仕事乞食、効率空回り、企画書カロリー制限中

ひまだ。

とにかく毎日ひまである。
仕事がないのだ。
会社に勤めている以上、労働の対価としてお賃金をいただかなければならない。
なのに私ときたら、とにかくひまなのである。
ひますぎて、隣のデスクにいる先輩に
お手伝いできることはないですかと聞いて
仕事を譲っていただく始末だ。
この所業を「仕事乞食」と呼んでいる。

最近中途で入った会社だ。
前任から引き継いだエクセルデータの数々も、全て魔改造し終わってしまった。
前任の方はあまりエクセルの扱いを心得てなかったようだ。
ほぼマス目として使われていた請求書リストも
わざわざ五十音順に並べかえられてた取引先リストも
ある数字を入れれば一発でデータを引き出せるように数式を打ち込んだので
作業スピードが1/10になった!やったあ!
…また作業時間が短くなってしまい、手があく。
この歯がゆい状況を「効率空回り」とでも名付けようか。

仕事がないなら、自分で作ってしまえばいい。
そうだ、外の世界で積んできた経験をこの会社に還元できるような
画期的な新企画を提案するために資料を作ろう。
渾身の企画書が完成し、みせにいく。
上司の反応は上々、手応えあり。
かと思えば、でもなぁ、と、上司。
持続性があってとてもいいけど、
これまでのやり方や考え方、
つまり持続性がなく非効率な運用方法を
根本から変えなければいけないから、ときた。
…変えたらええやんけ。なにが問題なん?
コイツに言ってもしょうがないので、
さらに上の人間に根回しをすることにした。
すると、さらに多方面にも根回しが必要とのこと。
この余儀なく寝かされているアイデアフルな企画書たちは、
これから私の時間をモリモリ消費してくれるはずだったのに!
「企画書カロリー制限中」。
たくさん食べるあなたが好きだったのに。

ここまで読み、私のことを仕事が早く有能で、
実は忙しいんだけど処理速度が恐ろしく速いせいで
ひまをもて余している、という自慢話を
長々としているだけなんでしょハイハイ、と
勘違いをされた方がいるかもしれない。

ちがう、そうじゃない。
なんの含みもなく、行間の思いもなく、
裏をかいているわけでもメタファーでもなく

ただただどうしようもなく、ひまなのである。

多すぎるほど蒔いた企画書の種がひとつでも芽吹けばいいのだが。
ふと、全部芽吹いたらどうしよう。とも思った。

そしてたぶん、忙しくなったらそれはそれで
同じように管を巻いて文句を垂れ流すのだ。

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