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藤井 友梨香 / FUJII YURIKA #自己紹介

はじめまして。または改めまして。ガラス作家の藤井 友梨香と申します。
今回は自己紹介も兼ねて、自分の仕事についてや制作に対する思い、最近考えていること、これからのことなども含めて、書いてみようと思います。

大まかなプロフィール

藤井 友梨香 FUJII YURIKA
1986年 山口県生まれ神奈川県育ち。女子美術大学ガラスコースを卒業後、彩グラススタジオ、富山ガラス工房勤務を経て独立。2013年新島国際ガラスアートフェスティバルにてスカラーシップ賞受賞。それに伴い2014年、シアトルのPilchuck glass schoolにてworkshopを受講。その後半年ほどカナダとアメリカで制作。2015年富山市ガラス美術館に作品4点を収蔵。
現在は個展をメインに発表。
結婚を機に逗子に移住し、森の近くの自宅兼アトリエで制作を続けている。 

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私は、日々の中で出会った美しい瞬間を、ガラスに重ねて表現しています。

かたちとしては、主に酒器や茶道具などのうつわを制作し、たまにアートピースも作ります。

最近は、庭で植物を育てることからインスピレーションを受けることが多いです。植物のスケッチをしたり、香りを嗅いだり、時には食べることで身体の一部なったり。そうして植物から頂いた生命力を、ガラスに注いでいます。

「文学と言うのは、自分の庭で丹精して育てた花を、一輪、一輪、道行く人に差し上げる仕事ではないか」

これは民族学者の柳田國男の言葉です。自分の中から生まれた表現を、慈しみながら育てていくこと。そしてそれを差し出すこと。
私はこの一文を読んで、ものを作ったりなにかを表現するということは、やはり生き方そのものなのだな、と深く納得しました。

日々の生活を美しく生きていくこと。表面的なことではなく精神的な健やかさ、そこが大切なのだと改めて気付かされました。表現は自分の中から生まれるものなのだから、まずは自分を美しいもので満たすことから始まるのだと。

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技法について

私は主に、自分で吹いたうつわに有線七宝で装飾を施す「ガラス胎有線七宝」という技法を用いて表現しています。

ガラスはその素材のみでもとても美しく、どうしたらこの美しさと自分の表現を重ねていくことが出来るのか、試行錯誤しました。

この技法に至るまでの経緯については、以前こちらのnoteに詳しく書きましたので、よろしければご覧ください。


いまのこと これからのこと

描いてみたいとか、作ってみたい、というガラスに纏わることだけではなく、新しくこれをやってみたい、ここに行きたい、そういった身体の内側から出てくる欲求に、素直でありたいと思っています。


実はつい最近まで私は、ガラス以外のことはあまり出来なくても良い、と思っていました。好きなことを仕事に出来ているだけで充分じゃないか、それ以上を求めるなんて、と。常に頑張らないといけない、と潜在的に思っていたようで、どんどん純粋な「何かを作りたい」という気持ちから離れて、いつしか仕事としての義務感が増すようになってしまいました。

一つのことを突きつめていくことは、一見美しいことのようですが、そのバランスの危うさも含んでいると思います。集中することは、何かを生み出すときにとても大事なことですが、その分リラックスする時間を持ち、新しいものが入る余地を残さないと、行き詰まっていくようです。

私は制作に没頭することで視野が狭くなりがちです。でもそうなってしまうと、どんどん創作のエネルギーがズレていってしまうことに、ようやく気付きました。

創作することも、生活の一部として健やかに進められるようにしたい。

そう思った時に、ガラス以外のことで我慢していたことについて考えてみました。色々ありましたが、私の場合は「ガラス以外のことで表現をすること」を避けていたことに気がつきました。例えば文章を書いたり写真を撮ったりすること。「これは仕事ではないのだから」と、好奇心に蓋をしていて。作家は作品のみで語ることが美しい、と思い込んでいたようです。

私はそれらの気持ちにも、ちゃんと向き合うようにしようと思いました。
こうして今noteを書くことも、少し前の自分なら、かなりためらったと思います。

でも、そうやって頭で考えたら無駄なように思えていた「自分の欲求」に素直になってみると、今まで閉じていた感覚が開いていくような、不思議な開放感を感じることが出来ました。今、その感覚に耳を澄ましているところです。


私は旅をすることが好きで、今まで旅と制作とはそこまで結びついていなかったのですが、去年の秋にウズベキスタンを旅した時に、たくさんのインスピレーションが湧いてきて、今後は世界を旅することで、色々と作品が生まれてくるような予感がしています。

たくさん作りたいし、たくさん経験もしたいから、やっぱり現実的なこと(お金まわりとか)もしっかり頑張りたいなぁと思いつつ。

まさか自分が30代半ばになっても、こんなに落ち着いていないとは思ってもみなかったのですが。
この辺のことも、その内書きたいな。


今、現在(2020年5月)は自粛期間ということもあり、庭仕事に夢中です。そして今年の春は今までにないくらいたくさんの山野草に自宅の裏山で出会いました。

自分が歩いていける範囲にも、こんなにもたくさんの美しいものがあるのだと感動しています。

自分が見たもの、感じたもの。
そうした美しい瞬間を、ガラスという美しい素材で混じり気なく表現していけたら。
日々、制作をしながらそう思っています。


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今年は9月4日〜13日に、六本木のギャラリーSAVOIR VIVREで個展を開催予定です。

展示会や最新情報は、おもにInstagramで更新しています。

そして随分更新していないホームページ、夏までには新しくしたいところ、です。

とりとめもなく書いていきましたが、最近はこんな感じです。きっとまた、色々と変わっていくと思います。その揺れ動く心の機微も、丸ごと大切にしていけたら、という気持ち。

でも、ガラスはずっと続けていくだろうし、美しいものにフォーカスしていくことは、変わらない気がします。

長くなりましたので、今回はこの辺で!
ありがとうございました。


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