ねこねこソフト『すみれ』感想

えっちゲームをクリアしたので感想を書きます。公式サイトが見つからないのでDL版のストアページを貼っておきます↓

『すみれ』ってどんなゲーム

あらすじをストアページから引用します。

都内の会社に勤める主人公。
仕事にも慣れた社会人2年目の春。
学生の頃はエロゲーやソーシャル系にもハマっていたが、現在は少し疲れ始めている。
そんな中、ネット上にある通称「ギャルゲ学園」と呼ばれる場所だけは、
今でも毎晩のようにinしていた。
別にゲームやアニメの話しがしたいわけじゃない。
そこにはお互いに「親友」と呼べる仲間が居る為だった。

簡単にまとめると、こんな感じ↓

・社会人になって、ゲームもアニメも前のようには楽しめなくなってしまった主人公。
・唯一の楽しみは、ネット上で知り合った明るく楽しい友人たちとのチャット。お互い深く干渉しないのがルールだが、現実ではそれぞれ問題を抱えていて……。
・ネットと現実を行き来しながら、皆が人並みに成長していく模様を描く。

主人公が社会人である事以外は、割と王道というか、珍しい設定ではないんじゃないかと思います。

ねこねこソフト10周年記念作品との事で、過去作品関連のおまけコンテンツが充実しています。僕は過去に『みずいろ』のドラマCDを聴いたり、『ラムネ』をプレイしたり、『サナララ』の小説版を読んだりと、いくつかの作品にやんわりと触れる機会があったので、そこそこ楽しめました。知らなかった過去作品にも興味が湧いたので、いずれプレイしたいですね。


全体的な感想


大まかな感想↓
・小説を読んでいるのと似たプレイ感で、個人的に進めやすかった。文章も読みごたえがある。
・設定は好き。主人公が社会人な所とか、全員が人生苦手な所とか。
・シナリオはまぁまぁ。全体的にあっさりめ。構成は良く練られているが、流れがちょっと複雑で飲み込みにくい。
・CGが多めで、退屈せずにプレイ出来た。
・演出はプロの仕事だと感じた。シナリオの理解が追い付かなくても、BGMや演出で十分心を動かされる。


また細かいところとして、

・各ヒロインのストーリーが1本で繋がっているので、1プレイで全ての女の子を救える
・1プレイで最大1人としかえっちしないので、主人公が複数人と関係を持つ事はない

といった点は良かったです。それぞれのルートに行くために他の女の子を無視したり、軽率な浮気描写を見たりするのが個人的にはキツいので。こういうタイプのえっちゲームをもっとやりたいな。

今までの人生で、一度でも「自分はあぶれ者だ」と感じた事がある人ならば、シナリオに共感出来るところが多いと思います。そういう人たちは、この作品のキャラのように生き方が下手な人々を、ただ「負け犬」と馬鹿にしない優しさを持っている人たちだと思うので。そういう優しさを忘れないように生きていきたいですね。

物語構成やシーンの対比など、よく考えられた作品だと思います。2周して初めて気づく事も多かったです。いわゆるスルメゲーかもしれません。

あとちなみに、最カワヒロインはすみれちゃんです。


以下ネタバレ注意!

以下ネタバレ注意!

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すみれ編

個人的最カワなのでルートの内容も詳しく書いていきます。

見所
・えっちシーンよりも濃厚な「ぼっち」シーン
・ぼっちを克服していく過程

すみれちゃんの「ぼっち」描写には、非常に気合が入っています。すみれちゃんに関して言えば、多分ぼっちCGの数がえっちCGの数より多いというくらいです。念入りに一定数のヲタクの過去を抉ってきます。具体的には、

1. 休み時間にうつ伏せになって寝たふり、周りからは自分の陰口も聞こえてくる
2. クラスメイトと鉢合わせたくなくて、わざわざ乗るバス停をずらす
3. 帰宅後には毎日のように一人反省会
4. 周りの目に怯えながら一人でプリクラ、帰宅後に虚無感に襲われる

といった次第。全部CG付き。

すみれちゃんは、引っ込み思案なせいで気付けば「ぼっち」になっていたタイプで、周りからあからさまにイジメられているわけではないです。あっても「あの子いつも寝てるよね~w寝たふりだったりしてw」とやんわり陰口を叩かれる程度。やっぱり本人の性格の問題が大きいんですね。

本人もその事を自覚しています。

「……どうしてわたしは、人に馴染めないのだろう……」
そう呟くが、その理由はわかっている。
「わたしは、ハッキリとモノを言うことが出来ないからだ……」

頭では分かっているのですが、行動に移せずにいるわけです。

一方で、素の彼女は、ネット上のキャラ「モエ」のように明るくふるまえる一面もあります。周りの目を気にしすぎて、うまく表現できていないのですね。主人公であり、彼女の義理のお兄ちゃんとなった「健ちゃん」は、現実でのすみれちゃんを見て、その事にやんわりと気が付きます。

これを克服する事がすみれちゃんの課題でした。愛想笑いを身につけたり、彼氏がいると嘘をついてまで会話に加わったりと色々試しましたが、やっぱり上手くいきませんでした。

最終的には、大好きなお兄ちゃんとなった主人公の陰口を叩いていたクラスメイトに、寝たふりをやめてぶち切れる事でこれを克服します。結局、嫌われる事を恐れて「ハッキリとモノを言うことができない」という根本的な問題から目を逸らしていては、解決にはならなかったんですね。

「すみれ編」を通して、心情描写が非常に丁寧です。特に、すみれちゃんが主人公に対して、愛想笑いをするシーンと心からの笑顔を見せているシーンの対比が個人的に好きです。

すると、彼女も笑顔で返してくれた。
まだどこかぎこちない、俺と同じような笑顔を向けてくれた……
そう言って、少しだけ笑ってみせた。
それは、昨夜見せた、ぎくしゃくとした笑顔ではなく、俺が極めた、愛想笑いでもなく……
初めて俺が見る、彼女のうれしそうな笑顔だった……

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