精神科医と名乗ること、医師であると名乗ること。

ここに文章を書くにあたって、一番迷ったのは自分自身の立場を明確にするかどうかということ。私は日常的に、とにかく精神科医であることも、医師であることもひた隠しにしている。

なぜ?理由は本当にたくさんある。始めは医学生の頃だったか。医学部だとわかると、殆んどの人はドン引き(苦笑)解剖とかやるの?という判で押したような質問ばかり。医師になってからも同じような状況は続き、ため口で話していた人も、職業を知ると敬語になる。

それでも仕方ないとは思う。ただ、そこから一歩進んで始まるのは安易な医師の乱用。こんなことを言って良いのかわからないけれど、知り合いに医者がいるとなると、途端にしょっちゅう質問や相談が来る。もちろん、個人個人はとても好きな人達で、その人達がここぞと相談してくれるのだけれど、夜、土日…ようやくやってきたプライベートな時間に大きな問題を相談されるということは本当にキツイ。

精神科医というのも大きいのかもしれない。仕事でならば、吐き出されたものの処理は自分自身できちんとできる。でもプライベートな時間に侵食した…言い方は悪いけれど…吐瀉物のようなものを、私はどのように処理したら良いのかわからない。この先も、ずっと先も顔を合わせるその人達の吐瀉物を。

過去に、ブログやTwitterで素性を表したこともあったけれど、すかさず精神科で治療を受けている方からの質問が来て、申し訳ないけれどげんなりして閉鎖してしまった。

でも、これを避けていると、私自身ときちんと向き合えないと思う。だからこその始まりにします。

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