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「あなたのために」言うことなんてない

後々困ることがないように、自分のためを思ってわざわざ誰かが、互いにしかわからないような手段で忠告してくれた。

そういうことがあったり、なかったりする。

それは時にあからさまな従えたいという送り主の願望だったり、またはまったくの善意から生じる黙って言うことを聞いてほしい願望だったりする。

だいたい真に役に立つような情報ならば、誰からも見える場所や手段で伝えても遜色のない内容だ。こっそり教えてあげる、その内密な行為は、誰かにその行為を知られたならば、おそらく後ろ暗いのだ、と既に証明している。

「あなたのためを思って」は、とりあえず信頼しないで読むことにしている。内容自体が役に立てば付き合いでうわべの感謝はするかもしれないが、思うのはその人が自分をどういう人として扱いたいか、を教えてくれているのだな、と思っている。

だから、まかり間違っても自分がこっそり裏から手を回して「あなたのためを思って言っているのよ」なんてメッセージを送ることがないように気をつけたい。

おとなしく書いていたけど、だって最高にダサいし。それやるの。

結局は他人に言いたいこと、言ってしまうこととは、全て自分が言いたいから言っているのである。自分のために言う、自分勝手なものである。「あなたが好きだ」さえも、自分が好いていることを知ってほしいから言うだけでしかない。欲望の矢印は常に自分を指している。


2020.06.05.