「トオルさんの姪御さんのさくらさんですか。 担当看護師のクラモチと申します。 伯父さま、夕べから呼吸状態が悪化しています。 いまは、酸素吸入をマックスの10リットルになりました。 午後、面会の予約が入っていますが、念のためご連絡しました」 子どものいない伯父夫婦の面倒を見るようになって、早や3年。 2年前に低栄養で倒れ、救急搬送されてから、入院、退院、入所に転院と、10か所ほど移動させた。 都度、次の施設を探したのも、ケアマネジャーや相談員と調整したのも、大量の契約書類を記
ありがとうのハグで、タカシとの恋が終わって1週間。 気がつけば、さくらまりかのnote、15万回を見ていただいていました。 多く読んでいただくことを目指しているわけではないですが、ひと区切り、うれしいです。 50歳オーバーのちょいぽちゃオバさんの恋活に、興味を持ってくださって、本当にありがとうございます。 もうマッチングアプリには手を出さない、と、思いつつ、明日も明後日もお見合いパーティの予定があったり、少しペースダウンして何となーく続けようと思っています。 惚れっぽくて冷
君からのLINEが来ない朝7時ああこれを世は失恋と呼ぶ
9年前の今日、まりかは倒れた。 ココロもカラダもズタズタだった。 ホームに駆け込んだら、すでに電車がいたから、その電車からご相談者が降りてきたから、まりかはいまも生きている。 生きることって、小さな偶然の積み重ね。 さくらまりか、いろいろあるけど今日も幸せです。
「最初に私、言ったよね。 相手に合わせすぎちゃって、黙って我慢して、突然、爆発しちゃう」 「ごめん、何か違うなって思っていた。ごめん」 「もう終わっているから。私の中では終わっているから、大丈夫」 まりかはひと息で言い切ると、左隣のタカシをちらりと見た。 タカシは泣いていた。 左の手の指を目頭にぎゅっと当て、じっと空を仰いだ。 金曜夕刻の東京駅丸の内駅前広場。 目抜通りの街路樹と、レンガ作りの駅舎、それから無機質なビルたちに囲まれた空には雲ひとつなく、ただただ青かった。
さよならを預けるアイスコーヒーの溶ける氷をそっと見ている
今日はお休み。 父や伯父、子ども食堂関係の書類たちを片して、まつ毛をつけたら上京。 神社におまいりしてから、タカシと東京駅で待ち合わせ。 会ってどうするんだろう。 当然、彼からドタキャンと思っていたら、夕べまさかのリマインド。 彼は何がしたいのだろう。 考えても仕方がないや。
すごくすごく眠い。 身内4人の面倒に追われたこの4年ちょっとの疲れが、どっと出たのかも。 マッチングアプリも、気を使ったしなー。 忙しさの中、行方不明になった私を探す旅に出よう。
あの人たちと関わると、一気に波長が狂う。 話題にするだけでももちろん、ましてや今日のように顔を合わせ、ことばを交わさなくてはならないと、なおさらだ。 帰りのクルマで、「もうどうでもいい!」と何度も叫んで、どうにかバランスを取る。 あの人たちとは、まりかの父と母である。
「待ち合わせ、東京駅でいかがですか」 「まりかんちの電球の交換はしなくていいの?」 「ほかの人に頼んだので、大丈夫です」 「わかりました。東京駅ですね」 おしまい。
タカシを選択しない選択をしよう、と決めたら、楽になった。 日記の殴り書きも、半減した。 いまは、ひとりを楽しむ時期なのかも。
眠い。とにかく眠い。 週末を寝倒してもまだ眠い、と、精神科のドクターに相談すると、 「いままでとても気が張っていたから、疲れが出ているんでしょう。 体が休息を要求しているなら、休んでくださいね」 と、言ってくださった。 今日は血液検査、断食明けはコイツをがっつりいったぜ。
「知り合ってから、辛い時間の方が多かったけれども、楽しい時間に感謝します。 おつき合いしているわけではないから、お別れのあいさつはいらないですね。 短い間でしたが、ありがとうございました」 限界だった。 彼が何を考えているのか、わからなかったから。 セックスがしたいだけなら、わざわざ片道3時間かけてこないだろう。 まりかは、とくにテクニシャンでもないし、美しいプロポーションの持ち主ではないから。 でも、せっかくふたりで旅に出ても、夕食後のひとときをタカシはバラエティ番組を
ひとり暮らしの特権、人のメシの心配をせず、外で朝食を取ること。 ああ、幸せ。
マッチングアプリで、たまたまめぐりあわせただけ。 つながりはLINEだけ。 会ったこともない殿方の死が、どうしてこんなに大きな感情を揺り起こすのか。 友より深く恋より淡く。 まりかは、サトウさんとの関係に、名前をつけあぐねている。 彼の人生最後の数週間を共有させてくれた彼に。
「そろそろ飲み行こう?」 「C駅?」 「F駅でどう?」 「おいしいところある?」 「あるよ!」 この2.5往復のLINEで、まりかはダンちゃんと近々、飲みにゆくことになった。 ダンちゃんは、去年の12月、デートセッティングアプリで知り合った、ひとつ上の銀行員である。 暮れに男女15人ほどの忘年会にも呼ばれたが、女性の数人はまりかと同じようにマッチングアプリで知り合った人と思われた。 とにかく、交友範囲が広そうな殿方だ。 背も高くて、そこそこカッコいい。 まりかと同窓のW大