Yurizono

なーんでも。気ままに自由に。そんなスタイルで書けたらな。

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記事一覧

堂々巡り

ボイコットをしよう、と言い出したのは誰だったのか、私自身よく分かっていなかったけれど、きっとメールをくれた濱田なつみだろうと思っていた。事件の翌日だったから事実…

Yurizono
3年前
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本当のことしか残らない

2年生の生活指導の阿部先生に呼ばれた。 「どういうことか説明を君の口から聞きたいと思ってね」 一連の流れを説明すると、阿部先生は溜息を漏らした。そうか、そういう…

Yurizono
3年前

学級崩壊

高校1年生で携帯電話を持つのが普通の世代、学校へは持ってきてはいけないもののはずだが、多感な時期にそんなことを守る人などおらず、授業中に至るところからニワトリの…

Yurizono
3年前
2

雨降って地固まる

無期限の自宅学習になったことで、肩の荷が降りた。最初に怒られれば、後は静かに家から出ないで最低限教科書写しをすれば良いものだから、あっという間に自由時間を獲得で…

Yurizono
3年前

停学

言ったからには、せめて赤点を取らないくらいの姿勢で、と思えば思うほどできない自分がいた。学校へは行くけれど、朝課外はほぼ欠席し、遅刻にならない程度に登校すると、…

Yurizono
3年前

選択

「バスケ部、辞めたい。学校の成績も下から数えた方が早いのは辛い。せめて真ん中くらいでいたい」 中学生で勉強癖がそもそもなかったから当然のことなのだが、次の期末試…

Yurizono
3年前
1

理想と現実、思い込み

「バスケ部入ろうよ」 キャプテンだった迫智子に誘われて入部を決めたが、朝7時半から朝課外、6時間授業、部活が終われば夜の7時半、疲れ果てて帰宅する高校生活が始まり…

Yurizono
3年前
1

嫌なやつ

入試の日、会場となる教室はHBの鉛筆を持つ手が震えてしまうほど寒かったけれど、2日ともよく晴れた冬の穏やかな気候で、私の味方をしてくれているようにも感じた。試験時…

Yurizono
3年前

やってみなくちゃわからない

モデルになるために行かなくてはならない進学校、だったのが、いつの間にか自ら行きたい高校になっていたのは自分でも不思議だった。 バスケットボール部に所属し、気合が…

Yurizono
3年前
1

受験勉強

頭良い人が通う塾なら頭良くなれるだろう、と言う安易な考えで行くことを決めた塾には合わず、形振り構っていられない、と、流行りの塾へ移った。自分の成績に見合ったクラ…

Yurizono
3年前
3

手紙

「学校は進学校へ。大学に行きながらなら許してあげる」 スカウトされた自負と、モデル=学業が全く繋がらず、中学卒業後は東京かあ、などどタカを括っていたし、母がそう…

Yurizono
3年前
3

出会い

ただ一つ、長身だったと言うことを除いて、自分の将来は何の変哲もなく、ただ普通に学業を終え、結婚して家庭を持つことだと思っていた。 親戚の結婚式でピアノ伴奏を頼ま…

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3年前
4

初めまして

モデル歴17年。 文章を書くのが好きで、ライターのお仕事もしたり、SNSを使ってこれまでもいろんなことを書いたりもしてきたけれど。 久々にちゃんと書いてみたいな、 …

Yurizono
3年前
5

堂々巡り

ボイコットをしよう、と言い出したのは誰だったのか、私自身よく分かっていなかったけれど、きっとメールをくれた濱田なつみだろうと思っていた。事件の翌日だったから事実確認もせずに知っていることを話すと、犯人探しに翻弄することになるだろう。

「クラスのほとんどがボイコットをしたという事実は知っているかな?」

「はい」

「誰から聞いたのかな?」

「メールで濱田なつみから報告されました」

「じゃあ濱

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本当のことしか残らない

2年生の生活指導の阿部先生に呼ばれた。

「どういうことか説明を君の口から聞きたいと思ってね」

一連の流れを説明すると、阿部先生は溜息を漏らした。そうか、そういう考えだったのか、僕が聞いていた内容は少し違っていて、いや、僕の解釈が間違っていただけのことなのかもしれないのだけど。去年君がクラス代表の文集に選ばれただろ?その時僕は国語教師として、君の去年の副担任の串崎先生と話をしていたんだよ。だから

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学級崩壊

高校1年生で携帯電話を持つのが普通の世代、学校へは持ってきてはいけないもののはずだが、多感な時期にそんなことを守る人などおらず、授業中に至るところからニワトリの鳴き声が突然聞こえたり、あえて着信音が鳴らしたりして先生を煽るようなクラスになっていた。

進学校で準トップクラスとまで言われたクラスが、学級崩壊クラスと呼ばれるなんて誰が想像しただろう。クラスの半数が停学処分を受けていた。その中でも女子は

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雨降って地固まる

無期限の自宅学習になったことで、肩の荷が降りた。最初に怒られれば、後は静かに家から出ないで最低限教科書写しをすれば良いものだから、あっという間に自由時間を獲得できた。最高!こんな時間!!、と本来なら反省文をひたすら書くべきなのだろうけれど、空いた時間には窓を開けて、家の敷地内にある柿の木を見たり、景色を見ながら、感情の整理として日記を書いた。

