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【岐阜県公立高校入試】英語 英作文(和文英訳) 出題傾向 過去31年

岐阜県公立高校入試の英語では、和文英訳と自由英作文が出題されてきました。

今回は平成5年度から令和5年度までの31年間における出題傾向をまとめてみました。

受験生の皆さんの参考になれば幸いです。

※見出し画像は平成12年岐阜県公立高校入試問題より引用


① 平成4年度以前 出題無し

 平成4年度(1992年度)以前は和文英訳、自由英作文の出題がありませんでした。昭和60年(1985年)頃まで遡って調べましたが、確認できませんでした。

② 平成5年度から平成8年度 和文英訳

 平成5年度から8年度までは、指定された内容で英文をつくる問題が出題されていました。概要は以下の通りです。

・平成5年度(1993年度)
A「窓を開けましょうか」と申し出る
B「もう一杯牛乳をください」と申し出る

・平成6年度(1994年度)
A「鉛筆を貸してください」とたのむ
B「あなたの家にはどのように行くのか」をたずねる

・平成7年度(1995年度)
A「この前の日曜日はどう過ごしたか」とたずねる
B「先生になりたい」という望みを伝える

・平成8年度(1996年度)
A「あなたの街について話すのはどうですか」という内容になる英文
※英語の会話文の応答で、答えの文を見て上の日本語を想定し、英文にする必要がある。
B「楽しいパーティーになるといいね」 和文英訳

③平成9年度から平成17年度 2コマイラスト/意見英作文/手紙の返事

 平成9年度から平成17年度までは、2コマのイラストを元にして英文を書く問題、手紙の返事を書く問題(内容指定)、英文や日本文を読んで自分の意見を書く問題などが出題されました。問題によっては、なかなか骨のある英作文で、英検の英作文を意識して出題されていたものもありました。

・平成9年度(1997年度)
ALTのブラウン先生に学校生活についての手紙を書きます。
「授業」「友だち」「部活動」の3つの要素をすべて含む、30語程度の英文を書きます。

・平成10年度(1998年度)
2枚のイラストから自由にストーリーをつくり、想像力をはたらかせて英語で表現する問題。
(1枚目)橋の上から魚釣りの糸を眺めている4人の少年
(2枚目)釣り糸、魚はいなくなり、橋の上で少年たちは喜んでいる

・平成11年度(1999年度)
前年同様2枚のイラスト問題です。
(1枚目)机に向かって勉強している少年。やや苦戦気味の表情。
(2枚目)「わかった!」という表情に変わる。

・平成12年度(2000年度)
2枚イラスト問題
(1枚目)職員室の戸の前で右手をほおにあてて心配そうな女子生徒と職員室内にいる2名の教師。
(2枚目)職員室の戸の外でガッツポーズをする女子生徒とそれを職員室のなかから見ている男性教員。

・平成13年度(2001年)
この年度はテーマに基づく自由英作文が出題されました。
テーマは、「あなたがこれまでに経験したことのなかでもっとも楽しかった(うれしかった)ことを1つ取り上げて5文以上の英文で書く」でした。

・平成14年度(2002年度)
バイオリン演奏会のお知らせの手紙に対して、返事の手紙を書く問題。
「参加するかどうか」「その理由」「それ以外のこと」という条件で5文以上の英文を書きますが、サインや日付は書いてはいけません。

なお、この年度から「特色化選抜入試」が始まりました。定員の一部般選抜入試より先に選抜する入試で、当初は定員の2割を学校独自問題で選抜していました。

・平成15年度(2003年度)
2枚イラスト問題が復活。
(1枚目)4つ角で転がるボールを追いかける少女と死角から自転車に乗って角に接近する少年
(2枚目)自転車の少年が自転車をおり、ボールをひろって少女に渡している

・平成16年度(2004年度)
英文を読んで意見を書く問題。
(英文)漫画を読んでいたところ母親に
「漫画は小さい子のためだけのもの」
「小さい子ではないのだから絵のない本を読んではどうか」
と言われた
これに対して、自分がどう思うかを自由英作。

・平成17年度(2005年度)
テーマに関する意見英作。
「中学生はしっかり勉強できるように、自分の部屋があった方が良い」
という意見に対して、賛成・反対いずれかの立場で5文以上の英文を書く。

