おっさんずラブのあのシーンのことだけ考えてみた

おっさんずラブinthesky(スカイ)5話を見た。
田中圭ファンと千葉雄大ファン両者の心を震わせたキスシーンがクライマックスの5話。
その余韻に浸りつつ、そう言えばおっさんずラブで出てくるのキスって、ちゃんとしたのがないなぁ...とふと思った。

ちゃんとしたの、というのも適当な言い方だが、好き合った二人が気持ちを通わせてどちらからともなく顔を近づけて、といった雰囲気のキスのこと。

おっさんずラブのキスシーンを振り返ってみる。まずは不動産編。

牧が「◯◯じゃダメですか」の名台詞と共に問答無用で春田の唇を奪った“シャワーチュー”

牧が自分を傷つけた春田を赦した夜の公園での“でこチュー”

牧がアレコレ詮索する春田をうるせーなーと黙らせた“冷蔵庫チュー”

牧がついに“我慢するの止めたんでキス”

そして実際に見られてないけどブラックアウト後に存在するであろう春田から牧へ初めての“んなわけないだろっつーのキス”

どれもその呼び名だけで場面が鮮明に甦るが、次にseason2のインザスカイ編。

成瀬がアレコレ煩い元カノ的な人(ほんとは違う)を追い払う為にたまたま居合わせた春田の唇を奪った“そういうことだよキス”

春田が成瀬への気持ちを抑えきれずに強引に為し遂げた“俺じゃダメかキス”

成瀬がまだ完全になびいてない四宮の心の隙を突いて小鳥のように啄んだ“グラタンキス”

不動産編の牧とインザスカイ編の成瀬には、好きな人への愛情表現が不器用、という共通点があると同時に、牧は春田を好きな自分の気持ちに自覚的、成瀬は四宮を好きであることに無自覚という相違点がある。

春田への「好き」をキレ気味にしか表せない牧のキスは、その言葉と同じ意味を持つ。
誰にでもキスできるという設定の成瀬の“そういうことだよキス”は、春田からの告白、四宮への告白への伏線になっている。

物語の中でこのキスの使い方、とても上手いなあと思わせられるところだ。

そして劇場版ラストのキスシーン。

初めて私たちの目に触れる、春田から牧へのキスである。
おっさんずラブシリーズの中で、これが唯一の、好きな気持ちが通じ合いお互いを求め合っているキスであり、何度見ても感動を覚えるのがその証だと思う。

最後に。

「おっさんずラブのラストは必ずキスで終わる」という説を耳にしたことがあり、インザスカイ編の8話ラストをリアタイ時、春田が武蔵に告白の流れになって、実はかなりドキドキしていたのだが、そこは二人の想いが通じ合ったハグという形で幕を閉じた。

この時には武蔵への気持ちが尊敬か恋愛か解らなかった春田が、自分の気持ちを恋愛だと自覚した時に、ハグを超えるキスシーンが生まれるに違いない。