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貧乏人は旅行をするなという言説には物申したい

こんにちは、自転車で世界一周中、ゆーせいです。初めて2年ほどはほとんど知り合いしか見ていなかったYouTubeもいつの間にか知り合い以外も見てくださるようになり、しかも批判的なコメントまで頂くようになりました。もしかして俺ってば有名人!?と世界の裏側で有頂天になってしまいますね。

以下の動画ではこのようなコメントを頂きました。YouTubeコメントに関する著作権に関する知識が皆無なのでコピペせずに意訳でお伝えします。気になる方は直接お探しになってみてください。ついでに動画も見てくださると嬉しいです笑

いわく、自転車旅行は無料あるいは激安でインフラを使いすぎで迷惑である。日本に数多くの飲食店や宿泊施設があるのに、資金に余裕を持たない旅行者がこれを使わずに野宿やコンビニ飯・自炊で済ますことで観光業やゴミ処理などに迷惑がかかっている。こんなことをする日本人や海外旅行者が増えれば、日本経済や地元社会に迷惑をかけてしまうから旅行するのに十分な資金を蓄えてから宿泊施設や飲食店を存分に利用しながら旅行すべし。

というような趣旨のコメントです。なるほど、なぜだかはわかりませんが、日本に限らず海外でも長期の自転車旅行者でお金持ちの人に会ったことはほぼありません。もしかしたら、お金に執着がある人は自転車旅行に興味がないのか、逆に自転車旅行に興味のある人はお金の執着がないのかも知れません。そして、我々旅人は方々で人々の善意にお世話になっています。旅の先人フーテンの寅さんだって「土地土地のお兄さんお姐さんにご厄介掛けがちなる若造です」と言っています。ある時は幾ばくかのお金や食料をいただき、ある時はベッドを貸していただき、またある時は車に乗せてもらいます。人々の善意を当てにこそしていないですが、善意に甘えているのは確かです。そして、善意に甘えお金を節約することで、経済に与える影響が少ないこともまた(少なくとも自分の場合は)確かです。しかし、そのことが一足飛びに「自転車旅行者はただ迷惑で、日本経済を滅茶苦茶にするから、旅行自体を控えるか、十分な資金を貯めてから旅行すべし」というのは少しばかり暴論のように思います。

①貧乏旅行者が増えることはあるのか?

まず、自転車旅行あるいは貧乏旅行は一定以上に増えることはないと言い切れる非常にニッチな旅行スタイルです。ハードルはおそらく読者の皆さんの方がご理解されているかと思います。いくら無料だからと言って、外の地面で寝たり毎日汗だくで自転車を漕ぎたいでしょうか?安いからと言って毎日おんなじカップ麺を啜って白飯とふりかけで過ごしたいでしょうか?

私の周りの友人を見渡せば、30にもなってせっかくの旅行でこんなことしているのは自分だけです。みんな温泉でリラックスして、地元の旬の食材で舌鼓を打って、飛行機に乗って限られた時間を節約しています。旅行で得られる非日常の刺激は、辛さではなく、贅沢さで味わいたいのが人情ってものでしょう。「貧乏旅行は若者の特権」なんて言葉をこの4年間耳が腐るほど聞きました。ですから、私のような旅行者が激増して宿泊施設や観光地が滅茶苦茶になるなんて話が飛びすぎです。どこかの誰かが需要と供給はうまい具合に調整されていると言っていましたし、、、

②無料のインフラを過剰に利用しすぎなのか

そもそもインフラとは、社会や生活を支える基盤です。交通網や道路・電気や水道・インターネットなどそれがないと生活がままならないもののことを指します。おそらくコメントされた方がインフラの意味を履き違えていらっしゃるので、細かく言及するのはやめておきます。動画内容とコメント内容から察するに、コンビニのゴミ箱や公園の水道などの公共設備ないし無料サービスを使いすぎであるというご指摘かと思います。

この問題に関して言えば、我々?少なくとも私は公共設備のフリーライダーではありません。日本在住の間は確定申告もして、税金を支払っています。当然間接税も。道路や公共施設を利用するのは当然です。公園で仲睦まじくボール遊び中の親子に向かって「経済を回さないなんてけしからんし迷惑だ、ディズニーランドで消費せよ」なんて言えますか?道の駅も公共施設ですから、そこに設置されたゴミ箱やトイレを利用するのは当然のことです。

他方で動画でも触れているように確かに、本来の目的とは違う形で公共施設を利用するのは問題となり得ます。例えば野宿は本来の道の駅や公園の利用目的と異なります。あまりに公園にホームレスが多いと治安の面からも公園の目的の面からも良いものとは言えないでしょう。しかし、本来の利用目的と違うとは言え、その場で寝ることが明確には禁じられていない場所で、なるべく迷惑のかからない形で一部スペースで数時間眠ることが道義にもとるとは個人的には思えません。現に道の駅であっても明確に禁じられているところ、明確に許可されているところ、許可制のところ、黙認のところと対応は様々です。明確に禁じられていられるところではもちろんダメなのは前提として、それ以外の道の駅でもなるべく管理者さんにご挨拶をして許可を取るようにするべきだとは思います。そしてその場で眠ることが迷惑千万だからやめなさいとその地域の方に言われたら即座に謝りますし、移動します。でも、実態も知らずにインターネットで声高に「無料だからって甘えるな!迷惑だぞ!!」というのは少し乱暴すぎやしないでしょうか?

③旅行者は宿泊や飲食、観光に十分な資金を貯めてから旅行すべきなのか?

観光経済を回すために十分な資金を用意してから旅行せよというのは、裏を返せば「資金が貯まるまでは節約をして、地元経済を回さなくても良い」と言うことです。稼ぎの総額を増やせればハッピーですが少なくとも私は増やせません。増やせないなら、旅行中節約するか、十分な資金のために普段の生活で節約するかしか選択肢はありません。それに、全く消費せずに旅行することも不可能です。旅行とは即ち消費することです。食べ物を買ってお土産を買って、微力ながらでも地方経済を回すことに協力はしているので、タンス預金しているよりずっとマシではないでしょうか?

もちろん大量生産-大量消費は資本主義における美徳です。でも、それに寄与できない貧乏人にも配慮してほしい、、、、です。

私だって本音の本音で言えばやりたいのは貧乏じゃない贅沢自転車旅行やりたいんですよ!!!?人の欲望なんて際限がありません。毎日、温泉、豪勢な食事、荷物を運んでくれるサポートカー、全てを記録して綺麗にまとめてくれる編集マン、ふかふかベッドにマッサージ、ついでに可愛い彼女、欲しいですよ??でもそんな資金を貯める時間よりも今すぐ自転車旅行したいが勝っちゃうバカなんです。そんな私みたいな小数の人種が経済をブン回さなくても生暖かく見守ってくれる寛容な社会を望みますし、自分自身そういう人間でありたいとも思います。

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