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棋界の妖術師様を拝見した話

私のnoteはバスケのことが多いのですが、最近仕事が忙しいせいか、なんなのか、いろいろ考えすぎて、心がすっかり荒んでしまったので全然別の話をします。

趣味を増やして、それが将棋なんだって話はチラッと書いたのですが、イベントを観覧できる券が手に入ったので意を決して行くことにしました。

すっかり忘れていたこと

私はいい歳を迎えているただのおばさんなんですけど、趣味とか推しとかいっぱい歩んできたはずが、とにかく見られるだけで幸せだったときの気持ちを忘れかけていたことに気づく土曜日(10/30)でした。とにかく幸せで気持ちがそれだけでいっぱいだった。つらいことがひとつもなかった。なんて素晴らしいんだろう。

普通に簡単な手続きでチケットを取って、なんのトラブルもなく当日を迎え、送迎バスがあり、言われるがまま乗ったら着いて、受付でとても親切に案内された。それだけでも信じられないのに推し先生がそこにいて座って見ていていいという。幸せしかなかったです。

とにかく私は何年かバスケを観に行っていて、すこぶる楽しい趣味のはずだったんだけど、さまざまなトラブルを目にしたり巻き込まれたりしたせいか、かなりの疑心暗鬼と人間不信に陥っていて、チケットトラブルがないだけでこのイベント自体嘘なんじゃないか?みたいなおかしな気持ちになっていたから笑う。

ポスターをそっと撮っておいた。推し先生がいるか何度も確認した、いい加減信じろよ私…。

きっかけみたいなもの

将棋は、子ども達がなぜか2人とも指せるんですよね。上の子(息子)は2年くらい小学校の囲碁将棋クラブだったのかな?ちなみに私はチェスゲームをやるけど、子ども達には将棋もチェスも何も教えなかった。

というかどうして下の子(ぼんやりとした娘)まで将棋のルールを知っているのか。どうやら友達が将棋をしているらしい。駒を並べさせたら順番が合ってた。ちゃんと大橋流じゃん。

子どもたちの夢は他にあるのでこれはもちろんお恥ずかしい話で、将棋は習い事ですらなく、あくまでボードゲームの範疇を出ない限りです。玩具の将棋板と駒がいつもうちにあっただけ。

ここ2年、コロナ禍で在宅勤務が多く、私はテレビの垂れ流しが苦手なので、有り余る時間に将棋を流し始めて、ならある程度やれないと面白くないだろう、と子供たちとせっせと勉強して、なら今あるアーカイブの中で見られる全ての棋士の将棋をそりゃあ全員見ますよね、となって。

いちばんこの先生の将棋が好きだなあ、と、憧れを抱いた先生ができて。素晴らしいわと思いながら、多分こういうすごい方を拝見できるなんて一生ないのかもなあ、と思っていたのです。…お目にかかれてとっても幸せだった…

こういう紹介をしていい世界なのか分からないのですが、素敵な記事だけご紹介させていただきたいなって思います。

会員登録しないと読めないと思うんですけど、無料です。インタビュー、とてもよいので…。どうしようこういう載せ方とかだめだったら。
取材後のツイートも胸を打たれました。

私のTwitterフォロワーさんはバスケ関連の方々だから大丈夫だとは思うんだけど、将棋ファンの方に怒られたらどうしよう。ごめんなさい。

「推す」の初心に還る

そもそも「推し先生」って書いていいかどうかすら分からない(長年見ていないし指すことも上手くないので、コミュニティに割り込んで勉強することすら烏滸がましいような気がしている)のですが、憧れていた先生を実際に見る、という体験は…

ほんっっっとに素晴らしかった……!

私はとにかく抽選というものに弱いので、死ぬまでに大盤解説会とか行けたらいいのになあ、老婆になってたら歩けるかな、とか思っていたんですが、こんなに早くそれが叶うとか思わなかったのです。

声がする……画面越しじゃない……!

スポーツ観戦だって、散々配信ではなく現地で震えているんですが、長年見てるとダレてるんだな、と薄っすらこの時自覚して反省しました。

ヒェーーーーーッ……生きてる……

そりゃあそうなんですけど。こういう、キャーーッ!みたいな気持ちが推すことの原点なんだろうなあ…とつくづく思ったのでした。まあ、年甲斐はいつもないです。

だってすごくお綺麗だったんだもの……

徹夜で仕事片付けて休みをもぎ取ってよかった、ほんとうによかった。どうしてなのかこのところブラック勤務の私、何度か諦めようと思ったけど、友人が「見に行けるチャンスは逃さないで」と背中を押してくれたのでがんばれた。ありがとうね。

いやあ、透き通るようにお美しかった。私のめちゃくちゃ好みのお顔立ちで…。スタイルよかったなあ、立ち姿も。とめどなくお話ししてくださるところも、お気遣いのできるところも、誰よりも礼が深いところも、感じていた以上で、ああ将棋を好きになってよかった、と素直に思ったのでした。こういう気持ちが多分生きていくのに大事。忘れかけていたんだなあって。

さて、かなり無理をして行ったので帰りが夜中になるのも厳しく、明るいうちにお暇したのですが、帰り際に狭い通路を通らざるを得なくて、その時にまだいらしていた先生が「ありがとうございました」とお声をかけてくださったんですよね。

もう、初見の通行人にそれができることに感動してしまって。「先生の将棋がいちばん好きです」とお伝えしてしまったのです。言えてよかった。勇気を振り絞ることには慣れていてよかった…。

いちばん楽しかったから、いちばん将棋が面白いと思ったから、最後まで粘り強くて、お強くて優しいのは、棋士として人として、素晴らしいと思ったからです。ありがとうございました。

そういえば表題、推し先生の二つ名のはずなんですけど、あんなにお綺麗で純粋そうでいらっしゃるのに、相手を惑わす妖術師のはず…それってとてもこう…ゾクゾクしてしまうのでした。ああ素敵なお声だったな…。

思い出は抱いているだけでも半年くらいそれを糧にがんばれそうだったのですが、書いたらもう少し長く生きようと思えるかな、と思って記録に残したくなりました。書いていて楽しかった。


こういう気持ち、忘れたらダメなんだろうな。


あ、書き忘れていたけどちゃんとオチはついていて、フワフワニヤニヤデレデレして帰ったら降ろしてもらうバス停間違えて東京駅行きしかなかった。私、横浜駅に帰りたかったんじゃないの?

でも東京で仕事をしていた心の姉が私を拾ってくれて、夕ご飯を食べながら散々デレデレを聞いてくれたから全て丸く収まった。はず。

これからも生きようと思います。

2021.11.