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【囲碁】どうしたかったの?

目指していた進行があるにも関わらず

進んでみるとそれが全然できていないという事はよくあります。

盤上は絶えず変化しますし、相手もこちらの狙いを見て作戦を決めてきます。

それでもそもそも何をしたかったのかという所を見ていけば打つ手は自然とわかるものです。

シンプルに盤上を見ていきましょう。


目指している事は何か?

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(実戦1~18)

なんてことのないよくありそうな布石。白10は様子見で、黒の受け方次第で今後の方針を決めています。黒は力をためました。

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17手目で黒1と打てば穏やかです。これで悪い事はなく自然な進行です。

実戦は積極的なカカリです。

さて、実戦黒はこの後どうするかを考えていきたいところです。


イメージをする事

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(1~4まで)

まずはどんな進行をイメージしていたか見ていく必要があります。

実戦黒17のカカリに対し白が1と受ければ黒2とさらに白にプレッシャーをかけていきます。スピード良く展開し、地で引き離してしまおうという積極策です。

上辺黒2子が弱い所なので、白3と反撃しますが、黒4と補強し、上辺の白、もしくは右上の黒を攻めますよと主張します。

この進行は受け入れられないと思い、白は実戦18手目と先に有利な戦いを仕掛けようとしました。

このやり取りがこれから考える上でのベースになります。


思い込まない事

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(実戦19~26) 実戦の進行です。

黒は上辺の戦いを続けました。お互いの石が弱いため、逃げ合いますが

右下黒のカカリが取り残されたままの戦いとなっています。

ここまでで黒には数手疑問に感じる手がありました。

そもそも上辺は白が黒の積極策を避けて「上辺だけは有利な戦いをしますよ」としたところです。

その為カカリは放っておいたままの進行になっています。

と、すれば何をすればいいのかはわかりやすいのではないでしょうか。


面白い事に、不利な状況だけをみて、「あ、やばいなんとかしなきゃ」と思うような方は多いです。

視野が狭くなり盤面全体を窮屈なものとします。

盤面全体を良く見てみるとポジティブな状況は必ずあるものです。


そのままに捉える

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黒は受けさせようとして、白は受けなかったのだから

当然ながら追撃したい所です。

そのままに考えていいところです。

右下は黒の石数が多いスタートとなるので有利な戦いになりやすいです。

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(1~16まで)

一例を示すとこんな感じ。黒は下辺を大きく、白は右辺と上辺に展開しました。白の方男鹿スピード感はあるように見えますが、右下の黒はかなり分厚いので白地を削りにいくには十分な態勢です。

お互いがお互いの主張をして自然な進行です。

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(1~19まで)

白8と変化しました。手堅く収まる手です。しかし白も少し妥協してしまうと、黒の積極策がまた現れてきそうです。黒19までは黒がスピード感ある展開でしょう。

最初の意思を大切に進めてみれば、

悪くなる事はありません。困った時は、シンプルにそのままに捉えてみましょう。


勉強した事が邪魔をする

よく、囲碁の指導をする時に「記憶で打たない」という事を言います。

勉強した事を出そうとすると、自らを縛り付け盤上を見れなくする事があるためです、その例が実戦の23手目に現れました。

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(1~10まで)

白からは1から形を整える手があります。

白の好形となり、戦いが不利になる事を嫌がり

実戦の23と受けた格好となります。

考えた結果その手となりましたが、打った本人も受けるのはおかしいと感じていたようです。

しかし時にしっかりと勉強しているとそれがどうしても邪魔をしてしまう時もあります。

意識してシンプルに盤上をみていきたいものです。

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(1~5まで)

黒のは当初の予定通り、右上白にプレッシャーをかけていきたいです。

白2を心配しましたが、上辺は今は小さい所なのです。

黒3、5と右上を連打できれば黒ペースとなります。

よくみると白地はほとんどないですね。

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(1~9まで)

白は上辺黒を攻める事を目標とするでしょう。

黒も妥協はできない局面で、隅を奪いながらこちらの言い分も通します。

上辺の戦い次第ですが、うまく逃げる事ができれば黒の実利が上回ります。


勉強してきたことはあくまでも判断する為の材料です。

局面は絶えず変化していきます。得た知識を使えば正しいという事はなかなかありません。

盤上をしっかりとみてシンプルに捉える事が大切でしょう。

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実戦(27~36)

実戦の進行は白の戦いに余裕ができ

黒が窮屈な展開となりました。勉強してきたことがプラスの方向に使えるようになるとノビノビした戦いができるでしょう。


そもそもどうしたかったの?

検討というものは丁寧にやりますが、

言葉のキャッチボール自体は大したことはしません。

この1局でも

「この手はどうしたかったんだっけ?」

くらいの一言から始まります。

「この図を目指してました」と大体答えますが、

「白はそれは受けなかったよね。ならどこで戦うの?」

「あっそうか」

くらいのものです。ちょっとした質問の繰り返しで

盤面を素直に見られるようになってきます。

そもそもの所がわかれば碁はノビノビと打てます。


まとめ

最近ではAIを使って勉強が主流です。

もちろん僕も使いますし、優れた手を学ぶのは強くなる上で大切な事です。

そこから大事なのは自分の手、自分の言葉にできるかどうかだと感じています。

皆同じような手ですと、感じるものは少ないです。

似たような手だとしても自分の手として確信を持って打っていると共感、共鳴できることは多くなります。不思議な事に。

面白い碁打ちたいですよね。

という事でてきと~に楽しんでいきましょう。

ここまで読んで頂きありがとうございます!サポートを頂けたら今後の活動の励みとなります。ぜひ一緒に囲碁を上達していきましょう!