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Zoomに癒されている

自粛生活が長引く中で、「Second Life(セカンドライフ)」がいまふたたび話題を集めているというニュースを昨日のツイッターで紹介した。セカンドライフとは仮想空間の出会いの場であり、「どうぶつの森」をちょっとリアルにした感じのものである。

ニュースに登場する男性の一人が言っていたけど「仮想空間はリア充にも魅力的」なのだそうだ。彼は、充実した家庭生活を送る一方でニッチな趣味もあり、ネットでそれを共有できる仲間とつながることには実生活とは異なる魅力があるのだという。

ぼくも、ニッチな趣味…というか研究をずっとやってきた。以前は人とのつながりもあったんだけど、ここ10年は思うところあって完全に一人でやってきた。それに応じて、飲みに行くことも減った。飲んだら素の自分がでてしまう。本来はそれがたのしいわけだけど、今はこころをひらいて飲むことはできない。たまに酒席に参加しても、意識してハナシを回す役になっている。量も抑えるし、そうたのしくもない。

でも、ここ5か月ほど、似た者同士が集まるZoom飲み会に出席するようになった。そうなってみると、上記の男性の言うことがシミジミわかるのである。毎月十数人があつまるのだが、みんな孤独に研究を続けている人たちばかりだ。それぞれテーマはちがうし、主張がぶつかることもあるが、全員、世間からバカにされるようなことに真剣に取り組んでいる。

そこでは、ぼくも素になれる。長年あたためてきた疑問やビジョンを思い切って提示しても笑う人はいない。むしろ、ロジカルに反論したり、納得したりしてくれる。これほどうれしいことはない。もう10年、こういう経験はなかった。

かれらとリアルに飲みに行くのもいいだろう。しかし参加者は全国に散らばっているし、飲まない人もいる。また、飲み会では込み入った話もしだいにグダグダになるものだ。それよりは、Zoom会議で終始顔を向け合って、チューハイを片手にリラックスしながら語り合う方が、複雑な意見交換には適している。少なくともぼくにとってはこの方が何倍もおもしろい。

最先端の人々はそろそろ「Zoom疲れ」に陥っているそうだけど、ぼくはいまごろになってZoomに癒しを得ているところだ。「飲みに行って語り合うのが楽しい」という当たり前の感覚、「仲間と会うのが楽しい」という感じを取り戻しつつある。このありがたさは、なんともいえない。

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