも大きいですが、コミュニケーションや演出も相まっての感想です。そうでなければ、DLCパックは買いません。


シミュレータ寄りではありますが、しかしゲーム的なキャラクター。
映像がVR、つまり現実と錯覚させられるくらいであれば、キャラクターにもゲーム10割ではなく「現実にもいそうだと思わせられるような声、セリフ、バックグラウンド、モーション」の割合が求められるのではないかと感じました。
逆に言えば、最近の女子高生に詳しく(?)、ひかりちゃんのような女子校生にリアリティを感じる人もいつかもしれませんし、世間知らずのお嬢様に詳しく(?)、ちさとちゃんのような子にリアリティを感じる人もいるかもしれません。私の場合は、異文化コミュニケーションに無知ゆえにそれがアリソンであった、ということです。

最終的には個々人の好みや経験によりますし、ゲームの捉え方、考え方にもよりますが、こういった、リアルな体験寄りの考えであれば、一番にお勧めするのが、「アリソン・スノウ」でした。

プレイすれば、自宅に新たな空間としてのVRが創造され、そこで脳が錯覚するレベルの対人接触疑似体験が出来る。マリオやFF、ドラクエ、十三機兵防衛圏やウイイレなんかのゲームを想像されると少し違いますが、しかしこれらのベクトルとは違う、体験というベクトルで経験を積めるのはサマーレッスンが突出していると思います。
そして私が一番その体験を強く受けた「アリソン・スノウ」。とてもいい作品でした。

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そしていくつかのスクリーンショットや動画を見ていただければわかる通り、めちゃくちゃに可愛いんです。可愛い人が真面目に勉強してくれて、しかも自分のために歌ってくれたらどうなるかって、そりゃ好きになるんですよ…VRと現実の境が薄くなるほどVRは現実と言っていいはずなんです。現実に人から好意を受けたら、嬉しいですよね。サマーレッスンでは好意の返報性がVRで発生して、余計好きになっちゃってるんですよね。(あれ…もしかしたらこの長いnoteの中でこれが一番言いたかったのかも??)


終わりに:現実逃避ではなく現実を豊かにするためのVR

私自身が決してヤバい奴ではなくサマーレッスンが素晴らしい作品であり、サマーレッスンがゲームのレベルを1段階超えたものであるとご理解いただけたでしょうか。まあ私自身も近々無職になるのでヤバい奴と言えばヤバい奴なのですが…そろそろ仕事探します!


現実逃避ではなく、現実を豊かにするものとしてのサマーレッスン、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。
なんと今(6月3日から6月16日)、PSVRがセール中で爆安です。

この波にぜひ、乗っかっていきましょう。
季節的にも夏が近づいてきています。当然ですが冬にプレイするより夏にプレイしたほうが没入できます、きっと。サマーレッスンにお金を落としましょう。
そしてバンダイナムコエンターテインメント様、ぜひ「サマーレッスン:結婚編・家庭編・子育て編・老後編」までの制作をお願いします。正直、最初にプレイしたときは「これ結婚しなくていいじゃん…(?)と」思いました。少子化になりそう。
もし今後のシリーズ化が難しくても、ぜひ「サマーレッスン:鵜飼さん」をお願いします。鵜飼さんと仕事したい。
バンナムさんのVR事業、楽しみに待ち続けていきたいと思います。

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