閉店ガラガラ マッチングアプリ狂想曲

「おはようございます。これから大阪出張です🚅」

朝7時すぎ、昨日長い道のりを経てようやくマッチした、焚き火好きなJUNさんからのLINEが鳴った。

おはようのメッセージが短くサクッと来るのは、合格。
私もごくかんたんに返しておく。

「おはようございます。
いってらっしゃいませ。どうぞご安全に」

JUNさんとは夕べ、LINEに移行したあと、しばらくメッセージを交わした。
彼が好きなキャンプのこと、まりかが関わっている子ども食堂のこと。
そろそろ寝ようかな、と思ったところで、彼から明日は出張で早いからとおやすみなさいが来た。
ズルズルしないタイミングも、悪くない。
彼からの最初の足あとから3週間以上。
もたついたわりには、会話のペースも悪くない。
この先の展開があるのかないのか、静かに身をまかせていよう。


昨夜の閉店大セールのあと、アプリは静かだった。
そりゃそうよね、明日閉じまーすと宣言している人に興味を持つ殿方はいないわよね。

そして、ひっそり20時に退会。
データはすべて削除しますよ、90日間は再登録できませんよ、と数回、チェックして、退会ボタンを押して、はい完了。
iPhoneからも、iPadからも、アプリは削除。
さくらまりか、6か月にわたるマッチングアプリ生活を終了した。

36で最初にマッチングサイト(注:2009年当時、まだアプリはいまほどたくさん用意されていなかった)に登録したときは、2番目の夫に出会った。
離婚して1年で登録したときに出会った人とは、2年半ほどつき合った。
過去2回はそれぞれ、3か月近くでお相手を見つけて退会した。
でも、今回ほどいろいろ考えたことはなかったな。

マッチングアプリごときで、と思う人もいるかもしれない。
でも、動機はそれぞれであれ、この広い世界で人と人とがめぐり合い、ことばを交わすということは、奇跡だ。
イヤな思いもしたけれども、いいねをもらった200人ほどの殿方と、まりかのプロフィールに足あとをつけてくれた数えくれない殿方、それからやりとりをした殿方、お会いした殿方、すべてに感謝だ。

Xデーを迎えた朝、アプリ仲間のミドリちゃんがわざわざLINEをくれた。

「まりかねえさん、いよいよ今日ですね。
休会ですか? それとも退会?」
「きっぱり退会よ。休会はないな」
「潔い!」

肉体派、頭脳派のミドリちゃんのように、出会った殿方すべてを記録して、分析する気力はないな。

そう伝えると、

「いえ、私はデータ取得で終わらず、分析結果を活かして勝率を上げるところまで検証したいです」

ときたものだ。
さすが、才色兼備のミドリちゃん。
まりかは、ミドリちゃんの必勝マニュアルができあがったころ、また登録してみようかな。
おっと、その前に、JUNさんとのこの後があった。
そういえば今夜はまだ、メッセージが来ていないや。


というわけで、50歳、バツ2のさくらまりかのマッチングアプリ生活、閉店ガラガラ。

おつき合いくださったみなさま、本当にありがとうございます。
ここがあったから、毎日、ことばに乗せて、文字に落として、みなさまに読んでもらうことで、まりかは自分を見失うことなく、舞い上がりつつも冷静に殿方と向き合うことができたと思っています。
しばらくは、印象的だった殿方のことばや、毎日の投稿からは落としてしまったエピソードなどを、ゆるゆる綴るつもりです。
引き続き、おつき合いのほど、心よりお願い申し上げます。


さくらまりか

サポートしてくださった軍資金は、マッチングアプリ仲間の取材費、恋活のための遠征費、および恋活の武装費に使わせていただきます。 50歳、バツ2のまりかの恋、応援どうぞよろしくお願いいたします。