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休校中の教師は何をしていたのか〜p.m編〜

休校中の教師は何をしていたのか〜a.m編〜の第2部。

さて、午後には何をしていたかというとー

主に事務作業である。
この日は、教材に関する書類作りに追われた。

年度始めに決めることは山ほどあるが、学年で相談して決めることの一つに、
教材の選択がある。教科書やノート以外の、ドリルとかプリントとかの教育用商材のことである。

普通は4月早々に決めて、授業が始まる頃には注文した教材屋さんから教材はほぼ届いている。

その選定方法には、明確な基準があるわけではない。
ただでさえ、忙しい年度始め、多くの教材を複数の種類から選択する。
宿題でよく使われる算数のドリル1つをとってみても、大体10種類くらいの見本を教材屋が持ってきている。

この教材の選択は、1学年1学級の学校なら学級担任の意向で、複数クラスがある学校では同学年の担任の力関係で決まる、と言っても過言ではない。
つまりベテランの学年主任の好みが優先されることが多い。

代金は保護者に負担してもらうのだから、理想を言えば担任が一つ一つの教材を吟味し、どれが自分の担任する子供たちに適しているか時間をかけて判断すべきだろうが、先ほど述べたように、そんな悠長な時間はないのである。

だから、経験豊富な年配の主任クラスのベテラン教員が主導し、それまで使いやすくて良かったものを他の担任に勧めて、これにしましょう、となることが多い。

このやり方は、お分かりだと思うが、その主任の好みに左右される。今までの経験から判断するので、教師側からしたら使いやすいことが多いのだが、新しいタイプの教材が入る余地がない。時間があれば、中をじっくり見て新しいものの良さが分かれば、採用ともなるのだが、そんな時間はない。

それと、他の担任が他のが良いと思っても、教材は学年で統一されるので、ほぼ却下される。よほど熱弁を振るって主任を説得すれば別だろうが、限られた時間の中でそれを貫くと、はっきり言ってウザがられる。

先に言ったように、この教材選定は4月の初めの慌ただしい時期にするのだが、教師側は新しい学年部になってまだまだ間もない。

お互いのことをよく知らない場合も多い中で、若い教師が持論を展開するなど、空気を読まない奴、というレッテルを貼られて、主任クラスに目の敵にされる可能性大である。

それを気にしない人間は、一般社会でも変な人扱いだろう。そんなリスクを犯す若手はほぼいない。

話が教材選定にずれまくってしまったが、このように決めた教材は、細かく報告して保護者に知らせなくてはならない。

昔は、教師が必要だと思った時に適当に選んで、保護者からその都度集金という形で、子どもに代金を持って来させていた。

今は年度初めに、1年間を通してこのような教材を何学期に使う、ということを保護者に知らせ、保護者の銀行口座からの引き落とし、が主流である。
このメリットは、保護者へどんな教材で学習するかということを知らせ学習指導についての説明責任を果たせること、集金を早いうちに確実にすることができること、何より担任が集金のことで手を煩わせなくてもよいことだ。
一昔前はすべて手集金で、給食費さえも担任が扱っていたのだから、子どもに現金を持たせたり、担任が大金を預かったりすることで起こり得るリスクがあった。

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話が横道に逸れたが、そのような教材を選択した後、保護者への細かい教材についてのお知らせと、学校にお金が振り込まれるわけだから、なんの代金なのかそれがわかるための書類を別に作り、会計報告をしなければならない。この仕事は主に、学校の事務職員か教頭が担っているから、何を、いつ、何セット、何の教科で、どの業者から、いくらかかるか、がわかるような書類を担任が作らなくてはならないのだ。

ということで、この書類作りに、たまに雑談やお茶をしたり、他の先生と打ち合わせや相談をしたりで、午後は勤務時間が終わった。

定時に帰れることが、こんなに幸せなことか、学校復活後の反動が怖い、とみんな靴を揃えて言っている教師たちなのだった。



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