(1/2)変わりゆくベンチャーの市況

Upfront VenturesパートナーのMark Susterのブログよりお届けします。
長いので2日に分けます
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What Has Changed in Financing?

ベンチャーキャピタルやテクノロジーのマーケットに興味を持ちながらも恐れている人たちから最もよく聞かれる質問の一つは、
”テクノロジー市場は過大評価されているのではないか?バブルなのではないか?"で、私はいつも同じように答えています。

"まず、はいその通りです。ほぼすべての市場で過大評価されていると思います。VCエコシステムに資金を投入するたび過剰に支払っていますし、バリュエーションは馬鹿げたレベルまであがっていますし、これらのハイバリュエーションや企業は長期的には続かないでしょう。
しかしながら、優れたVCになるためには、2つの矛盾する考えを同時に持つ必要があります。ひとつは、自分たちの投資は過剰であり、バリュエーションは合理的ではないということ。
ただしもう一つは、最大の勝者は、支払った価格よりもはるかに大きな規模になるだろうし、それはこれまでの歴史上では考えられないぐらい早く起こるということです。
この現象は、Discord、Stripe、Slack、Aribnb、GOAT、DoorDash、Zoom、SnowFlake、CoinBase、Databricks等の非常にスケールした企業を見れば一目瞭然でしょう。
人類史上前例のないスケールとスピードで動いているんです。"

私が最初にVCのエコシステムについて書いたのは10年前のことですが、依然として、Web1.0のドットコムバブルから10年後の2011年までどのように辿ってきたのかを知る良い入門書だと思っています。

AWSに代表されるクラウドコンピューティングについて述べました。
要約すると、
・マイクロVCのムーブメントが発生
・多くの会社が少ない費用で立ち上げることができるようになった
・超アーリーステージの資本にフォーカスした新しいタイプのLPが生まれた
・スタートアップ界の平均年齢をさげ、もっと技術寄りになった

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2001年と2011年におけるVC業界で異なる点は、以前の起業家は自分たちで自走する必要があったが(ドットコムバブルの時は除く)、2011年には健全なマイクロVC市場が出来上がっていたことです。また、2001年の頃はうまく行けばIPOまでも早かったが、2011年にはスローダウンしており、2013年にはCowboy VenturesのAileen Leeが10億円規模の未上場企業を"ユニコーン"と呼ぶようになっていました。

10年で多くのことが変わりました。

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一方で、2011年のタイムトラベラーが現在の市場を見てもほとんどが理解できないレベルでしょう。まず、当時a16zは創業してからまだたった2年です(ビットコインも同様です)。
今日なら、Day0のスタートアップやまだ創業すらしていないスタートアップに特化した投資家がいます。
まだ頭の中にあるアイディアかもしれないし、SpaceXを辞めた創業者がアイディアをみつけるために資金調達をしている段階かもしれないのです。
ガレージから生まれた2人のシリコンバレーのレジェンドはすでに亡くなりました。
そして成功する可能性の高い創業者は、大量の資金を持ってして会社を始めます。
なぜなら、Stripe、Discord、Coinbase、Facebook、Google、Snapなどのエグゼクティブはインセンティブなしでは辞めてくれないからです。

2011年に”シリーズA”と呼ばれていたラウンドサイズは、現在"Seedラウンド"と呼ばれています。
さらにシードラウンドだけでなく、Preシードラウンドもあります。Preシードラウンドとは、100-300万ドルをSAFEで調達し、ボードシートも与えないようなラウンドのことです。

今日のシードラウンドでは300-500万ドル、あるいはそれ以上の資金を調達します。あまりにも多くの起業家に多くの資金が投下されているので、VCはボードシートや、ガバナンスの権利は気にしなくなっており、企業支援も行わなくなっています。なぜならそれらはVCの時間を奪い、ほかのディールを追う時間がなくなってしまうからです。
シードラウンドは多くの人に選択肢を与えることとなり、起業家はこの現状に好意的です。

もちろん、過度にディールを取りに行かず、ボードシートを確保し、基礎が不安定な企業を手助けをしようとするシードVCも多くいます。なので、ある意味起業家が自分で好きに選択できます。

かつてはシリーズAというのは300-700万ドルの資金調達をさし、とても優れた企業で4000万ドルのバリュエーションで1000万ドルの資金を調達するものでした。
今日では、1000万ドルというのは変わったことではなく、多くのスタートアップが6000-8000万ドルのPre-moneyバリュエーションで2000万ドルを調達します。

ベストなExitの多くは創業から12-14年後に行われています。なぜなら、魅力的な価格で、公開市場の監視を受けずとも未公開市場の資金を活用することが可能だからです。
その結果、セカンダリ市場が充実し、創業者やシード投資家のような人たちが最終的なExitの前に持ち分を売却するようになりました。

Upfront Venturesは最近2億ドルのファンドのx1のリターンを得ましたが、これは少しの株式をセカンダリ市場で売却しただけで、大部分の株式はこれから上場する予定です。
また、大きなアップサイドを残したまま、セカンダリ市場だけで2倍のリターンを得ることは今すぐにでも可能です。
これは10年前なら起こり得なかったことです。

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