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指導対局に行った話

今年の目標を立てるとすると…健康でいるとかそういう当たり前の話のほかに、将棋の勉強をがんばりたいなあというのがあって。あと、私は心身の調子を一時期崩してから人見知りと場所見知りがどんどん酷くなっていくので、いい加減それにも飽きた、というのがあったりもする。

健康については痩せるとして、将棋はお教室に足繁く通うとして、3つ目が困りもの。

で、将棋を勉強する機会が増えれば必然的に新しく人にも場所にも触れ合うはずなので、そういうことにしました。将棋を勉強したいなということに関しては、緊張や面倒よりも、好奇心の方が優位なので、そういう気持ちのうちに。

私は今通っているお教室の先生しか生きた人間と(オンラインアプリはともかく)指したことがないので…。

なので髙見先生が出られる指導対局に行ってきました。

何故、泥沼の底の片隅でブルブル震えている毎日なのに、いきなりスカイタワーからバンジージャンプみたいなことをするのか。


と思った時には申し込み送信ボタンを押した後だったんですよね…。無謀にも程があるんだわ。どうしてこう極端なんだ。ちなみに、開催まで何度かキャンセルしようか、己の愚かさを若干後悔した。自分のやったことが恐ろしくて、あんなに優しいお教室の先生にも相談できなかった、というか、申し込みから開催まで仕事が詰まっててお教室に行く時間すらなかった…。

家族はみんな後押ししてくれて、その日の予定を全力で調整してくれた。ありがとうね。
「私もやったんだからママもがんばって」
ギターの発表会を終えたばかりの娘が言いました。貴女はほんとよくやったよね…。昨年から新しく習い事を私と娘はほぼ同時に始めて励まし合って生きているので、お母さんもキャンセルしている場合ではない。

申し込みから開催まで2週間なかったので、もうどうしようもない。仕事はどっさりあるし。だいたい習って半年で行くのが間違ってるんだよう。
でも、もう少しうまくなってから…とか言っても、別に月日が流れたところで、私の学習速度だと、ちっともうまくならなさそう。次の機会に行ける日なのかというか、生きてるのかなみたいな。寿命がもつのか。

そして、初めてプロの指導対局をお願いするなら大好きな先生がよかったんですよ…

えらい迷惑な話の気もする。とりあえず、申し訳なさしかなかった。だとして謝っても申し込んだのは私なので、マジでしょうもないし。たぶん素直にただ嬉しく思って楽しんだ方がいいのはわかる、けど、そういう性格ではないんである。

余計な逡巡を繰り返しながら、日にちは過ぎていくので、毎日緊張でお腹が痛くなりながら定跡書を頭に詰め込み直し、詰将棋をとく。やれること、そのくらいしかないし。やればやるほど自信無くなって、ちょっと夜中に笑ってしまった。どうして仕事でいきなり人前に立たされてもなんともなく講義できるのに、こうなんだよ〜。

他の役割(仕事とか、親とか)が与えられているときに、私は緊張とか羞恥とかがなくて、そういうネジは外れているタイプなのに…。たぶん仕事かPTAなら、200人の前でいきなり話せって言われてもどうにかなると思う。でも本来の私だけになると違うんだよなあ…。情けない。人生経験とかどこいったんだ。

相変わらず話が長い。

私の中身は空っぽだとしてもですよ。それでもやらない後悔ならやった後悔の方がマシ。それだけはたぶんそう。

風邪だけは引くなよ!と家族が私をいたわってくれて、仕事も完璧な状態で提出し(しかも来シーズンに向けての査定期間だったよ…)当日を迎えるわけなんですが、まあもうガッチガチだったよね。前日布団の中でほぼ寝られなかった。ほんと人間が小さい。開催するところの駅でコーヒー飲んでたら手が震えてた。な、情けな〜。昼ごはんは味がしなかった。はぁ〜?ビルのエレベーターの中で両頬引っ叩いたよね。しっかりしてくれ自分…。

どこの何の指導対局だったかはご迷惑になったら申し訳ないので書きません。これは自分用に書き留めておくのが目的です。SNSで流れていたから私も知ったので、調べればすぐにわかるし。

結果だけ先に。お二人の先生にも、同じ卓の方々にも、優しく、本当によくしていただきました。お礼は言ったつもりだけど、足りなかったかなというくらい。貴重なお席を私みたいなものにありがとうございました。


将棋っぽい話を少しはします。

私は普段のお教室でも指導対局のスタイル(◯面指し)で習っているので、どういうものなのかは知ってはいるけど、手合いがですね…。

お教室では、4枚落ち(先生は飛車角と香車がない)ということで習っているわけですが、こうつらつらと自信がないということは、つまりうまく勉強できている自信がないということです。お教室は行くたびに楽しくて、ありがたくて、仕事の隙間で予定を入れるのを楽しみにしているのですけどね。あ、お教室はすごく良いところです。半年でこんなところに来た私と話をしながら、先生は小さく「◯◯くん教えるの上手いんだな…」と仰っていたもんね。そうなんですよ。私がぽんこつなだけ…。

