不思議なできごと(彼女は何者?)

彼女はサヤカといって
10歳くらいの大人びた雰囲気の少女

イジメに遭った私を助けてくれて
友達になってくれて
ケガをした時には
これをすり潰せば薬になるからと
ヨモギの葉を教えてくれて
それで傷の手当てをしてくれた

転校する前に
卒園した保育園の夕涼み祭りに行った時
サヤカはジャングルジムのてっぺんに
浴衣のまま座っていた

大人になって思い出すのは
その不思議な存在

彼女は本当に実在したのだろうか…と。

もちろん、イジメていた男子は実在するし、
学童も実際に通っていた場所だ。

ただ、彼女の存在を確信できるものが
何一つない。

私は転校して
その後のやりとりはなく
写真なども持ってはいない。

同じ保育園の卒業生である可能性はあるが
あの時、あの場所で出会ったことを思い出すと
ふとー

彼女は浴衣で
ジャングルジムのてっぺんに座っていた。

浴衣でー
登れるものだろうか?

小学4年生が、薬草の知識を持っているだろうか?

彼女が好む遊びは独特で
彼女は鬼の頭領として人間を意のままに操り
人狩りに失敗した部下の腕を斬り、食する…
というロールプレイをよくやっていたのだが
子供心になんだか怖かったのを覚えている

私は幸い食われる役ではなく
単なる鬼ごっこをして遊んでもらっただけ
なのだがー

この発想はどこから来たのだろうか、と…

彼女の記憶はあやふやでどこか儚さを感じる。
トモは実際に馬乗りになって男子を撃退したが
彼女は男子を睨んだだけで追い払っていた。

手も触れずに。

そんなことがー
出来るものだろうか?

後になって
イマジナリーフレンドというものを知り
もしかしたら、彼女の存在はそれかもしれない、
そう思うようになった

あの日の光景が忘れられない。

ジャングルジムのてっぺんに座り
髪を風に揺らして微笑む裸足の少女が。


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