④平成18年度から平成24年度 4コマ漫画問題

平成18年度(2006年度)から平成24年度(2012年度)までの7年間は、4コマの連続イラスト(4コマ漫画)を元に英文を作る問題が出題されました。少しずつ形式は変わりはしましたが4コマの形式は継続されました。

この期間の受験生は、いわゆる「ゆとり教育」世代にあたります。「ゆとり教育」に基づいて、自由な発想を生かして英文を書くという意図はわかります。

一方で、平成19年度(2007年度)から、特色化選抜入試は学校独自問題から全県統一問題となりました(定員の2割、平成22年からは定員の5割)。特色化選抜入試は英語重視の入試で、A問題(英国社)、B問題(英数理)の両方に英語が課されました。

・平成18年度(2006年度)
時系列のある4コマ漫画形式のイラストを元に内容を伝える英文を書く。
(1コマ目)ベンチに座る老人男性の前に野球のボールが転がってくる。
(2コマ目)老人はボールを拾って少年に渡し、少年はお礼をいっている。
(3コマ目)少年は老人を野球に誘っている。
(4コマ目)少年たちと野球をする老人(打者)が描かれている

・平成19年度(2007年度)
前年と同形式
(1コマ目)7時に起きた男子中学生、かなり焦っている。
(2コマ目)急いで家を出る。
(3コマ目)学校に着いたが、校門が閉まっている。
(4コマ目)土曜日だと気づく

・平成20年度(2008年度)
引き続き同形式
(1コマ目)2名の少年、1人は朝食をとり、もう1人は寝坊して朝食を食べ損ねている。
(2コマ目)2人は山のふもとにいるが、朝食を食べていない少年は空腹を訴えている。
(3コマ目)その場所で2人はお弁当を食べている。
(4コマ目)山の頂上から素晴らしい景色を2人で眺めている。

・平成21年度(2009年度)
4コマ形式ではあるが、前年までの4コマ一括で英文を書くタイプから、1コマずつに対して英文を書いていく(1文または2文)方式に変更された。
(1コマ目)MakotoとAkiは学校のそばを流れる川にゴミがたくさんあることを見つける ①One day,
(2コマ目)2人はクラスで「汚れた川に何ができるか」を話し合っている。 ②The next day,
(3コマ目)中学生たちが川を掃除している。 ③Every month,
(4コマ目)川はきれいになり、釣りや犬の散歩、ランニングなどをしている人が描かれ、MakotoとAkiは喜んでいる。 ④Six months later, ⑤Aki and Makoto

・平成22年度(2010年度)
同形式が継続
(1コマ目)中学生のAkikoが帰宅すると、母が体調が悪そうにしてベッドで寝ていた。 ①One day,
(2コマ目)Akikoは病気の母のためにスーパーマーケットで買い物をしている。 ② So,
(3コマ目)Akikoは料理を作り、母はそれをおいしそうに食べている。 ③ Then,
(4コマ目)母は元気になり、AKikoに昨日の料理について話している。 ④ The next morning,

・平成23年度(2011年度)
同形式が継続。
(1コマ目)公園(?)で猫を探す老人男性と、それに気が付く帰宅中のAkiko ① One day, when she was coming home,
(2コマ目)Akikoはいっしょに猫を探し、木の下で眠っている猫を見つけた。 ② So,
(3コマ目)Akikoは猫を老人に渡した。 ③ Then,
(4コマ目)Akikoは帰宅し、この話を母に話している。 ④ When she got home,

・平成24年度(2012年度)
同形式が継続
(1コマ目)AkikoとYumiが夜の打ち上げ花火について話している。 ① One day,
(2コマ目)Akikoは母に花火について話し、母から浴衣を借りている。 ② When she got home,
(3コマ目)Akikoは部屋の窓から雨が降る外を眺めて、花火は中止かと考えている。 ③ On the morning of the festival,
(4コマ目)夜に晴れて花火大会が開かれ、2人は浴衣で楽しんでいる。 ④ But in the evening,

4コマ問題は、One day,で始まることが多く、すべて過去形で書かなければばいけないが、時制の間違いが多かった。自由に作文できるとはいえ、主語+動詞+目的語をすべて1単語で書いても、文法的に間違いでなければ減点されないなど、採点方式には疑問もあった。おそらく上位校では、加点や減点に独自の基準を設けていたと思われる。

