未来というのは時間の先にあるのではない
勝つとか負けるかとか、儲けるとか損するとかに夢中になってる世の中ってつくづくおもしろくない。こころを揺さぶられない。
エジソンは電球を発明した。
これには揺さぶられる。
なぜか?儲かったからか?
ちがう。
人類の夜のあり方を変えたからだ。
もっというと、それがエジソンだったかトマソンだったかはどうでもいい。
大事なのは「人類の夜が昼になった」ということであり、この事実は未来永劫変わらない。
別な例。
ライト兄弟は、飛行機を飛ばした。
これもすごい。
人類の距離の概念を変えたからだ。
ただしライト兄弟だったかレフト兄弟だったかはどうでもいい。
大事なのは「人が空を飛ぶようになった」ということであり、この事実のすごさは未来永劫変わらない。
「発明者の椅子」にだれが座るのかなんてのは、じつはどうでもいい。
勝ち負けも同じ。
だれかが勝てばだれかが負ける。
勝つというのは、あらかじめ用意されている「勝利の椅子」にだれが座るかというだけのはなしだ。
誰が座っても、それで椅子の形が変わったりはしない。
(椅子の形が変わったらほんとうにすごいんだけど)
座っている本人が「オ、オレが座っているんだ」というオレオレ感に浸れるという以外、なんの意味もない。
もちろん、がんばった本人は大いにオレオレすればいいけど。
ただし、ぼくに興味があるのは、椅子の形が変わるかどうかだけだ。
あんたが座るかどうかはどうかはどうでもいい。あんたが座らなければ別の誰かが座るだけである。
トランプが座らなければヒラリーが座るだけで、
そんなことは、100年もしたら鼻くそほどの違いもない。
こうやったら儲かります
こうやったら勝てます...って
それでだれが勝っても、だれが儲けたとしても
生命の概念が変わるわけでも、
時間の意味が変容するわけでもない。
イチローさんがすごいのは
勝ったからでも
ガッポガッポ稼いで
リゾートで寝そべって「自分らしく」生きているからでもない。
彼はヒットの概念を変えた。
遠くに飛ばせば飛ばすほどエライとされていた世界で
詰まらせる技術を追求してだれよりも打率を上げた。
これがすごいのだ。足元を揺さぶられるのだ。
未来というのは時間の先にあるのではない。
「椅子の形が変わる」ということが未来なのだ。
地面がロックしないと面白くもなんともないんだよ。
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