全米・全世界対象の新ファンド

実績報酬併用型の全米株式・全世界株式ファンドがあらたにリリースされた(2023/11/27設定)。
https://go.sbisec.co.jp/prd/fund/smt_iplus.html
https://www.smtam.jp/fund/detail/_id_510221/
https://www.smtam.jp/fund/detail/_id_510222/
情報をまとめ、買い方について検討してみる。
SMT iPlus 米国株式        運用報酬  年率0.55%+実績報酬(最大1.1%)
(つみたてインデックスプラス・アメリカ)
SMT iPlus 全世界株式     運用報酬  年率0.55%+実績報酬(最大1.1%)
(つみたてインデックスプラス・オール・カントリー)

まとめ

結論から。
・SMT iPlusシリーズの基本運用コストは十分低い(年率0.055%~)
・ベンチマーク対する優越分の33%、上限年率1.1%の実績報酬はさほど高くはないと評価できる
・目論見書から戦略を読み取り、共感できるならいつからでも「買い」
・様子見なら数期かけてベンチマークに対する優越を確認してから判断

実績報酬併用のSMT iPlusシリーズ

https://go.sbisec.co.jp/prd/fund/smt_iplus.html

SMT iPlus 米国株式/全世界株式はベースの運用コストを低く設定した成功報酬型の新しいファンド。2023年11月リリース。
米国株式はMSCI USAを、全世界株式はMSCI ACWIをベンチマークとしている。いずれも基本運用報酬は0.055%(年率,税込)と低く設定されている。四半期の運用成績がベンチマークを上回った場合、翌四半期において追加の実績報酬が発生し、運用コストが増える。

実績報酬の発生

・設定来の運用成績がベンチマークを上回っていること
・四半期の運用成績がベンチマークを上回っていること
3,6,9,12月最終営業日の時点で上記条件が両方満たされた場合、翌四半期において実績報酬が発生する。
※対象四半期中の成績がマイナスであってもベンチマークを上回っていれば発生する
※実績報酬の発生は2024/4/8以降

実績報酬は、ベンチマークを上回った超過収益率(年率換算)の33%(税込)とし、その上限は1.1%(年率,税込)となる。
つまり、ある四半期の運用成績がベンチマークを年率で+3%上回った場合、実績報酬としてのコスト負担1.1%(年率)が翌四半期において発生する。
実績報酬に上限が設定されているため四半期実績が年率+3%以上の場合もコストは変わらない。

運用の特色

伝統的指標とオルタナティブデータの活用を活用した4つの戦略によりベンチマークを上回る運用を目指す
オルタナティブデータとはニュース、衛星画像、口コミなどの最近投資への活用が始められたデータとのこと。

4つの戦略:バリュー、モメンタム、ディフェンシブ、クオリティについては目論見書参照とのこと(未読)

果たして有効に活用できるファンドなのか?買い方に工夫の余地はあるか?

(1)長期的に見て運用成績がベンチマークを上回るものであればいつ購入しようと問題なし
(2)結局ベンチマークと同じ程度に収束していく成績となる場合、最終的に実績報酬によるコストを取り戻せる程度の成績は期待できるのか?
(3)結果についてはわからないと考えた場合の適切な投資戦略は?

ベンチマークを明らかに上回る運用成績になる場合はなにも考えずに積立なりスポットなりで投資をすればよいが、ここではそのパターンはひとまず脇に置いておく。
それ以外の場合でコスト(リスク)が高いと想定されるケースは一時的に成績がよく、実績報酬が発生した状態で本ファンドへの購入を始め(もしくは積み増しし)、それ以後、実質的な運用成績がベンチマークに収束していく過程で実績報酬の分だけ劣後してしまうこと、と考えられる。
ワーストケースは、ベンチマークに対する劣後が続き、ファンドの純資産総額が高くならず(もしくは低くなり)、早期償還の憂き目を見ること。

運用が一定程度優れていることを期待し、リターン(ベンチマークに対する優越)は期待できるが、その分のリスク(ベンチマークに対する劣後)も十分想定される、という判断をするならば、以下いずれかのパターンでの購入が合理的であろう。
(1) 設定当初にファンドを購入する
    その後はベンチマークを上回っている場合にのみ追加費用が発生するため、ベンチマークインデックスに純粋に追従するファンドに大きく劣後することはさほどない(あるいは期待リターンに対する応分のリスク分のみ発生する)と考えられる
(2) 設定後、ベンチマークに劣後している状況で購入する
    ベンチマークに劣後している状態は、純粋に運用が優れていないか、今後の挽回が期待できるかのいずれかであろう。後者であればよいが、前者である可能性も考えられるため、劣後しているという事実をもって運用の優秀さに疑いがもたれる状態であれば購入を取りやめることになる。
(3) ベンチマークへの優越が複数期継続している状況で購入する
    優越が複数期継続するのであれば、たまたま運用戦略マッチしていたか、そもそも運用が優れているか、いずれかであろう。後者と考えられるならば勝ち馬に乗るつもりで投資を開始するのは悪くない。その状態であれば、おそらく純資産総額も増加していることが期待できる。

個人的には(1)か(3)いずれかかな?と考えるが、いまのところは様子見。
目論見書を見て「運用が優れている!」と判断できる人は(既存ファンドから一部乗り換えることを含めて)最初から購入し、その後も継続的に購入するとよいだろう。
様子見するならば、複数期の結果を見て、ベンチマークへの優越が継続し、純資産総額が順調に増加してから購入を開始するということになる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?