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やまうたう

昨日からオンラインでの個展が始まったので、久しぶりにnoteを書いてみることにしました。

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ここ最近は不思議なくらい文章を書いていませんでした。日記も全然つけていない。脳が完全に「手を動かして作る」ことにのみ集中していたようで、そうなると私は本当に他のことが出来なくなってしまい、毎回反省、反省です。

特に今回は緊急事態宣言が出たことで、個展が開催出来るのかどうかが分からなかった為、意識的にいつもよりも集中しようとしていたところがありました。私が出来ることは、今の私が出来る限りの美しいものを生み出す、それだけだ!と。

不安を膨らませても、本当にロクなことが無いということを去年からイヤというほど感じてきました。まぁどうしてもそこに支配されてしまう時はあるのだけど、自分で変えられそうな時はサッと変えていくように意識して。

余計なことを考えないように気をつけながら、準備期間中によく見ていた動画がありました。3月に近所の山の中で撮った動画で、私はその動画を撮った日に今回の個展のタイトル「やまうたう」を思いついたのでした。


私は天才型じゃないので、個展前のタイトルはいつも結構悩みます。だいたいのイメージは出来ていても、本当にすとん、と納得出来る言葉に出会えるまでは時間がかかる。いっぱい本をめくったり、いくつかの言葉を並べて類語を探ったり。それをノートに並べて整理して、頭の中で熟成させておきます。

タイトルになる言葉が決まると、展覧会全体のトーンが決まってくるので大事な作業の一つです。


3月のある日、頭の中はそれらの言葉が散らばったまま、タイトルどうしようかな〜と頭の片隅に(いや、ど真ん中かな) 置きつつ、夫と一緒に森の中に入っていきました。

その日の目的はニリンソウの群生地を観に行くことで、よく晴れていて、見上げた新緑が本当にキラキラしていたのを思い出します。

暫く歩くと、小さなタニギキョウが地面に星のように散らばり、儚げなタチツボスミレ、ヘビイチゴの花や、大好きなホウチャクソウ。そしてニリンソウの群生がいたるところに現れ始めました。

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小さな草花が風で揺れて、小川のせせらぎが絶えず聴こえて、ウグイスが囀りを練習していて。

なんて気持ちが良いんだろう、すべてが調和していて、合唱しているような。この感覚をなんて表現したら良いかな……と思っていたら、「やまうたう」という言葉が、ふと出てきました。

やまうたう、やまうたう・・・うん、響きも好きだな。

今回はずっと、私の作品を観てくれた人が、何か少しでも明るく暖かい気持ちになって貰えたらな、という思いがありました。

ニュースを見ればどうしても暗い気持ちになることが多く、この状況もう疲れたなぁ、とふと閉塞感のようなものを感じることもしばしば。でも、一歩自然の近くに行くだけで、変わらず美しい世界があることを思い出させてくれる。

その自然の力を作品に込められたら、と思いながら制作しました。

緊急事態宣言が延長された時は、ご時世的にも納得とはいえ、やはりどうしても落ち込んでしまいました。実際に手にとって観て頂けないことや、初めてのやり方に対する不安、お客さまとお話することも個展の楽しみの一つだから残念。そもそも観に来てくれる人がいるのかな?などなど。

でも、ギャラリーがオンラインで紹介してくださることが決まり、どんな形であれ個展が開催出来るということに感謝しかないな、と前向きな気持ちで準備することができました。

DMをお送りした方々には、途中で開催方法が変更されたことでご迷惑をおかけしてしまい、それだけが心残りです。急な変更で申し訳ございませんでした。


長々と書いてしまいましたが、ひとまずオンライン個展が無事に始まりました。よろしければご覧くださいませ。

藤井 友梨香 個展 「やまうたう」
2021.5.15 (土)〜5.23 (日)
@SAVOIR VIVRE 


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