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結婚式でもイヤミ絶好調

結婚後、にゃりぺよは夫と結婚式を挙げました。
ほとんど親族だけの小さな結婚式です。

にゃりぺよはずっと、大事にしてくれた父に晴れ姿を見せたいと思っていました。
母親とは正直顔を合わせたくなかったものの、そういうわけにはいかないので結婚式に招待しました。

母親が義両親に何か失礼をしては困る。
そう心配しつつ結婚式は始まりました。

式場スタッフの勧めで、ベールダウンを母親にお願いしました。
たとえば義母に頼んだなんて話になれば、きっと母親は激怒します。

形式的なことだし、と思ってにゃりぺよも納得していましたが…。
この間、にゃりぺよと母親は一言も言葉を交わしませんでした。

そしてにゃりぺよと夫から、両親に手紙を読み上げました。
にゃりぺよは復讐のため恨みつらみを書き連ねるなんて、ドラマのようなことはしません。

そんなことをするほどにひどいことをされたかと言われれば、そういうわけでもないのです。
にゃりぺよは、母親との楽しかった日々を創作で書きました。

本当は母親として責任を果たしてほしかった。
にゃりぺよが傷ついたとき、寄り添ってほしかった。
男よりもにゃりぺよを見て、にゃりぺよを大事にしてほしかった。
にゃりぺよを縛りつける目的の、呪いの言葉を言わないでほしかったです。

にゃりぺよはそんなこと言いません。
「母とは友達のように仲よし親子で、何でも言い合える関係です」と言いました。

友達のような仲よし親子なんて、母親は大好きでしょう。
にゃりぺよは母親が憎いのと同時に、決して傷ついてはほしくないのです。

母親は手紙を聞いて、うれしそうに泣いていました。
にゃりぺよは自分と母親の間に、過去への認識の大きな齟齬があるのだと冷静に感じました。

ちなみににゃりぺよは手紙を読みながら大号泣しました。
ただそういう状況に感動しやすいだけで…。

挙式は何事もなく終了しました。
にゃりぺよは緊張している夫を見て「こんなに緊張するなんて…」と思い、母親への恨み言など忘れていました。

そしてその後、披露宴でにゃりぺよと夫が各テーブルを回っていたときのこと。
にゃりぺよの母親がいるテーブルで話していると、ふとにゃりぺよは嫌な予感がしました。

にゃりぺよは夫に先に義両親のところへ行くよう伝え、一人で残ることに。
すると母親は「ご祝儀いっぱいもらった?私はそんなの渡さないからね」と言ったのです。

なぜか笑顔でした。
どういう感情?

こんなときにまでわざわざイヤミを言うなんて。
母親がかわいそうな人間に思えて、反吐が出そうでした。

離婚することになって愛する父を失った母親。
若くて一番男の目を引く時期に、足元をつきまとうにゃりぺよは厄介だったことでしょう。

母親の幸せを奪ったのはにゃりぺよの存在です。
そんなにゃりぺよが幸せになったとて、母親には面白くないことでしかなかったのですね。

にゃりぺよはついに「あ~面白い、これ後でネタにしたらかなり面白いわ」と思うようになりました。
披露宴の間、にゃりぺよは極力母親のいるテーブルには近づきませんでした。

代わりに新郎新婦の席で、夫との仲睦まじい様子を母親に見せつけました。
憎いにゃりぺよがこんなにきれいなドレスを着て、すてきな夫と笑顔を浮かべるところを間近で見ればいい。

これ以降、母親が思いつきで気遣いの言葉をかけてきても、にゃりぺよは母親を一切信用できなくなりました。
ずっと「でもこの人、結婚式の最中にイヤミ言ってきたしな」としか思えません。

ちなみに義母はその夜、ご飯をご馳走してくれました。
そして本当にうれしそうに「ドレス姿可愛かった!いい式だったね」と言ってくれました。

にゃりぺよはよりいっそう義母のことが大好きになりました。

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