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垂直睡眠

この街にあるいくつもの孤独な睡眠が並べられたドミノのように倒れて行けば、爽快な目覚めになるに違いない。「詩は歌詞ではないから鼻歌にはなれないのさ」と巻貝が云った。不安定な記憶に課せられた秩序が綺麗に崩壊したら詩は正常に認識されるだろうか?分断されたスクランブル交差点、スマホを掲げる外国人観光客とタバコを吸っている浮浪者をカメラが盗み撮り、夜空は抽象画のようだ。人それぞれだから言い争いなんて無意味だ。けれどすれ違う人々は不満を掲げて今日も平行に眠る。あの日売りさばいた良心の欠片にどんな落書きを書いたか思い出せない。もっと意味のない落書きが書きたい。でもどれだけ走っても読解は追いかけてきて誤読する。夢は分析されて腱鞘炎は治らない。だから旅に出よう。誰にも追いつけない速さか、遅さで。計画が破綻する計画を立て、順調に寝起きをして、日常は綺麗に台無しになってゆく。心も体も諦めを待っている。魂が冷却されて初めて現代の煮えたぎるマグマを飲み込めるのだ。怒りは主張ではない、分裂だ。だから、喜びは怒りの中にある。怒りでドミノを並べよう、そして、巻貝の垂直な眠りを飲み干し長い眠りから目覚めるのだ。

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