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この人すごい

自分がうまく言葉で表せないことをいとも簡単に表現している文章に出くわすと感動するし、それがマイナーな分野だったりすると応援したくなる。

きょうはそういう紹介文です。題して・・

「この人すごい」シリーズ

第1回は、ブログ「スムーズジャズを聴けば明日が見える」の管理人であるアサイユージ氏。*

(*2回目以降は未定です。)

スムーズジャズというジャンル自体が日本には定着していないんだけど、あれこれめんどくさいことを言いたくない・・というか言う力がない。

音楽についてなにか書こうとすると、腰砕けになるというか、へなへなしてしまうのがなさけないが、ぼくは気持ちいい音楽を気持ちよく聴いているだけの人間なので、以下、誤解を招く表現があった場合はすいません。

さて、スムーズジャズは、とりあえず日本だとカシオペアみたいな音楽だといっていいのかな。

カシオペアはフュージョンでしょ?

といわれると、

そうですよね

としか言えないけど。まあ、フュージョンから発展したのがスムーズジャズだといっていいだろう。

さて、そういうわけでスムーズジャズ自体がLGBTQのように・・というと語弊があるかもしれないけど、ジャンル分けできないほど多様に広がってきた音楽の中のある一定のあいまいな部分を指している。

ウィキペディアの「スムーズジャズ」というページでは、渡辺貞夫もパット・メセニーも、クリス・ボッティも、アール・クルーもこのジャンルに入れられているが、

貞夫さんはジャズでしょ?

といわれたら

そうですよね。

としか言えない。

ともかく、このジャンルは聞き心地が良くてBGM的な扱いになりがちなのでなかなか光が当たらない。

ドリフターズのうしろで演奏している「ダン池田とニューブリード」みたいなものだ。「ダン池田とニューブリード」だってすごい人々だと思うのだが、音楽としてガッツリ評価されることはなかなかない。

そうしたスムーズジャズの中でもここ数年、かなり熱心に聞いているのが Kool & Klean(クール&クリーン)というプロジェクトなんだけど、”プロジェクト”というのがまたよくわからない。

Kool & Kleanはユニット名ではないし、アルバム名でもなくて、ウクライナ出身のサックス奏者コンスタンティン・クラストルニという人の「プロジェクト」なのである。

この人は、サックス奏者としてさまざな大物ミュージシャンと世界を回っているんだけど、このプロジェクトでは自分のサックスを前面に出さず、打ち込みで独特の音楽空間を作りあげている感じで、このあたりも説明するのがむずかしい。

そのうえでこの「Kool & Klean」というプロジェクトが、スムーズジャズにぴったりあてはまるわけでもないのである。

「スムーズジャズ」と「エレクトロニカ」と「チルアウト」のあいだくらいというひとがいるけど、エレクトロニカをことばで説明するのはスムーズジャズの10倍くらい難しいので、とてもじゃないが手に負えない。

電子楽器によるダンスしないダンス音楽?(汗)

ごめんなさい。チルアウトも無理だ。

ヒーリングミュージックの一歩手前でロックの残り香があるかんじ?

さて、ここまで書いてきて曖昧模糊とした感じだけは伝わったでしょうか。

そういう中で「Kool & Klean」の魅力にはまっている日本人もわずかにいて、たとえば、ギタリストの村田たけしさんという方のブログ

初めて聞いたときは、スピリチュアルな浮遊感のあるサウンドに不思議な感覚を覚えましたが、思考を邪魔しないその音作りに、いつの間にかすっかり虜になってしまった始末。

特別この曲がキャッチー!ということも無く、ただただ淡々と流れていくだけ(笑)

ふむ。「思考を邪魔しないその音作り」か。さすが短大非常勤講師のギタリストさんはうまいこと言うなー。

アマゾンでは「Kool & Klean Volume I」から「VolumeIX」までの9枚がリリースされているが、全アルバムがいい。個人的にとりわけ愛聴しているのは4枚目のVolume IVで、前述のアサイユージ氏もこのアルバムをとりあげて解説しているのでやはりこのアルバムはいいのだろう。

このプロジェクトは、彼のサックスが必ずしも主役ではなく、プロデューサーとしてトータルなサウンドデザインがコンセプト。シンセ、サックス、ギター、アコピ、打ち込みドラム等が、平均的にミックスされて、不思議な浮遊感とヒーリングムードに溢れている。

全11曲、特にハイライトなトラックがあるという訳でもなく、同じムードで淡々と流れていく。その音世界は、終始メローで、耳をそばだてることもなく、空気的でさえある。こういうタイプの音楽は、イージーリスニングと称されて残念ながら評価されにくい。でも、リラックスしたい時にはうってつけのグッド・ミュージック。

そうなのである。こういう感じなのである。こういう曖昧模糊とした音楽世界を的確な言葉に置き換えることのできる表現力というのはすごいものだ。

Kool & Kleanは「ダン池田とニューブリード」以上に評価されにくいかもしれないけど、その魅力をしっかりと言葉で伝えている浅井さんや村田さんのような人たちもいる。そして、ぼくのような素人でもしずかに耳を傾けて自分の思考をまとめている。

ここ2週間、このnoteをかくときはこのアルバムを聴いている。


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