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将棋のオールスターを観に行った話

「SUNTORY 将棋オールスター東西対抗戦2021」を観に行きました。チケットは10分以内でソールドアウトしたらしい。

チケット争奪戦なら(慣れてるから)どうにかなるんですよね、手を止める時間に自由がきく職業なので。Sを決済寸前ではねられてからのAだったのでまあまあの位置。

今回の席からの眺め

私、もう一つの趣味のバスケットボール観戦では「推しの試合以外観に行かない」という誓いを立てて願掛けと兼ねているんですけど、将棋でそれをやるのは重いというか怖いかなって思ったので怪しい誓いを立ててはいません。

というか、年末年始にバスケに行くのをとある事情でキャンセルかけたので、余った資金をさらっと投入しました。どう考えてもA席代金(8000円)で観られる内容豪華だよね?と思ったので。

原宿駅から徒歩5分くらい

明治神宮会館でした。はじめて。家から2時間くらいで着けるので大丈夫。最初かなり寒くて、5時間耐えられるかなと思ったんですが、暖房強くしてくださったみたいでありがたかったです。

会場は85%くらい多分女性だったのかな…。こんな時代が来るとは、と谷川先生と木村先生が述べておられました。そっか…。もちろん私もその中の1人です。
主催がサントリー様なので、お水とお茶を3本いただけたのですけど、持ち帰らせていただきました。飲んだらトイレがですね…圧倒的に女子トイレが休憩のたびに長蛇の列なわけでしたので…。

水分なしで座りきりで働かされているブラックな経験がここで生きるのだな…と思い、人生捨てたものではありません。

木村九段のおすすめはちらしずし

生の木村先生の解説とトークショーの進行で私のかけたコストは全て精算されました。来てよかった…。

先生の指し手の説明が生で聞けてどんなに嬉しいことでしょう。なんて分かりやすいんでしょう。

最初に木村先生からこちら側にルールを知っているかどうか、挙手を求められたのですが、知らない人にも楽しんでもらえるように、と仰っておられました。

谷川九段と藤井竜王

会場では入れ替わり立ち替わり棋士の方々が解説してくださったのですが、私の思ったことを正直に書きます。

もしかして…何も知らなくても将棋を観に来てもいいってこと…?

これは悪い意味じゃなくて、私はそこそこ指せないと観に行くのは失礼にあたるのかな?だから、棋力のない私が行っても大丈夫なのかな?という懸念がずっとあったのです。

ええと、多分ですけど、将棋はファンの区別呼称があります?

将棋を指せるファンの人→指す将
将棋を観るファンの人→観る将
将棋の絵を描くファンの人→描く将

とか、そういう活用で合ってるんかな…。今日は観る将の方が多いだろうから…というような単語が聞こえたような、聞こえてないような。

あと、観る方には符号が多いと…と聞こえたような気もする。気を遣ってくださって、解説中は対局中の先生方のお人柄やエピソードをお話ししてくださったんだなぁと思います。

西軍の先生方

符号は…符号はもしや勉強しなくてもよかった?

符号は「4五角」とかのことよね。私は推し先生の将棋と解説をより聞きたいがために頭に叩き込んだので、どんどん言ってもらって大丈夫なのですが、だからといって、将棋って実際に指してます!と言えるくらいになるのはかなりの勉強が必要で、趣味としてそれなりに指せるようになるには時間を作って習いにいかないとなんだよなあ…と子供と指しながら思います。

あ、センスとか記憶力については棚に上げたとしてもです。

でも、どうやら私が思っていたよりも観るハードルは低いようなので、少し安心してイベントを観ようと思います。

東軍の先生方

撮影許可は、
①トークショー
②リレー将棋中
③閉会式
だったので、写真はそのときのものです。

来年やりたいことは?


