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人事を尽くしてから天命を待つ

インターネットはいいところもたくさんあるけど、情報がかたよっていくというデメリットもある。昨年、アメリカでは「分断」ということがさかんに言われたが、共和党支持者と民主党支持者とではそもそも見ている情報がちがっていた。意図的に耳をふさいでいるのではなく、知らず知らずにそうなってしまうところがこわい。

いわゆる「最適化」だ。たとえば、今ぼくがヤフージャパンのトップページを開くと、一番上にくるニュースはこれである。「西武が打線改造」

その次が、五輪開催に関するニュース。

その次がこれだ。西武のトコロテン打線。

次も、西武高橋投手の長髪について。

その次に五輪のニュースが三連続で来る。

つまり、上から順に、西武 - 五輪 - 西武 - 西武 - 五輪 - 五輪 - 五輪となっている。

しかし、いくらぼくが世間知らずだといってもこれはおかしいとわかるわけですよ。全国民のヤフートップ画面が西武と五輪のサンドイッチになっているはずがない!おそらく1億2556万人くらいの国民のトップページには「高橋投手のロン毛」は載っていないと思われる。この画面は、ぼくが西武と五輪のことしか考えてないという現実を反映しているだけである。

ツイッターもおなじ。ぼくのタイムラインには「五輪中止すべきなのに政府はどうなっているんだ?」「国民を無視している!」というツイートばかりが流れてくるが、それはぼくがそういうひとばかりをフォローしているからかもしれない。世間もみな同じだとと思うのは大まちがいである。日本中が「高橋光成のロン毛」に注目しているわけがないように、世間ではもしかすると「五輪って何年後?」くらいなのかもしれない。

そこで、五輪反対の署名ページを見てみたけど、まだ30万人に達していない。東京都の人口が1300万だとして、それとくらべてもかなり少ないのである。そこで世論調査を調べてみた。以下結果です。

時事通信(4月半ば)開催28.9% ー 中止39.7% - 再延期25.7%
朝日新聞(4月11-12)開催28% ー 中止35% ー 再延期34%
共同通信(4月半ば)開催24.5% - 中止39.2% - 再延期32.8%
産経FNN(4月17-18)開催24.3% - 中止56.8% - 再延期17.6%

中止が多数派になっているのはどこも同じである。産経は飛び抜けているが、あとはだいたい4割弱といったところ。再延期組も今年の開催はのぞんでいないわけだから、あわせれば各社とも7割以上の人が開催を望んでいないことになる。

これをみるかぎり、民主国家でオリンピックをやるのは不可能に見える。それでも強行するならよほどの事情があるのだろう。よくいわれているようにIOCとの不平等条約で仕方がないのだろうか。

ただし、僕のシロウト考えをのべるならば、たとえやったにしてもやらなかったにしても、いずれなんらかの国際問題になった場合のことをかんがえれば「国民の多くは開催に合意していなかった」という証拠を残しておくことは、国際世論にアピールするうえで意味があるのではないかと思う。そう思ったので、中止の署名には賛同しました。

「人事を尽くして天命を待つ」といいますが、今の段階でやれることはやり、その上であとはまな板の上の鯉。なるようにしかなりませんので、あせらず天命を待ちましょう。

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