書評 #17|コンビニ人間
村田沙耶香の『コンビニ人間』は個人と世界との摩擦の物語だ。大多数の価値観によって形成される「普通」。敵と味方。承認と拒絶。淡々と描かれる、感情の冷戦。それは決して特別なことではない。それは眼前に存在する日常だからこそ、読者の心にも重く響く。
コンビニバイト歴十八年。彼氏いない歴三十六年。主人公の古倉恵子は世間の「あるべき姿」からは離れた位置にいる。自身と世間の常識との乖離。本心を隠し、間合いに注意しながら生きる日々。極端ではある。しかし、「世界にはまらない感覚」には少な