毎朝、仕事前に呆れた顔をしながら母が学校へノートを届

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停学

言ったからには、せめて赤点を取らないくらいの姿勢で、と思えば思うほどできない自分がいた。学校へは行くけれど、朝課外はほぼ欠席し、遅刻にならない程度に登校すると、

「社長出勤〜」

えいちゃんが、面白おかしく私をクラスに馴染ませてくれた。あまりにえいちゃんがそういう風に崇めるので、隣のトップクラスの男の子や、クラスメイトの男子は、登下校の際に私にこうべを垂れるようにまでなってしまった。

私がクラ

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選択

「バスケ部、辞めたい。学校の成績も下から数えた方が早いのは辛い。せめて真ん中くらいでいたい」

中学生で勉強癖がそもそもなかったから当然のことなのだが、次の期末試験から赤点(平均点の半分以下)を取る人とクラス分けされていくことを知っていたが故に、その枠には入りたくなかった。

バスケ部を辞めると伝えると、母はスポーツより学業に専念することに大賛成だったが、

「玲子、バスケ部辞めるの?」

「うん

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理想と現実、思い込み

「バスケ部入ろうよ」

キャプテンだった迫智子に誘われて入部を決めたが、朝7時半から朝課外、6時間授業、部活が終われば夜の7時半、疲れ果てて帰宅する高校生活が始まり、勉強などする余裕など毛頭になく、入学後初めての中間テストでクラスの下から4番目の成績を取ったことで、全ての意欲を失った。

自分のことに精一杯で2年ほど交際していた彼氏にもフラれ、全てを投げ出すかのごとく家出をした。やっと手に入れたモ

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嫌なやつ

入試の日、会場となる教室はHBの鉛筆を持つ手が震えてしまうほど寒かったけれど、2日ともよく晴れた冬の穏やかな気候で、私の味方をしてくれているようにも感じた。試験時間内に2回も見直しをできるほど、スラスラと問題を解き、1年しかやっていない猛勉強の部分だけが出題されたかのようだった。

一週間後、午前10時から10時半までの間に電話が鳴ると不合格。試験翌日に新聞に回答が掲載されていて、ほぼ合っていると

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やってみなくちゃわからない

モデルになるために行かなくてはならない進学校、だったのが、いつの間にか自ら行きたい高校になっていたのは自分でも不思議だった。

バスケットボール部に所属し、気合が入っていないときに限ってシュート率が上がったり、リバウンドが取れたりなんてして、バスケットボールでの高校推薦までいただいた。兄が勉強もスポーツも一番以外気に入らず、ヤンチャをしても家族親族誰からも可愛がられていたことで、兄の真似をしていれ

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受験勉強

頭良い人が通う塾なら頭良くなれるだろう、と言う安易な考えで行くことを決めた塾には合わず、形振り構っていられない、と、流行りの塾へ移った。自分の成績に見合ったクラスに振り分けられる鶴丸予備校に通うことは少々勇気のいることで、可も不可も無く、中間くらいの成績だった私も、隣町の中学校や勉強を目的とした同級生の中では最下位に近いだろうと予測はしていて、現実を突きつけられることに立ち向かえるのか心配していた

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手紙

手紙

「学校は進学校へ。大学に行きながらなら許してあげる」

スカウトされた自負と、モデル=学業が全く繋がらず、中学卒業後は東京かあ、などどタカを括っていたし、母がそうは言ってもきっと彼女はそんなことは言わないだろうと思っていたのに....

「お元気ですか?もうすぐ冬休みに入りますね。玲子ちゃんをスカウトしたことについて自覚をしてもらいたいことがあって手紙を書きました。

モデルは誰にでもできる仕事で

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出会い

ただ一つ、長身だったと言うことを除いて、自分の将来は何の変哲もなく、ただ普通に学業を終え、結婚して家庭を持つことだと思っていた。

親戚の結婚式でピアノ伴奏を頼まれ、大役を授かったなどと浮かれていたけれど、自分の指と鍵盤の相性を知らずに本番を迎えることで親戚中の恥さらしになってしまうことが怖くなり、新郎新婦の打ち合わせの際に式場へ連れて行ってもらった時のこと。

「お名前なんて言うの?」

僭越な

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初めまして

初めまして

モデル歴17年。

文章を書くのが好きで、ライターのお仕事もしたり、SNSを使ってこれまでもいろんなことを書いたりもしてきたけれど。

久々にちゃんと書いてみたいな、

そう思ってはじめました。

私のモデル人生や、私の思うことを書き綴って、

自分の言葉で自分の心が救われたり、

読んで下さった誰かの気持ちが楽になったり、

とにかく楽しんでもらえたら本望です。

小説家志望だった割に

期待外

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