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ほんとうに熱い人はクールである

最近、他県ナンバーのクルマをネットでさらすだとか、自警団っぽいことが横行していると聞く。他国同士のいざこざに熱くなる人も多い。一方で、そういうことがいっさい気にならないタイプの人もいる。

ぼくもそちらである。

とはいえ聖人君子ではないので他人のゴシップは気になるし、世間で話題になっている問題に首を突っ込みたくなることもある。でも、やらない。しかし、ガマンしているのでもない。

「二百三高地(勝負の決め手)はそこじゃないんだよな~」という感じで見ている。

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自警団や国家主義者は見るからに熱そうだけど、ぼくも熱さでは負けていない。正直に言えば、彼らの数千倍は熱い。

と、そこまで考えてみて気づいたのは、どこに熱くなるか、そのポイントがちがっているのではないかということだ。

当座のことに熱くなる人は、個々の戦闘に熱くなりすぎて、最終的に勝ちにもっていくことを考えていないのではないか。

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最終的な勝利というのは、そんな立派なことでなくてもいい。

たとえば、「40歳までにフェラーリを1000台買って、ガレージに並べる」という目標に熱くなっているひとがいるとする。

一台3000万円として、1000台で300億円が必要になる。

40歳までに300億を稼ごうと本気で思っている人は、他県ナンバーを撮影することにいくらエネルギーを注いでも、自分の目指している勝利にはつながらないことがわかる。

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囲碁の勝負では、大局観がだいじと聞く。大局観とは、盤面全体を考えて判断する視点である。

囲碁は陣取りゲームであり、最終的にあいてよりも一目(いちもく)でも上回れば勝ちだ。

争いは盤面のあちこちで同時多発的にに起こる。

右上の争いで勝てば20目の陣地がえられ、左下の争いに勝てば21目えられる場合:右上の勝ちにこだわれば左下の戦いに負け、結果として20目取って21目とられ、1目差で負ける。

このばあいは、右上を捨てて、左下を死守するのが正解である。

右上の勝負を捨てるすがたは一見クールに見えるけれど、じっさいは勝負への貪欲さが捨てさせているのである。

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人生も同じだ。大きな目標のある人は、右上を捨てる。

他県ナンバーが停まっていたとか、芸能人のだれそれが不倫したとか、そういうことは人生の右上である。

逆にいうと、細かいことで争っている人は、大きな勝負をしていないということだ。ほんとうに熱い人は見た目がクールである。

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