見出し画像

本当の行動力とは

ぼくがはじめて東京に行ったのは高校1年の時だった。1985年のつくば万博である。はじめて飛行機に乗ったのもそのときだ。羽田に着陸してまずおもったことは

薬師丸ひろ子に会ったらどうしよう

である。当時、田舎の高校生は「東京には芸能人がいる」と素朴におもっていた。本四架橋もかかっておらず、ネットもなかった時代だ。いまでは考えられないほど幼稚な意識レベルだった。

高校生のうちに飛行機で東京へ行ったことのある人は周囲にいなかった。しかもぼくはもともと出不精のインドア派である。放っておけばいくつになっても飛行機など乗らない。

それでも強引につくば行きを決めたのはどーしても見なければならないものがあったからだ。当時、東芝館で上映していたハイスピード高解像度映像システム「ショースキャン」というヤツである。

今日言いたいことは、

・"本当にやりたいこと"があったら行動力などいくらでも湧く
・未来の映画「ショースキャン」の宇宙的意味

この2点です

ちなみに家族の中で最初に飛行機に乗ったのはぼくである。しかし結果としてそうなっただけであり、飛行機になど乗りたくはなかった。

飛行機に乗りたい、原宿に行きたい、東京ディズニーランドに行きたいなどの願望は一切なかった。飛行機も東京も、東芝館にたどりつくために突破しなければならないカベでしかなかった。純粋に「未来の映画」を見たかっただけであり、松山スバル座で上映してくれたらどんなによかったか!

薬師丸ひろ子にあったらどうしよう

というのも会いたかったわけではない。芸能人に会ったら緊張して疲れるのでそうならないうちにさっさと東京を横断したいなあ、と余計な心配をしていた。

東芝館にたどりつくためには、

・家族が誰も乗ったことのない飛行機の切符をどうやって買うか(ネットなどない時代)
・どうやって東京を突破してつくばにたどりつくか(移動手段や宿泊先など)

こういうアタマの痛い問題があり、まるっきりどうしていいかわからなかった。ふだんのぼくならめんどくさがってやらないが、ショースキャンのためならやるのである。

とにかく、すべてを放り出してでもつくばの東芝館には行かねばならなかったわけで、必要なら高校を退学してアメリカにでも渡ったことだろう。

いま思えば行動力というのはこういうものではないかと思う。行動力のある人・ない人がいるのではない。なにがなんでもやらなければならないと感じている人はいやでも行動的になってしまう。東芝館にたどりつくためには、飛行機や東京を突破せざるをえない。

ちなみにどうやって突破したかと言うと、一緒に行ってくれるともだちがみつかり、彼のお兄さんが慶応大学に在籍中だったので面倒を見てもらったのである。行動力だのカベを突破だのといいつつ最終的には丸投げしている。とはいえ本気で声を上げたから丸投げできる相手がみつかったわけで、これも行動力だ。

飛行機と東京のことで1000文字を越えてしまったので、未来の映画「ショースキャン」についてはまた後日。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?