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違法の冷蔵庫

「これが妖精の卵?」
 友人を介し、高額で手に入れた違法の生物だ。小型の冷蔵庫に入った妖精を見つめた。
「この冷蔵庫自体か違法なんだ。誰にも見せるなよ」
「絶対に卵を外に出すな、でしょ。私だって命は惜しいわ」
「お前の死体を俺に回収させるなよ」
 妖精は寝返りをうつようにくるりと回る姿も愛らしい。
 冷蔵庫から卵を出すと妖精が羽化し、目の前にいる者を食うと聞かされた。理解はしていたが、己の欲求には逆らえなかった。五秒、十秒、十五秒と、冷蔵庫を開ける時間が多くなった。
 ある日、とうとう卵にヒビが割れ、妖精は目を覚ました。やばい、と思った時には妖精が目の前だった。青く澄んだ目が私を捕らえ、微笑んだ。
 氷の様な冷たさで、妖精が心臓を突き破った。痛みよりも心地よさに包まれた事に安堵して、私は死を受け入れた。
 次に聞こえたのは冷蔵庫のブーンという音。卵の中にいるのは、私? 
 ゆっくりと冷蔵庫が開く。

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