今週の10大資金調達ラウンド:不動産、給与計算、フィンテック企業がリード

これまでは時間軸が長め/大きな流れのベンチャー周りの傾向を中心にご紹介してきましたが、これからは少しずつ個別案件についても触れていきたいと思います。
本日は今週の資金調達ニュースについてです。
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不動産関連の企業ラウンドが今週のUS資金調達を牽引しましたが、VCの関心は新規社員の雇用、給与支払い、トレーニングの仕方や、フィンテック・アドテックのプラットフォームにも向いているようです。

1) Greystone, 5億ドル, 不動産

NYベースの商用不動産ファイナンス企業のGreystoneは不動産、不動産業界の巨大企業Cushman&wakefieldと戦略的ジョイントベンチャーを設立し、Cushman&wakefieldは40%の株式を取得するため5億ドル出資しました。この資本は将来の事業拡大に向けた新商品開発のために活用されるようです。

2) Deel, 4.25億ドル, 給与支払い・コンプライアンス

今日、企業はグローバルに優秀な人材を求めるようになってきており、海外の従業員を雇用することを支援するため、サンフランシスコベースのDeel社はSeriesDで4.25億ドルを調達しました。
Deel社の給与支払いとコンプライアンスのプラットフォームにより、企業はリモート社員をより簡単に雇用できるようになります。
この新規ラウンドはCoatueがリードし、55億ドルのバリュエーションとなっています。
Deel社は2018年に設立され、総調達額は4月に行われたSeriesCラウンドを含めおよそ6.3億ドルとなっています。

3) Brex, 3億ドル, フィンテック

サンフランシスコベースのフィンテック企業Brexはデカコーン(企業価値100億ドル以上)のバリュエーションで3億ドルを調達しました。
Brexは74億ドルのバリュエーションでTiger Global ManagementをリードとしたSeriesDで4月に4.25億ドルを調達したばかりです。
Brexはクレジットカードと現金管理のソリューションを提供しており、総調達額は15億ドルに上っています。
同社はスタートアップ向けに独自のリワードプログラムや、クレジットスコアを必要としない独自の審査方法にて法人向けクレジットカードを運用するスタートアップです。

4) VideoAmp, 2.75億ドル, アドテク

広告主はどんなキャンペーンがうまく行き、うまく行かないのは何か常に知りたがっています。ロサンゼルスベースのメディア測定プラットフォームを運用するVideoAmpはSeriesFで2.75億ドルを調達し、それを明らかにすることを助けるサービスを提供しています。
このサービスのプラットフォームでは、テレビやその他メディアといった様々なメディアを横断してキャンペーンをターゲティングし、効果を測定することができます。
この新規ラウンドでは企業価値は14億ドルとなり、The Spruce House Partnership, D1 Capital Partners, Tiger Global, EPIQ Capital Group and Ankona Capital Partnersらが投資しています。
2014年に設立され、総調達額は4.5億ドルに上っています。

5) Rippling, 2.5億ドル、給与支払い・福利厚生

また別の社員の給与支払い・福利厚生・デバイスを管理するHRプラットフォームは投資家から注目を集めています。
サンフランシスコベースのRippling社はSequoia Capital Global EquitiesとGlobal Growthをリード投資家としてSeriesCラウンドで2,5億ドルを調達しました。このラウンドでのバリュエーションは65億ドルとなっています。2016年に設立され、総資金調達額は4.5億ドルとなっています。
すべての従業員システムを統一し、管理作業を自動化する唯一のプラットフォームです。オンボーディングからオフボーディングまで、オンライン署名とストレージ用のドキュメントを自動的に作成し従業員に送信、オファーレター、ハンドブック、Form I-9(雇用資格確認)、Form W-4(従業員源泉徴収証明書)、退職などをも扱うことができます。

6) Flock Freight, 2.15億ドル, サプライチェーンロジスティクス

企業は崩壊しつつあるサプライチェーンに悩み続けています。
カリフォルニアベースのFlock Freight社はトラックを共有し貨物を出荷するサービスを提供しており、ソフトバンクビジョンファンド2号をリードとして2.15億ドル調達しました。
つまり、同じ方向に向かう荷物を集めて運ぶ、荷主のための相乗りサービスと言えます。
このサービスは顧客と運送業者の双方にメリットがあり、顧客は、積み降ろしの繰り返しや実際には必要のないトレーラーのスペースのために支払うコストを回避でき、運送業者は、自社のトラックの積載を満杯にすることができます。
2015年に設立され総調達額は4億ドルとなっています。
新規に調達された資金は、出荷処理のアルゴリズムとマシーンラーニング技術を強化するために使われる予定です。

7) Aura, 2億ドル、C向けサーバーセキュリティサービス

マサチューセッツのBurlingtonベースのデジタル顧客向けセキュリティサービスを提供するAuraはMadrone Capital Partnersがリードを務めるSeriesFで2億ドルを調達しました。
このラウンドでのバリュエーションは25億ドルとなっており、総調達額は6.5億ドルとなっています。

8) 360Learning, 2億ドル, 企業学習プラットフォーム

また別の従業員サポート関連のテクノロジー企業が大規模ラウンドを実施しており、ニューヨークベースの360LearningはSumeru, ソフトバンクビジョンファンド2号、Silver Lake Watermanから2億ドルを調達しました。
本サービスは、従業員同士が協働して学習コンテンツ作成から実施まで行うLMS(Learning Management System)で、最終的には学習ライブラリを構築したいと思っています。
2013年に設立され、総調達額は2.4億ドルとなっています。

9) Endpoint, 1.5億ドル、所有権・エスクローサービス

カルフォルニアベースのデジタルでの所有権及びエスクローを提供するEndpoint社は親会社であるFirst American Financial社から1.5億ドルを調達しました。総調達額は2.2億ドルとなっています。
このデジタルプラットフォームでは、取引中のすべての人が簡単かつ安全に情報を提供し、最初から最後までシンプルな不動産クロージングを行うことができます。

10) Republic, 1.5億ドル、デジタルセキュリティマーケットプレイス

ニューヨークベースのRepublic社はValor Equity PartnersをリードとしてSeriesBで1.5億ドルを調達しました。
同社のプロダクトラインは豊富であり、マルチアセットの個人向け投資プラットフォーム(株式型のクラウドファンディングプラットフォームなど)、プライベートキャピタル部門、ブロックチェーンコンサルタント部門などがあります。
3月にSeriesAで3600万ドルを調達したばかりであり、総調達額は2.14億ドルとなっています。


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