ときには知ったかぶりも必要である
以前、サイバーセキュリティ担当大臣がUSBのことがわからなくてひんしゅくを買った。
あれはマズい。
この国のサイバーセキュリティのスゴさが世界に知られてしまう。
わからなくてもわかったフリをするのが大臣の使命だ。
今後は、ブロックチェーンと言われてもフロッピーディスクといわれても涼しい顔でうけながしてほしい。
国防のためには知ったかぶりも必要である。
***
しかし、知ったかぶりは思わぬところでバレる。
ゴロの良さにつられてバレるパターンが多い。
ぼくじしんで言うと、小学生のころ「夏のセンバツ」といって笑われた。
***
高校野球は、春と夏に大会がある。
春は「選抜」で、夏はトーナメントだ。
春は、秋に優秀な成績をおさめた学校が選ばれて(選抜)出場する。
一方、夏の大会は、地方大会から一戦一戦「負けたら終わり」のトーナメントである。
したがって「夏のセンバツ」というのは存在しない。
しかし、小学生のぼくは「春のセンバツ」があるんだから「夏のセンバツ」もあるだろうと知ったかぶりでしゃべって笑われた。
ゴロのよさに引きずられてしまったがゆえの敗北である。
***
高三のとき、高校の野球部が夏の地方大会で勝ち上がっていったことがある。
しかし、3年生は受験もひかえているし、応援にはあまりノリ気ではない。
そこで、体育のO先生が講堂に生徒をあつめて「ぜひ応援にきてくれ!」とゲキをとばした。
「とくに三年生のきみらは、これから共通一次、そして共通二次へと・・・」
ここで全校が爆笑。
当時、国公立の試験は、「共通一次」と「二次」があった。
共通一次とは、いまでいうセンター試験である。
一次だけは全国共通でやろうということで「共通一次」と名づけられていた。
二次試験はもちろん各校バラバラ。
「共通二次」というのは存在しない。
***
しかし、O先生は、「共通一次」のゴロの良さにひっぱられて安易に「共通二次」と言ってしまい、爆笑をさそった。
スパルタで恐れられるO先生だったが、「この人は体育のこと以外は、ぜんっぜんわかってないんだな」と全校生徒にナメられてしまった瞬間だ。
サイバー大臣のUSBなみである。
ゴロのよさには、じゅうぶん気をつけたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?