だから無謀なんだよ。そもそも行くなよ。という心の声は聞こえないフリをする。

◯枚落ちっていうのは駒落ち…当たり前だけどハンデを負ってもらわないと将棋にならないので、そうやって教えていただく、というやつですね。10枚落ち(王と歩しかない)からはじめて、8(王と金と歩)→6(王と金銀と歩)という過程を辿って4枚落ちで教えてもらっています。(将棋好きの方々にとっては当たり前ですが、ここは私かスポーツ好きの友人しか読まないので、書き記しておく)

で、プロの方にお願いしたときに、手合いってどうしていいのか分からなくて6枚落ちも復習しなおして行ったんですけど、自己申告っぽくてどうせ無謀なら今やってる4枚でお願いしちゃったんですよね…まあ、盛大に後悔したわけなんですけど、きっと6枚でも後悔の量同じだからな…という感想。単にね、私が弱いからです。

弱いのがイヤ…とかじゃなくて、そんなの当たり前なので、教える方たいへんだったろうな…と胃がシクシクしただけです。

で、勉強になったか?というと…

めっちゃなった!行ってよかった!!!!!

こんなにダメでも勉強になることはあるのだ、という収穫。ありがたいことです。教える方が超優秀だからですね。いやすんごい。凄いよね。秒でだめにしちゃって、将棋にならなかったらどうしよう…と思ったんですけど、そうならないようにやっていただけるものなのですね…はー。習ってよかった…。将棋ね、習ってよかった…と折につれ思うので、ほんとお勉強できて嬉しい。

そして気持ち悪いことを書きますけど、目の前で私の将棋に指していただけるの、夢みたいでした。こんなに幸せなことがあっていいのかな?そろそろ死ぬのかな?ってずっと思っていた。もう本当に、ものすごく尊敬してるので、直接機会をいただけたことに感謝しかなかったのです。

浮ついてる暇は皆無でしたけど。何せ盤面が全然わからない局面にしかならなかったし。誘導していただいたから将棋っぽくなっただけなんだよな…。それでも、(そんなところは無いのに)手を褒めてくださって、あっこれ一生反芻しよう…と思うのでした。

まあそれが今理解できてるだけでも今の私ではマシな方。で、詰め込んで行った成果はですね、そういうことより緊張しない方法を考えた方がよかった、です。人生であんなに緊張して頭が回らない…という経験をしたのは初めて?くらい緊張していて、自分をどうしていいかわからない方が厄介だった。今棋譜を見ると、手抜いてもらってあんな簡単な詰み逃すとかある???

お教室でやったことがないレベルのミスをして真っ白になることの罪の深さを認識しただけでもマシだと思うことに…いやほんと、詰みは逃さないのだけが頑張ってることだと思ってたのに何やってんの?

勉強する理由が増えたのでその程度でめげたらいけない。というわけでボロッボロでした。笑われるような内容のnoteだけど、だから早いんだってばと思うけど、それでも後悔はしなかった。きっと死ぬ前の走馬灯に嬉しかったこととして、出てくるやつ。言葉にできないくらい素敵で、優しくて、かっこよくて、教えるの上手かった…夢か…。2日くらいフワフワしてしまい、現世に戻って来られなかったです。


ポンコツゆえに常に行き詰まっているので、また勉強するモチベーションをいただいて、大切にしたいと思います。

色紙を書いていただいてもよい、ということなので、初めて揮毫でお書きになっているものではなく、私が好きな言葉をお願いしたのですけど、髙見先生の文字で好きな言葉を形にしてもらって、家に帰って見るたびに頑張ろう…と思えます。本当にありがとうございました。お会いするたびに、将棋を好きになってよかった、と思うし、応援させてもらえているのにも感謝しかないです。またうまくお伝えできなかった気もするけど…。精進したい…。

私の好きな言葉は「情熱」です。

これを書くとああ、あいつだな…っていうのが判明しますが、それはそう。行く現場の定員が限られているけど、だからと言って、私の場所で書き渋るのもおかしいかなと思って。あ、気づいても無視でお願いしたいんですよね…何故なら、いつのイベントのどこにいたかとかも、見ず知らずのお方にはお話しするようなことでもないと思っているからです。

熱さは前面に出さない先生なので、書いたことがない、と仰っていて、ですよね…と思ったのですが、私は空っぽの中身に情熱をつめこんで生きていきたい、と思っているのでお願いしました。

先生にお会いするとありがたいことばかり。
ご恩を返せる立場にはなれないけれど、ずっと好きでいて、なるべく楽しんで、笑顔でお目にかかれるように、続けていこうと思います。


2022.01.