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無敵の人状態に…

上京後、父のおかげで無事に大学に通えたにゃりぺよ。
卒業後は当たり前のように地元を離れて就職しました。

にゃりぺよは希望の職につくことができましたが、仕事以外には何もありませんでした。
気軽に県外には出られないほどの田舎に住んでいたため、友達と会うのも一苦労だったのです。

仕事以外の時間、にゃりぺよは昇進目指して必死に勉強ばかりしていました。
そして布団に入ったときや車での移動中、考えるのは自分の育ちが悪いということばかり。

あのころは「人には人の地獄がある」ということがわかっていなかったのです。
にゃりぺよは最悪な家に生まれてこんなに頑張っているのに、まともな家に生まれたみんなは甘えて嘆いてばかりだと思っていました。

まともな両親に望まれて大学に行き、何不自由なく育てられたのに親の悪口を言う人が嫌いでした。
まともな子ども時代をすごしておきながら、悪ぶっていじめや不倫をする人が嫌いでした。

にゃりぺよはそういう人を全員ぶん殴って黙らせてやりたい一心で
全員の上に立ってやろうと思って、資格を取って、企画を出して、結果を出そうと必死でした。

その実、上や周囲に取り入るということは絶対にしたくありませんでした。

同期は互いにマウントを取りあっていたので、くだらなくて嫌いでした。
トラブルが起きたら親にチクって、親が出てきてくれるほど恵まれているくせに、他人に難癖をつける甘えた根性が許せません。

タバコ休憩ばかり取って不倫している上司が嫌いでした。
納得のできない命令は聞きたくないので反発し続けました。

幸いなことに、男ばかりの職場でにゃりぺよは「気が強くて優秀な若いの」としてとくに上司たちから評価されていました。
そのおかげで昇進の話も早く、結果も正当に評価されたと思います。

しかし上に行こうという思いと同時に、バカにされたら相手を殺してもいいと思っていました。

どうでもいい。
どうせ育ちが悪くてこの先幸せになることは一生ないんだから、犯罪を犯しても何も困らない。
むしろバカにされたときは、もうこの人生を捨てるつもりでやってやる。

1人のまともな人間として仕事で結果を出そうとしておきながら、まともな人間ではないから死んでも殺しても捕まっても何も傷がつかないと思っていました。

その後、にゃりぺよは病気で出勤できなくなりました。
1ヶ月経って出勤したころには体力がなくなって、まるで仕事についていけませんでした。

そして仕事を辞めて、にゃりぺよは社会から爪弾きにされたような気になりました。
情けなくて、無敵な人状態どころじゃありませんでした。

恥ずかしくて家から出られない。
親にも仕事を辞めたことを言えず、にゃりぺよはそれから1ヶ月引きこもりとなりました。

謎に残っていたプライドのおかげで、社会から遠ざかることで無敵な気持ちは消え…。
人が犯罪者になるか否かは紙一重なのだなと、恐ろしく思います。

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