私はバスケを観るので、豊島先生が好きなチームも知っているのですが、今シーズンはプレイオフ、出られるといいですね…☺︎

対局中は、谷川先生と木村先生、山口先生と本田先生が組み合わせを変えながら解説してくださったのですが、途中で出場棋士の先生方も解説してくださる場面がありました。

その時の会話がとても興味深かったので、記憶力の限り書いておきたいと思います。会場でメモは取らなかったので、符号の羅列は割愛します。

こんな感じで解説してくださいました

会話の中の敬称は省略させていただきます。


中盤解説 藤井竜王&羽生九段

羽「解説とかって…藤井さんは?おやりになったことは」
藤「ええーっと…(考慮中)」
羽「僕は若い頃そういう機会があって、話していたらお客さんに声が小さい!と言われて余計声が小さくなった思い出があります…笑」
藤「えっと、多分ないですね、ハイ」
羽「じゃあ初めてということで…ここにいる皆様方はとても貴重ですねえ」

ちなみに解説に関しては、羽生九段が読み筋を言い、
羽「(…符号…)なんじゃないかな、と思います…けど?」
と藤井竜王を覗き込んでお話しを振り、
藤「あっ、ハイ(いつもの高速符号暗唱)とか…」
の繰り返しでした。


序盤解説 戸部七段&古賀四段

ハキハキした戸部七段は、お話しもガンガン回してくださいました。親しい棋士の話になり、

古「あっ、実は藤井さんとは奨励会で結構指してるので、そのときはよくお話ししていたんですよ」
戸「いつの時くらい?」
古「結構…藤井さんが6級のときに僕が4級くらいで。香落ちくらいで対局したりして。最初は」
戸「ええー!どちらが先に入った?」
古「僕が2年早いかな。11歳で。…あっという間に藤井さんが上がって…僕が初段で藤井さんが二段だったときには逆に香落ちになったりして」
戸「対戦成績どのくらいだったんです?」
古「正確には覚えてないんですけど、五部くらいかな、そんなに悪くないんですよ、あと、実は親同士も仲が良かったりして…」
戸「ええー!それは珍しいですよね」

なんて、盛り上げていただいていたら、指し手の解説をする前に交代の時間がきてしまったのでした。


中盤解説 横山七段&澤田七段

横「ええと…戸部先生がハキハキとお話ししていたのに…僕たちになりまして…」
澤「そういう感じじゃなくて…(しんみり)」
横「なので、将棋のお話しを…きちんとしようかな…」

途中の解説で、
澤「これは…(符号)…なんてやらないですよねぇ」
澤田先生…それは千日手筋笑

澤田先生はとってもユーモアに長けていて、ご挨拶から解説まで、笑わせてくださいました。
ちなみに、澤田くんは全対局で千日手が8%もあるんだよ!…と第一局で谷川先生が仰っていました。計算してきてくださったそうです。


中盤解説 永瀬王座&豊島九段

藤井佐藤戦と、羽生稲葉戦の同時進行でしたが、駒組みの長かった羽生稲葉戦に対し、藤井佐藤戦は急戦調だったので、気になるのはやはり藤井戦。

永「うーーん…(盤面を見て考慮中)」
豊「やっぱり、永瀬さんは藤井さんと研究会しているから、どんな手を指すのか分かるんですか?」
永「えーーーっとですね、予想に無い手を指す瞬間は分かるんですが、それが何なのかは分かりませんね笑」
豊「あー…」
永「第三候補にも無い手を指してくるんですよ、でね、それがいい手なんです。すごいなぁって思って」
豊「第三候補にもないですか」
永「三つ、ねえ、攻める手と、受ける手と、んー、中間の手みたいな…」

このやりとり、すごく面白いなあって思っていて…。この、「藤井竜王の指す、永瀬先生の第三候補にも入らない手」の話を、豊島先生はどう受け取っているのかなぁ、と思います。

記憶力の限界はここまで。本当はリレー将棋などでも、先生方は組み合わせを変えて、もっと話してくださっています。

西軍、おめでとうございます

生でたくさんの先生方を拝見できて、嬉しかったなと思います。棋士の先生は皆さまそれぞれ、独特の雰囲気をお持ちなので、人の雰囲気を感じるのが好きな私は、それを少し体感できるのはとても興味深いのです。お話しも将棋も楽しかったし。

書いていて、テンションが普通。どの先生方も、素敵で、お話しも上手で、素晴らしかったですよ、もちろん。
…将棋も解説もお話しも、いちばん好きなのは推し先生だなって再確認もしてしまいましたけど、それはまた、どこかで拝見できるチャンスを待ちたいと思います。


あと、すさまじい藤井竜王人気を垣間見て、これはすごいなあと思いました。うら若きお嬢さまから経験を深めたお姉さままで、すげえコンデジ率。なるほど…。

どうやら2022も開催される感じのお話しだったので、来年も楽しくなるといいなあって思います。
年末のご挨拶を佐藤会長からいただいて、とってもありがたくって、いい年末だなあと思いました。




2021.12.