⑤平成25年度から平成28年度 4つの選択肢から自由選択

悪評しかなかった特色化選抜入試が廃止され、3月入試に統一されたのが平成25年。ここからの4年間は、4つの選択肢の中から自由に一つを選んで、それについて自分で理由やその他を書く形式になりました。作文の自由度はかなり低くなりました。

・平成25年度(2013年度)
ボランティアのリストが4つイラスト付きで描かれています。
hospital / river / library / station
それぞれ、
病院ではみんで歌を歌う/川では清掃活動/図書館では子どもへの読み聞かせ/駅では観光ガイド
①どれを選ぶか、
②その理由、
③その活動で大切なこと
をそれぞれ書きます。

・平成26年度(2014年度)
アメリカの生徒が学校を訪問する際の活動について4つ
basketball / Japanese language / school lunch / Japanese song
①何をしたいか、
②その理由、
③その活動をもっと面白くするために自分のできること

・平成27年度(2015年度)
勉強したい4つのテーマ
wastes / wild animals / global warming / clean energy
①何を勉強したいか、
②その理由、
③そのテーマについて、現在もしくは将来できること
(wild animals を選んで、理由に、Because I like animals.とだけ書いた英文でも4点もらえるのはどうかと思った。)

・平成28年度(2016年度)
ふるさとについて調査する手段を4つ
old people / the Internet / history books / the city museum
①どのように情報を得るか、
②なぜそれを使うのか、
③調査を通して市について多く学んだあとで、何をできるか

⑥平成29年度、平成30年度 2つの選択肢から選択

平成29年度と平成30年度は2つから選んで理由を述べ、また選ばなかった方についても言及したうえで、もう一つ意見をいう形式になりました。

・平成29年度(2017年度)
新年のあいさつは、年賀状かメールか
①年賀状とメール、どちらを使いたいか、
②それを選んだ理由、
③選ばなかった方を選ぶ人もいるのはなぜだと思うか、
④新年のあいさつで大切だと思うことは

・平成30年度(2018年度)
ロボットについて
①身近にロボットがあることはよいこと、もしくはよくないこと
②それはなぜ、
③もう一方を答える人はどうして、
④将来、どんな種類のロボットがほしいか
(④で、I want Doraemon. という解答が続出した記憶)

⑦平成31年度から令和5年度 メモの内容に応じて

平成31年度から令和5年度までの5年間は日本語のメモに応じて文を作る形式になりました。①、②はメモの項目を英語にするだけで、和文英訳ですらなく、空欄補充の単語問題に近い形式です。かろうじて③で自由英作文がありますが、せいぜい書いて2文程度です。

・平成31年度(2019年度)
①英語の本を読むこと
②外国人と英語で話す
③英語を使うとできること(メモにないもの)←自由英作文

・令和2年度(2020年度)
①8時30分に始まる
②昼食は持ってこなくてよい
③学校生活でマークとしてみたいこと(メモにないもの)←自由英作文

・令和3年度(2021年度)
①日本に来た理由は
②滞在予定期間は
③訪れてもらいたい日本の観光地と、そこでできること←自由英作文

・令和4年度(2022年度)
①興味があった
②図書館で子どもたちに本を読む
③参加したい活動とその理由←自由英作文10~20語

・令和5年度(2023年度)
①〇〇する必要がない
②使い方を知らない
③オンラインショッピングの長所←自由英作文10~20語

⑧総評

ゆとり教育前後では非常にユニークな出題も見られたが、この4年は英作文問題としてはやや面白みに欠ける出題となっている。これは、配点の公表、正解例の公表、得点開示などの制度が整備されていったことで、恣意的な採点の余地がなくなり、その分、明確に正誤判定ができる出題形式にする必要があるということなのでしょう。受験生にとってよりよい制度を求めた結果、選抜のためのテストとしての自由度がなくなるジレンマに陥っている気がします。

受験生諸君、出題形式はある年に急に変更されることがあります。
近5年の傾向だけを見て「これは御しやすい」となめてはいけません。
必要な準備は整えておきましょう。



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