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全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話

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特に転勤もない、バリキャリでもない、普通の共稼ぎ夫婦がどうして、子どもの進学先として寮制中学にたどり着いたのか。 迷って、悩んで、考えた、そんな軌跡のログ。
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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】1『小さなお家』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】1『小さなお家』

私は息子に家も資産も
残してあげられそうもないから
だったら彼の心の中に
小さな家を建てようと思った。

嵐の時には避難できて
ポカポカ陽気の日には
友達とBBQできるような
小さな家を。

だから
その家づくりを
手伝ってくれそうな学校に
行かせたいと思って
探し始めた。

探し始めて程なくして
それは意外な場所で見つかった。

名前も聞いたことない
その小さな中学校は
山のてっぺんに
畑に囲ま

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話 】2『それは突然やってきた』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話 】2『それは突然やってきた』

「オレ、寮がある学校でもいいんだけど」

新小4として塾に通い始めて数ヶ月。

分厚い学校案内とともに塾主催の有名校説明会の日程表を渡され、とにかく「聞きに行け」と言われるので我が子の実力も省みず、親としても、なんとも楽しく前向きな気分であるこの時期に、塾から帰ってきた息子にこう言われて、夫と私はビックリした。

だってそんなラインナップ、考えた事もなかったし。大体、そーゆー学校は

「お金はある

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】3『説明会で泣く〜その1』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】3『説明会で泣く〜その1』

例の発言から2週間後、突然降って湧いた「全寮制」という新しいカテゴリーに興味津々で、東海地方にある、とある寮制男子校の首都圏での説明会へ向かった。

他校を借りての説明会だっのだけど、門のところからすでに係のお母様がいて「◯◯の説明会にご参加ですか?」と声をかけられる。

マズい。このお母様の「奥様み」半端ない。あたしとは違う人種、、、始まる前から怯む。(夫がどう思ったのかは定かではない)

案内

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】4『説明会で泣く〜その2』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】4『説明会で泣く〜その2』

「あの、簡単に言うと『ハリーポッター 』を思い浮かべていただければ、大体そんな感じです」

後半は寮監の先生から実際の生活スケジュールや生徒たちへのアンケート結果などが披露された。が、寮についての説明、随分大きく出ましたね先生(笑)実際、各寮から全員同じ食堂へ食べに行くとか、敷地内の寮から歩いて学校へ行くとかは確かに『ハリーポッター 』なんだけど。

「寮でも高校生になると全部個室でホテルみたいな

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】5『なんか話がうますぎやしないか?』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】5『なんか話がうますぎやしないか?』

バンビ学園の説明会に行ってから他校の説明会に行くと、全てここと比べながら聴いてしまうようになった。

が、

1年かけて野人になって
時間の使い方を最初から自分で考えさせて
毎日夜には学習時間があり
一日の最後には今日の我が身を振り返りながら眠りにつき
卒業式では殆どの生徒が、始まる前から号泣するという。

なんかこう書いてみると、あまりにも良く出来過ぎている気がしてならない。その上、副校長の話が

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】6『この疑問はどう解決するのか』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】6『この疑問はどう解決するのか』

相変わらず、内容も話ぶりも「うますぎる話」と、肝心な校長先生が登場してこない2点に疑問を持っていたのだけど、これには個人的なワケがあった。特に校長先生が登場しないという点について。

息子を塾に通わせ始めてまもなく、私の母親に通塾のことを話したらこう言われたのだ。

「あんた分かってると思うけど、学校説明会にたくさん行って話を聞くと『この学校、この校長先生になら子どもをお願いしたい』ってところが絶

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】7『自称「東海地方のホグワーツ」を敵情視察する〜その1』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】7『自称「東海地方のホグワーツ」を敵情視察する〜その1』

見学の予約は「クラブ体験会」の日に入れさせてもらい、息子には吹奏楽部の体験と帰りルートにある、ラジオCMでお馴染みの海鮮料理屋での食事を提案して出かけることに。

が、当日諸事情により、キツキツのスケジュールだったために、到着が大幅に遅れ、「クラブ体験」が15分くらいしか出来なかったのだけど。

遅れて入った音楽室でパーカッション担当の高校生が「こっちおいで」と呼んでくれて、息子に小声で色々説明し

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】8『自称「東海地方のホグワーツ」を敵情視察する〜その2』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】8『自称「東海地方のホグワーツ」を敵情視察する〜その2』

「こんにちは〜」
「こんにちは〜」

先生と校内を歩いていると、すれ違う生徒ほぼ全員から挨拶された。そして先生は彼らをファーストネームで呼んでいた。

「今、通った子は中3で、今年の3月にお兄さんが高校を卒業したばかりなんですよ。お兄ちゃんは良かったんですけどね、いや〜彼は去年荒れて大変だった〜」

えっ?あの爽やかに挨拶して通り過ぎた子が?

