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コラボを終えて

 少し、時間が経ちましたが、こんにちは世界さん連載お疲れ様でした。『砂漠、薔薇、硝子、楽園、』完結をお祝いします。
 人間というのは、面白いこじれを持っているもので、その〈ねじれ、こじれ〉をどのように具体的なものとして描いて行くのか、という点が小説の面白い点なのだと思いますが、こんにちは世界さんの人物は実に〈ねじれ、こじれ〉に満ち溢れていると思いました。すれ違いと齟齬と云うものが、もしかしたら主題にあるのかも知れません。

 コラボ企画を終えて一筆描こうかと思います。また、note上でコラボを考えている方の参考になればとも思います。

 きっかけは互いのスランプでした。

 始まりは、2020年2月、私からのお誘いをこんにちは世界さんが受け入れて下さいました。恐る恐るメールアドレスを伝えて、ご返事をいただき、趣旨や意図を伝え、其処から少しずつ進めました。ただ、コラボと云うものが具体的に見えてきたのは途中からであります。お互い、過去に書いたスケッチやプロットを、交換し、相手の着想から新たな物語を書いてみよう、そう云う案に発展しました。互いに三つほど、スケッチとプロットを提出しました。

ローズテライの感想

 先ほど、〈ねじれ、こじれ〉〈すれ違いと齟齬〉と申しましたが、「ローズテライ…」にもその傾向はありました。私はそれを少しだけ進めてみようと考えました。

 三編のスケッチとプロットを頂いたのですが、私が手を付けたのは一編のみです。
 窓と男と女、その着想を少しだけ伸ばそうと感じました。
 泣いている女がいる、ならばその女を自由に出来ないだろうか?と考えたのです。


『砂漠、薔薇、硝子、楽園、』こんにちワールド爆発

 私が差し出したスケッチは、結局の所、きっかけであるように思えます。それだけ最初のスケッチと『…楽園、』は違います。人物が持つ〈ねじれ、こじれ〉そして人物同士が起こす〈すれ違いと齟齬〉、これらは実にこんにちは世界さんの独自の世界なのだと思います。SFと云う衣を纏っているのですが、やはり人と人が互いに隠し、探り合い、傷付き、愛し合う、そんな情景が繰り広げられます。
 想像以上に成功したと思いますが、想定外でもあります。当初は短期的なコラボで、互いに短編の予定だったので。ですが、嬉しい誤算と云う所でしょうか。


 過程で、メールのやりとりが沢山ありました。時期的にコロナの話題、終末的世界について話す事もありました。これに付いては何時かお話し出来る機会があればと思っています。

 実感としては成功です。互いにスランプを脱し、一作品を仕上げたのですから成功だと云って良いでしょう。

結び

 ですが再びスランプはやってきます。私は再び自分と向き合わなければならなくなりました。『ローズテライ…』以降、私は書けていません。フィクションと現実と云うものに付いて常に悩んでいる気が致します。これは深刻なスランプです。私は虚構を書く事で現実と何とか折り合いを付けていたのだと感じます。そして、虚構すら凌駕する現実の切迫感を前にして、それでも語る物語を求めています。

 虚構を語らうと云うエネルギーは或る種の生きる力なのだと感じています。虚構を語らう生…何と云うか皮肉なものだと思います。空想や幻想に耽っていなければ現実を生きられない脆弱な精神、それが私なのだと思い知ります。生き生きと闊歩するためには幻想のワクワクがなければなりません。ではその余白は何処から生まれるのでしょう?
 私達は各々の世界の終わりを生きていて、其処にほんの少しの続きを書き加えようとしているのかも知れません。

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