42歳からのジャズ12: 自由演奏会の自由が支えてくれた


自由に憧れて42歳でジャズ・トランペットのレッスンに飛び込んだもののトランペットの基礎を身につけることで手一杯のまま時間だけが経っていた。

48歳の冬のある日、アルル音楽教室の年配のクラスメイトから自由演奏会への参加を誘われた。

誰でも参加できる吹奏楽イベントだ。集まった人で簡単なリハーサルを行ない同じ日に本番演奏をする。どの楽器が何人集まるかは当日でないと分からない。楽譜は当日渡されて本番終了後は返却。楽器の上手い下手は問わない。音が出せそうなところだけ音を出せば良い。それで音楽になるんだ。とても楽しいよ。君に向いていると思う。

そんな説明だったと思う。

アルルの発表会で簡単な金管アンサンブル曲を演奏したことはあったが、吹奏楽を演奏したことはなかった。でも面白そうだな。人前で演奏する機会は貴重だな。そう思って申し込んだ。

2009年の12月。寒い日の朝、集合場所の豊島公会堂の外にトランペットと譜面台とミュートを持って並んで受付開始を待った。障害者の人たちの音楽祭「豊島ミュージックフェスティバル(TMF)」のプログラムの一つとして自由演奏会による演奏が行われるとのことだった。

楽しかった。演奏できる箇所だけ演奏する人が大人数で合奏するとそれらしく聞こえる、音楽が生まれる。新鮮だった。

自由演奏会の発案者で吹奏楽の指導者である杉山淳さんのリハーサルでの言葉に参加者は声を出して笑い、そして演奏を楽しんだ。吹奏楽って楽しいんだな。合奏って楽しいな。音楽の楽しみ方は色々あるんだな。そう思った。

それから毎年のようにTMFでの自由演奏会に参加するようになり、2011年の東日本大震災の復興支援を呼びかける自由演奏会にも参加した。

ジャズができる糸口すら見つけられずに鬱々としていた私を自由演奏会の自由が支えてくれた。

“☆★自由演奏会とは☆★
「自由演奏会」とは、年齢・性別・演奏レベルなどの枠を超え、音楽と楽器が好きな方なら誰でも自由に演奏に参加できるコンサートです。
当日集まった人たちでリハーサルからコンサート本番までを作り上げます。
楽譜は吹奏楽用を使用し、当日配布、終了後回収します。”
2019年のふくしま応援自由演奏会の開催概要より。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?