Jリーグ 観戦記|雨の先に|2021年J1第19節 川崎F vs 福岡
空から降り注ぐ水滴は昨年の夏を想起させる。雨に濡れ、艶が浮き出る等々力。雨粒は光を受けてカーテンのような紋様を夜空に作り出す。
多摩川クラシコ後の一戦。勝手な印象だ。しかし、一拍の呼吸を置くような、どこか弛緩した雰囲気をこの一戦から感じ取る。トラックの上で炭酸のように弾ける雨。その冷たさは、その思いを加速させた。
風が頬に触れ、雨粒が身体の表面を濡らす。それは試合と僕の意識との間にいくばくかのフィルターを作り出す。川崎は福岡を追い詰め、遠野のゴールによって先制する。