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≪Art Conservation 4≫意思決定

意思決定をするのはむずかしい。未来はどうなるか分からない。

ヨーロッパのアートコンサベーションの場合、何を決定するにせよリーゾニングというのが重要になって来る。例えば、作品のどの価値を守るために何をするか、どんなリスクがあって、将来起こりうることを加味すると、相対的にどれが一番低リスクか。接着剤を選ぶにしても、科学的になにが証明されていて、プラス面は何でどんながマイナス面が将来起こりうるか。それら全体を考えた上で、何が最善かという多角的なリーズニングの上に成り立って決定する。

何故なら、今現在の最善は将来における最善とは限らないので、いまの最善の理由付けがしっかりしてないと、後で何でそうしたの?と振り返った時、なんとなくでは困ってしまうわけだ。

逆に言うと、リーズニングがしっかりしていれば、将来問題が起きても、その決定自体には立脚点がある。絶対の客観性をもった決定は存在しないし、未来にも確実なことなど一つもない。その現在地点で最善を選び、その都度外的要因で変化したことへのリスポンスを、その都度考えていく。

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