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博多の屋台と、さよ子姉妹

我が家は今年も早めのゴールデンウィークを取って、久しぶりに山口県の祖父母宅へ行ってきました。その帰りに博多に一泊したのだけど、なかなか良い夜を過ごしたので、その時のことを。

第一に、こんなに大きな街に、これまで一度も来たことが無かったという衝撃。博多について本当に何も知らなかったから、あまりの都会ぶりに圧倒された。

こんなにビルがあって、こんなにたくさんの人がいるのに、私の知っている場所は1つもない。海外に行くと、ここでは誰も私のことを知らないんだ…!なんて、自由な気持ちになったりするけれど、日本でその感覚を味わうと、自由というよりは奇妙な感じがした。タイムスリップしたような、パラレルワールドに来たような。行ったことの無い場所なんて日本中にたくさんあるのに、博多にはなぜだか、すごくそれを感じた。まだこういう気持ちにさせてくれる場所が国内にあって嬉しい。

とりあえず博多の夜といえば屋台でしょ!ということで、早速夜の街へ。気温もちょうど良くて、風が気持ちのいい日だった。こういう夜はどこまでも歩ける。

ちょっと調べてみると、どうやら博多の屋台は大きく3つのゾーンに分かれているらしい。ひとまず中洲方面に歩く。というか天神駅って大き過ぎない??歩いても歩いてもまだ天神駅が横にある!うーん、すごいぞ博多。

結局、今回は4軒ハシゴしました。

まず始めに中洲沿いの屋台ゾーンへ。ここは川沿いというのもあって雰囲気抜群。観光客に1番人気があるのでは。人も1番多かったし。行列しているような屋台もある。私たち夫婦は何かに並んだりするのが(特に夫が)すごく苦手なので、パッと入れるところにしよう、とお店を見定める。

歩いているだけで楽しい

入れますよー!とお兄さんに言われ、するっとそこに決めた。とりあえず、まずはビールが飲めればいい。瓶ビールと豚明太子の串、一口餃子を頼む。最高〜

博多に来れることなんて早々ないし、せっかくだからハシゴしよう!と、一杯飲んですぐ次の場所へ。屋台はダラダラせず、サッと呑んでサッと帰るのが粋な気がするし!

次は戻って昭和通りの屋台ゾーンへ。ここは中洲エリアと違って、屋台がズラッと並んでいるのではなく、大きな道沿いにポツポツと屋台がある感じ。

屋台ではやっぱりおでんを食べたいじゃないですか。ということで2軒目はおでんと日本酒で行くことにしました。

2軒目は「たかちゃん」
しみしみのおでん

屋台は観光客が多く、外国の方もチラホラ。そして韓国の方がとても多い!九州から近いもんね〜福岡から韓国までフェリーで4時間で行けると聞いて、次はそのルートで韓国に行ってみたいね、なんて話す。

この勢いで3つ目の屋台街へ。3軒目で〆のラーメンを食べて帰ろうか、と話していたんだけど、なかなか見つからない。どうやらこの辺りの屋台は、みんな営業していないみたい。この辺かなー?なんて調べつつ歩くと、大きな倉庫の横にポツンと一軒、屋台があった。

看板には「さよ子」の文字。何系の屋台なのかを調べてみると、ラーメンは無いと書いてある。そっか〜残念、ラーメンで〆たいしね〜と通り過ぎてから

「やっぱり、行く?」と夫氏。

うん、だよね、この佇まいは気になるよね!と、引き返して暖簾を潜った。

いらっしゃい〜と素敵な笑顔のおばあちゃんが2人。
もうこれだけで入って良かったと思った。カウンターの前のショーケースに新鮮なお魚が入っている。とりあえずここは焼酎にしよう、と注文してからメニューを見る。

どれも美味しそうだったけど、この後ラーメンも食べるし…(諦めていない)と思って、とりあえずキビナゴ焼きと、塩くじら、というものを頼んでみた。塩くじらはしょっぱいよ〜!と言われていたんだけど、確かにめちゃくちゃしょっぱい!完全に酒のアテ。でも美味しい!山口のおじいちゃんもクジラが好きだし、この辺のスーパーでは結構クジラを見かける。こういう時に日本って広いなと思う。

お二人は姉妹で、どちらがさよ子さんかは分からなかったけれど、78歳と82歳だということはわかった。

「どちらから来たの?」と、聞かれて「神奈川県からで、山口県の祖父母の家に行ってきた帰りなんです」というと「山口かぁ。夫が山口の萩の人だったの。懐かしい〜30年前に亡くなっちゃったけどね」と妹さんのほうがおっしゃった。もうひ孫も中学生でね、みんな近くに住んでるから賑やかだよ、と笑顔で話してくれた。

キビナゴ焼きは本当に美味しかった。魚はすぐ裏の市場で買ってきたばかりだから美味しいよ!私たちもたくさん食べちゃった。と言っていた。

きびなご焼き。美味しかった〜

暖かい気持ちで「また来ます!」と言ったら「良い時間を過ごしてね」と言ってくれた。本当にまた来たいよ。お二人とも、どうかお元気で。

ぽつんと「さよ子」

そしてちゃんと4軒目に〆のラーメンを食べたのだけど、残念ながら正直あまり美味しくなくて(泣)。割愛します、すみません。でも「さよ子」での束の間の暖かい交流と、博多の夜をやり切った感はあって、充実した気持ちで眠りについた。

翌朝、レンタカーで空港に向かう途中、偶然「さよ子」があった道を通ったら、跡形も無かった。屋台って毎日全部仕舞うんだ!とまたまた衝撃。すべて幻だったんじゃないか…というような何もなさ。

夜にだけ現れる幻。屋台っていいですね。また行きたいです。

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