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【女たちの邪魔をするな】プロローグ

こんにちは。百合人企画(ゆりすときかく)の宇井彩野と申します。

これから百合人というメディアで映画や本などさまざまなレビューを書いていきたいと考えた時に、私自身の「百合」観とはなんだろう、と振り返りました。

私が「これぞ百合」だと思うもの…実はそこには、かなりの割合で「女同士の友情」を描いた作品が入ってきます。
友情物語を「百合」と呼んでしまうことは、私の中にもある、「女同士の間にも恋愛が存在するんだ」という思い、「レズビアンの存在を行き過ぎた友情とは呼ばれたくない」という思いと、相反するかもしれないことです。

しかし例えば映画『テルマ&ルイーズ』を見た時の「はあ~尊い~!」という気持ちは変え難い。

この私の矛盾は一体何なのだろう。

それは、女性同士の恋愛を描こうとしたとき、恋愛に到達するよりももっと根底のレベルで覆さなければならない「男が介入しなければ作品世界が成り立たない」という価値観に対して、異議を申し立てたい思いなのではないかと、私自身は考えるのです。

周辺の人物として男性キャラクターが登場するのは別にいいんです。なにもこの世から男がいなくなれというわけじゃない(そう思っている女性も多いことと思いますが)

女たちの友情や連帯や協力が描かれるときに、さもキーパーソンのように現れた男の賢明なアドバイスによって物語が動いたりするの、もうむちゃくちゃ腹が立つし、飽き飽きしているわけです。

映画『お嬢さん』のように、さらに恋愛や性愛までも「女だけでオッケー」というところまでやってくれたら何より最高なわけですが、今の時点では、女たちが主体の作品世界が男の介入によって邪魔されないというだけで、非常に胸沸き立つものがあるわけです。

だって、現実ではなかなか難しいですからね。女たちが女たちだけでいることを邪魔されずにいられることは。邪魔されても戦っている女性たちも、現実にはたくさんいますけどね。

だからこれから私が書くレビューには【女たちの邪魔をするな】というシリーズタイトルをつけることにしました。

女たちの世界が邪魔されないことが「百合」の基盤であるという観点で、新旧の映像作品や文芸、漫画などの作品を紹介していきたいと思います。

続く第一回は、映画『女王陛下のお気に入り』のレビューです。

文・宇井彩野

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