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我が子を出産で亡くした話。

世界でもトップレベルに安全なお産が出来ると言われている日本。ほとんどの人は妊娠して、安定期に入ればもう安心、出産して元気な我が子に会えるのが当たり前だと思っているのではないでしょうか。

私もそう思っていましたが、その当たり前の幸せを享受することは出来ませんでした。


1年半前、出産予定日の2日前に陣痛が来たので病院に行きましたが、初産ということもありなかなかお産が進まず、陣痛促進剤を使ってなんとか子宮口を全開大にして陣痛室から分娩室へ。いきみだした頃にお腹の赤ちゃんの心拍が下がってしまったらしく、助産師さんが「胎児心拍激落ちなのですぐ来てください!」と必死にドクターを呼んでいたのを覚えています。産科医、新生児科医、小児科医などたくさんのドクターと助産師さんに囲まれ、酸素マスクをつけられお腹の上に人が乗り思いきり圧迫され、吸引の機械を使われ...やっと産まれてきた息子は新生児仮死の状態でぐったりしていました。

長時間の陣痛で疲れ果てた頭では何が起きているのかよくわからず、細い管を口から挿入されたり心臓マッサージを受けている息子を見ながら(はやく泣き声が聞きたいな)と思っていました。が、一向に息子は泣きません。コロナ渦で立ち会い出産も面会も禁止だったはずなのに「急いでご主人に来てもらってください」と言われてはじめて私は息子の命に関わる問題が起きているんだとようやく理解しました。

夫が到着してから、私達は交互に息子を抱っこさせてもらいました。たくさんの管に繋がれた息子、抱っこして声を掛けてもぴくりとも動かず、小さな手に指を置いても握ってくれることはなく。私の腕のなかで死亡を確認されました。色々な検査をしましたが、こうなってしまった原因はわからずじまいでした。


私は出産適齢期で、妊娠の経過も順調で、まさか自分が無事に出産出来ないなんて夢にも思いませんでした。もし妊娠中の方がこれを読んでくださっていて怖がらせてしまったら申し訳ありません。

私がこの話で皆さんに知ってほしいのは、「母子ともに無事に妊娠出産を終えられるのは決して当たり前ではないということ」。無事に出産して当たり前だとたくさんの人が誤解している昨今、妊娠は病気じゃないからといつも通りの仕事や家事を周りから求められたり、妊婦さん自ら無理をしてしまう事が多いように感じます。現在妊娠中の方、少しでも違和感を覚えたら無理をせず休み、不安な時は遠慮せず産院に相談しましょう。パートナーが妊娠されている方、出産を経て母子ともに無事に帰ってくるとは限りません(私自身も1600ml出血しボロボロになりました)。妊娠中は今まで以上に寄り添い支えてあげてください。そうして無事に出産し、元気なお子さんに会うことができたら、かけがえのない家族の時間を思いきり大切になさってください。

私のような悲しい思いをする人が1人でも少なくなるよう、今以上に医療が発展し、妊婦さんに優しい世の中になるように祈っています。

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