6ヵ月ロックアップはなくなるのか?

Crunchbase newsよりお届けしたいと思います
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180日の株式ロックアップ期間は従来のIPOのスタンダードでした。しかし、特にテクノロジーカンパニーにおいて早期のロックアップ解除(ERL)が人気が高まってきたことで、状況が急速に変わりつつあります。
プロフェッショナルサービスファームASTでシニアVPを務めるJoshua McGinnと話してから、私はこのELRというアイディアに興味を持つようになりました。
数週間前、ELRが活用される機会が増えてきたことで、Direct Listing(直接上場)は今年想定していたほど人気にはならなかったとMcGinnより聞きました。
そこでELRとは何か、なぜ多くの会社がIPOでELRを活用するようになっているのかについてもっと深堀しようと思います。

What are ELRs?

ELRとは、上場前の株主が通常の180日ロックアップ期間が終わる前に株式を売却できるようにすることです。
ELRは特別新しいというわけではありません。
McGinnもStitch Fixが2014年に上場した際にもELRを活用したことに触れてくれましたが、ただ、これが急速に一般的になりつつあるのです。

繰り返しになりますが、従来のIPOでは6ヶ月間は従業員やIPO前の株主は自身の株式を売却することができませんでした。
IPO前の株主が上場直後に一斉に株式を放出することを防ぐことで、株価を安定させうると考えられていたからです。
しかし、急速に状況は変わっています。

The rise of the 90-day release

Fenwick&Westの法律事務所でパートナーをつとめるRan Ben-Tzurによると、3~4年ほど前からELRを含むロックアップに変化が起こり始めたと言います。
これはロックアップ契約やその目的に関して、投資家やベンチャーコミュニティーが懐疑的であることに起因しています。

より多くの企業が上場している一方で、直接上場への興味や人気の高まりによって、投資銀行が企業の上場から得られる手数料が少なくなっていました。直接上場は従来のIPOよりも引受手数料が安いためです。
これにより”もし何もしなければ、さらに得られる引受手数料が減っていってしまう”と引受人たちは気づいたのです。
”それならば、ビジネスモデルを変えて、全員に180日ロックアップ期間を課さず例外を作ったらどうだろうか”と。
従業員は流動性を求めていてELRはそれを可能にし、一方で銀行はIPOから引受手数料を得ることができるからです。

多くの企業はロックアップ期間を90日に短縮し、Unity TechnologiesやAirbnbは公開初日から売却を可能としました。
また、ロックアップ期間を株価や業績と連動させている企業もいます。
多くのELRが90日前後となっている傾向は、証券取引法に関連しています。IPO前の株主は、証券取引法のルール144に基づき株式を売却することができ、これは上場後90日が経過するとより広く活用できるようになります。

また、90日ルールの人気が高まっているのは、上場直後の売却は多くの手続きが必要だからです。この手のロックアップ解除は直接上場するのと同じで、企業側が準備段階で多くの作業を行う必要があります。
企業の幹部はこのIPOロードショープロセスで大変な量の仕事をこなしているので、90日ルールによって一息つくことができるのです。
また、従業員が上場初日に取引をしたければ、市場が取引を始める前にリテールブローカーがこの株式を手にできるようにしなければならず、これはなかなかハードルが高いのです。

ただし、ELRは製薬やバイオテック企業ではまだ一般的ではなく、彼らはまだアーリーステージで少数の従業員しかいないときに上場するからです。
むしろテック企業でのみ採用されていると言えるかもしれません。

”IPO周りで多くのイノベーションが起こっていますが、これはある種直接上場やSPAC、ベンチャーコミュニティに後押しされ起こっています。”

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