「あ、いいところにいた。ちょっと◯◯来いよ」

今度

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】9『自称「東海地方のホグワーツ」を敵情視察する〜その3』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】9『自称「東海地方のホグワーツ」を敵情視察する〜その3』

見学に行った日が全員帰宅日ということで、荷物を持ち帰る為に、お迎えに来ている保護者の姿もチラホラ。

とにかく、この学校は遠いし情報もないので、今という機会は疎かに出来ないぞ!の精神で、寮の玄関で荷物を運び出していた、ビックリするぐらい地味なお母さんに恐る恐る声をかけてみた。

バンビ学園と同じ県内にお住まいということで、何を聞けば良いか分からないので漠然と「どうですか?」とかしか聞けなかったんだ

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】10『保護者のカガミ〜その1』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】10『保護者のカガミ〜その1』

秋になってもまだ、洗脳されつつも、心のどこかで「イメージ戦略に騙されているのでは」と思っていた。

当の息子はというと「あそこの学校入ったら案内してもらった◇◇先生に社会習いたい〜」と言っていたので本人の感触は悪くなかったようだった。
息子、イヤな時は意外とイヤとハッキリ言うので、今のところ問題無さそうだ。

そこで、生徒と保護者を観察する受験の王道イベント「文化祭」に行くことに。

ただしこの文

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】11『保護者のカガミ〜その2』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】11『保護者のカガミ〜その2』

待っている間に、さすがの私でさえ「子供3人ここに通わせている」という言葉の意味を考えたら一体どんな人なんだ!!!!!と身構えた。

「こんにちは寮役員のOです」

出てきたのは愛想のよいボブ・ディランみたいな、私たちより少し年上のお父さんだった。話しやすそうな雰囲気に安心して、早速どうしてここにたどり着いたのかの聞き込み開始。

「上の子たち(双子!!)は小学生の時からラグビーやってたんですけど『

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】12『保護者のカガミ〜その3』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】12『保護者のカガミ〜その3』

普段は関西をメインに活動しているというジャグラーの卒業生はトークを交え、お客を巻き込みながら楽しいステージを展開していく。

そして最後の大業を始める前に、その準備をしながら一番前で見ていた中学生たちに向かってこう話し出した。

「僕が「この大業を出きるようにしたいと思っている」と、ジャグリングの先輩たちに話した時、2種類の反応をする人たちがいたんだよ。一つは「いや〜お前にはそれは無理だろ」って言

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】13『それではみなさん、次回、入学式でお会いしましょう!』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】13『それではみなさん、次回、入学式でお会いしましょう!』

バンビ学園では毎年、秋の連休のどこかで「入寮体験会」を行っているようで、その年も10月の連休に開催された。

今回は男同士で行ってもらうことにして、私は後から話を聞くことにしたのだけど、、、

って、でも気になって(笑)
途中で夫のLINEにどーでもいいようなバンビ学園の地元ネタを送信してちょっかいだしていたら

>今、参加してる保護者で座談会しているんだけど、寮を見学した日に部屋の中で声をかけた

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【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】14『内発的動機付け』

【全くその必然性のない我が家の息子が、寮制中学に入った話】14『内発的動機付け』

お付き合い2年目。

息子、5年生になった。が、相変わらず相模湾の深海魚のような成績とやる気のなさ。

元々ゲームとか勝負とかに全く興味ない人だったので、それは分かっていたのだけど。

そんな息子が珍しく「勝負モード」で取り組んでいるものがあった。それは『NHK全国学校音楽コンクール』通称Nコン。

小学生は音楽の先生が主催する学校の特設合唱クラブで出場するのが一般的だ。

4年生の春にいきなりそ

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