男性の怒声が怖い

 僕は、男の人の怒声が怖い。この他に怖いのは自然災害とか狂暴な虫くらいで、あとは特別に怖いものなんてない。怖いと思うだけには留まらず、男の人の怒声を聞くと、心臓がバクバクして、涙が出るのだ。生理反応が出てしまうくらいに怖いのだ。
 僕は、ただ単に痛いから一人称が僕なだけで、心も体も超女性である。心は未だ少女。だってまだ20歳だから。まだ心までは大人になれないよ。てか永遠になれないんじゃねぇの、これ…。一般的に、特に若い女性というのは男性の怒声が怖いらしい。僕は、どんな原因があって男の人の怒声が怖くなったのか、心当たりがあるから、書いていこうと思う。

 男性の怒声が怖いと思ったのは、もう記憶も薄れてしまうくらい昔のことだったから、僕は怖いと思っていたことを忘れていた。でも、あることがきっかけで、最近思い出して、今日それを痛感した。
 推しが朗読をするライブに出た。僕は、気持ち悪いことに、毎日推しの名前をTwitterでパブサしているので、そのライブの感想がすぐ目に入ってきた。なんと、あの温厚な僕の推しが、怒声をあげていたのだ。(そういうお話を朗読したのです。感情が昂って怒声をあげたのではありません。誤解しないでね。)その感想を見て、まぁ、推しの怒声だし、生で観る訳じゃないから大丈夫っしょという軽い気持ちで、配信を買って観た。そしたら案の定怖くて、涙目になって、少し心臓がドキドキした。お芝居でも怖くなっちゃうってことは、それだけ表現力があるってこと。推しの怒声だから涙目と少しのドキドキで済んだのだろうと思う。これが他の男の人で、目の前で繰り広げられていたら、心臓が超バクバクしていたのかもしれない。
 大丈夫っしょと思ったのには、もう一つ理由があって、少し前に、今回と同じ推しが小説の朗読をしたものが発売された。その時に、ナンパするシーンがあった。そこでは、僕が実際にナンパされた時のような、酸っぱい胃酸が口の中まで上ってくるようなドキドキを感じず、寧ろ安心したまであったので、油断しちゃったのだ。

 ここでやっと、僕が男性の怒声に恐怖を覚えたきっかけを書いていく。
 最大の原因は、父親だと思う。僕の両親は、もう僕が物心つく頃には仲が悪かった。まぁ、デキ婚だし、仕方ないところもあるのだろう。今は両親が話すこともないし、もう別居みたいになっているから、何も起きなくて平和。だけれど、僕が小4くらいの時まではしょっちゅう喧嘩していた。
 喧嘩すると、大抵父は母に暴力を振るったり、物にあたったりした。今で言うところの、面前DVというやつ。僕は何回も「出ていけ」と父が母に言っているのを聞いたことがある。殴って壁に穴を開けるところも、母を外階段からぶん投げたところも、怒りで風呂のドアを壊しているところも、狂暴なところを全部全部見ている。このせいで、父とは怖いものであるというイメージがずっとある。幼い時よりも色んなことを経験している今でさえ、優しいお父さんが羨ましくて仕方が無いし、父を好きな子供なんてファンタジーだと思ってしまう。

 父の狂暴性を知った数年後、今度は母の不倫相手の狂暴性を見て恐怖を覚える。そいつもDV野郎で、母に暴力を振るっていた。ある日、被害妄想して僕達の住む家に来て、勝手に1人で暴れて物を玄関の前で破壊していた。そこで、もう父のことなんて数年前のことなのに、未だに男の人の怒り狂う姿や怒声が怖いんだ。と思った。絶対、こればかりは治らないと思う。一生消えない傷なんだって、気付いた。

 だから僕は、絶対にDV男とは関係を持たないことに決めているし、怒声パワハラのいるような職に就いちゃったら絶対やめてやると決めている。怯える生活なんて最悪。優しい人としか関わりたくない。僕を見下すようなやつは僕の人生にはいらない。

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