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黒い月〜ブラックムーンリリス

ブラックムーンリリスやキロンは月のさらに奥にある「認めたくない傷や欲求」です。全ての天体や感受点はどれも単独で存在しているわけではなく、チャート全体で一枚の立体図であり、全体で一つです。ホロスコープはその全体を捉えることで、一人の人間の意識の状態を総括的に表していることが見えてきます。



特に、潜在意識の領域にある天体や感受点は密接に繋がっています。それぞれは深さの違いで分類できると言えそうです。いわば月は最も表層にあるもので、潜在意識の浅い部分に位置するので、それを捉えることが比較的容易にできます。



でも、黒い月・ブラックムーンリリスはもっと深くに潜在しているものであり、かなり意識化が難しいものになります。ブラックムーンリリスは月の大元とも言えそうですし、自我の私たちが決して認めたくない欲望です。それは生々しい本能的欲求や病的に固執している事柄を示しています。また、タブー、隠されたもの、触れてはいけないものといったニュアンスを帯びてきます。



認めたくないことをいかに認められるかが、幸せに生きる極意であり、あらゆる問題の根本解決に繋がる道です。認めないでいる欲求はどんどん力を増していき、知らない間にコントロールされます。認めることで初めてそれは解放されていきます。だからこそ、ブラックムーンリリスはそれを認めることに意義があり、意識に上らせることが重要なのです。



黒い月の欲望は「決して認めたくないという強いガードが働く」ので、多くの場合、それは「他者への嫌悪感や怒り」として現れます。自分をよく観察していくと、強い感情反応を示す事柄に気付きます。特定の事柄に過剰反応する、どうしても怒りや嫌悪感が湧いてくる・・・そこにヒントがあります。


たとえば、黒い月が蠍座であれば、性そのものやセクシャリティに関することで「暗い欲望」を抱えていたりします。本当はもっと自由に愛し合いたい、本当はもっと恋愛や性を謳歌したかった・・・そんな欲望があるのに、それを押さえつけているため、自由に恋愛や性を楽しんでいる人に怒りや嫌悪を感じます。



蠍座に黒い月を持っている人が、シングルマザーの女性に対して「もっと良い母親であれ、そんな自由に恋愛して一体何を考えているのか」と少々異様なまでの怒りを露わにしている場面に遭遇したことがあります。言いたいことはわかりますし、一見ごもっともなようですが、完全に投影です。



よく「狂い咲き」と表現されることがありますが、年齢を重ねてから自分自身の女性性に目覚め、おしゃれや恋愛を楽しむケースがあります。それって素晴らしいことだと思います。



そういった方のお話を伺うと「私が若い頃はお見合い結婚が当たり前だった。そのおかげで金銭的苦労はしたことがなく、生活はそれなりに恵まれて生きてきた。でも、夫に先立たれた後、私は一度も恋愛をしたことがない!と思い愕然とした。恋愛感情で騒いでいる人を馬鹿だとも思っていて、自分には禁じていた。でも、異性に愛されるときめきも性の喜びも知らないまま死ぬのは悲しすぎると思った」そのように話されました。



このようなケースが蠍座ブラックムーンリリスの一例です。本当は心底人を好きになり、その情熱に身を任せてみたい。女性として愛される喜びを思い切り感じてみたい。そんな欲求を抑え込んでいる時は、それを楽しんでいる人に嫌悪感や怒りを感じていた。でも、認めてしまうとそこにこそ最高の喜びを見出したーーということですね。まさにそれが黒い月の本質だと思います。



さらに、違う現れ方をする場合もあります。黒い月が蠍座にあるケースであれば、性的な職業に就いたり、あるいは自らの女性性を武器にすることで、(男性の場合は男性性にモノを言わすことで)実は復讐しているという現れ方です。それは男性への復讐かもしれませんし、社会への復讐、あるいは親への復讐かもしれません。黒い月は巧みに変装もしますし、それを負の方向へ使うことで、何より自分自身を傷つけます。黒い月の存在を拒絶することで、本当の欲求から目を逸らすという働きを持っていることになります。



また、山羊座に黒い月を持っている女性が「私はこれだけ稼いだ、これだけの実績を残した」とアピールしているのに、セレブな人たちや権威に強い嫌悪感を示していたりします。これも同じ構造です。私自身も黒い月が山羊座にあるので、お金に愛される方法とかセレブ感を売りにしている人たちに強い嫌悪感を感じていました。権威やお金、この世的価値観が大嫌いだったのです。



でも、それは自分自身で認めていないけれど、奥底に確かに持っている欲望であり、それを受け入れることで人生はスムーズに運ぶようになります。山羊座はお金というよりも「野心」と関わることが多いように思います。私には特に欲はありません、人のためになればそれでいいんですというフリをしながら、その実、とても野心家であるということです。(辛辣ですみませんw)



本当は強い自己実現欲求があり、自分の能力をもっと花開かせて高みに上がりたい、どこまでやれるかチャレンジしてみたいという、山羊座的欲求を認めることができれば、潜在意識と顕在意識の間にある抵抗と摩擦が消え、より矛盾なく生きられるようになるのです。



黒い月が山羊座にある場合は如実にその傾向がありますが、外側に投影することで自分の闇を見ないという落とし穴には注意が必要です。全ては自分の中にあるものであり、社会構造や外側はその反映でしかありません。※外側には何の原因もないということです。



おそらく、月に関連するものは全て過去に纏わります。過去生があるとすれば、黒い月が山羊座にある方たちは、権威やこの世的な力を持っている人たちからとても理不尽で酷い目に遭わされたことがあるのだと思います。でも物事には全て両面があります。その違う面を知るために、山羊座の黒い月を持って生まれてきたのだと感じます。



大嫌いと感じることは本当は大好きなんです。許せないと怒りを感じることは本当は受け入れたいことなんです。黒い月の欲望を認めないでいれば、最終的には「こんなはずではなかった。私の人生はなんだったのだろう、底なしに虚しい・・・」そう感じるほど悲しい結果に至ってしまうと思います。



黒い月が牡牛座なら「私、お金大好き!贅沢大好き!自分の心地よさを追求して何が悪いのよ」くらいに開き直って、素直に欲求に従うといいと思いますし、黒い月が魚座にあれば「私、スピリチュアル大好き!見えない世界があると思って何が悪いのよ」と開き直り、誰に何と言われようが自分自身の感性とアンテナを全肯定するといいと思います。



黒い月はまず認めることからです。欲望を隠して押さえつけるとそれはどんどん黒い影を落としていきます。その黒い欲望を認めると、それは暴走をやめ、中庸点・いい感じに収まっていきます。そして、本当はタブーや間違いなんてないのだ、誰かを責める必要もないのだと腑に落ちるようになります。何より、自分に寄り添い、自分の声を素直に聞いてあげられるようになるので、人生の展開がスムーズになりますよ。


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